2023/09/18GDOEYE

「30歳過ぎてからがピーク」は昔の話? 32歳になった石川遼が思うこと

◇国内男子◇ANAオープンゴルフトーナメント 最終日(17日)◇札幌GC輪厚コース(北海道)◇7066yd(パー72)◇曇り(観衆3128人) 大会最終日の17日、石川遼が32歳の誕生日を迎えた。通算15アンダー6位と今季4回目のトップ10に入ったが、上位に名前が上がってくる年下の選手を見ると、時々“年齢問題”が頭をよぎる。 「昔、思い描いていた32歳は、そこからピークがくるイメージ。今はだいぶツアーも若くなって、世界的に見てもピークが30過ぎというのはひと昔前の話」と、気づけば難しい年ごろになって来た。 現在の賞金ランキングトップ3には、中島啓太(23歳)、金谷拓実(25歳)、蝉川泰果(2...
2023/09/03GDOEYE

日本女子アマ覇者・飯島早織 人生ワースト「87」からの決意

◇国内女子◇ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント 2日目(2日)◇GOLF5カントリー美唄コース(北海道)◇6472yd(パー72)◇晴れ(観衆2127人) 初日のスコアカードには、15オーバー「87」と書き込んだ。それは今年6月の「日本女子アマ」を制した飯島早織(ルネサンス高)にとって、人生で初めての経験だった。「記憶にない。少なくとも、プレーヤーとして競技に出るようになってからは初めてです」。キャリアワーストのスコアが、この大事な週に出てしまった。 今大会は、プロキャディの進藤大典氏が主催した昨年11月「進藤大典 ジュニアトーナメント2022 Supported byアイダ設計」の優勝特...
2023/10/30GDOEYE

“デジタルコミュニケーション改革”で目指す女子ツアーのファンづくり

◇国内女子◇樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日(29日)◇武蔵丘GC(埼玉)◇6650yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆5629人) 会場に足を運んだことがあるファンは「JLPGA OFFICIAL SNS」と書かれたビブスのスタッフを見かけたことがあるかもしれない。 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は2021年後半からSNSを通じたファンづくりを本格化させた。フォロワーはInstagramを中心とした5アカウントで計50万人を突破した。スタート時からは倍増だ。 事業戦略部・事業戦略グループの小川智史氏は2年をかけて取り組んできた“デジタルコミュニケーション改革”につ...
2023/08/26GDOEYE

「来ちゃいました」 宮里優作の“大ファン”はその夜、新幹線に飛び乗った

◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 3日目(26日)◇芥屋GC(福岡)◇7216yd(パー72)◇晴れ(観衆6071人) 「まさか僕がここに来るとは思っていなかったでしょう。オレだって思ってなかった」。ムービングデーのベストスコア「65」をマークして、インタビューエリアで笑った宮里優作。ロープサイドには、本人だって予想できなかった好スコアをずっと信じていた人がいた。 蒸し暑い福岡のコースを、ブリヂストンの日傘を差してロープサイドを歩いていたのは、長女の莱杏(らん)さん。14歳の中学3年生は昨晩、自宅のある名古屋からひとり新幹線に乗り、午後11時近くに博多にやって来た。これまで母や弟と一...
2023/08/25GDOEYE

“お母さん”もどうぞゴルフ場へ 男子ツアー会場にベビーラウンジ

◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 初日(24日)◇芥屋GC(福岡)◇7216yd(パー72) シード2年目の阿久津未来也は未婚である。自身はひとりっ子で、近い親族にも小さい子どもはいない。そんな28歳が発案したツアー会場のギャラリーサービスが「ベビーラウンジ」だというのだ。 18番グリーン後方、スコア提出所の横に設けられた一画は、来場した未就学児を受け入れる保護エリア。室内には子どもたちが遊べるボールプールの他、仕切りを設置しておむつ替えや授乳ができるスペースを設けた。欧米のツアーでは選手の子どもを預かるサービスが各会場にあるが、日本の男子ツアーでは珍しい。しかもギャラリー向けもとな...
2023/07/03GDOEYE

7Iしか握れなかった日々を乗り越えて 片岡尚之が次に狙う地元メジャー

◇国内男子◇長嶋茂雄招待セガサミーカップ 最終日(2日)◇ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(北海道)◇7178yd(パー72)◇曇り(観衆3507人) ツアー1勝の片岡尚之が、地元・北海道で優勝争いを演じて2位に入った。ショットと持ち味のパットがかみ合い連日スコアを伸ばしたが、実はトップ10に入るのは昨年10月「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」(7位)以来。昨年終盤からここまで、ショットに悩める日々を過ごしてきた。 2022年11月ごろからスイング改造を始め、「どうしたらいいですか?」と聞いてきた片岡に、谷将貴コーチは「練習ラウンドは7Iで回ればいい」と伝えた。「当時まだ長いクラ...
2023/12/08GDOEYE

30歳の新人戦 ベイブ・リュウ「他の人生も考えていた」

◇国内女子◇JLPGA新人戦 加賀電子カップ 最終日(8日)◇グレートアイランド倶楽部 (千葉)◇6582yd(パー72)◇晴れ(無観客) 30歳のルーキー、ベイブ・リュウ(台湾)にとって無観客といえど、念願の54ホールだったかもしれない。 「新人戦は普通の試合と違って、それほど緊張感がないので楽しくできる感じでした。とても良い試合」。成績は通算イーブンパー5位と納得のいくものではない。それでも賞金88万5000円の重みは十分に感じていた。 11歳から競技を始め、176cm、69kgと恵まれた体格を武器に22歳だった2015年から、プロテストを経ずに当時のTP単年登録で日本ツアーに参戦した。同...
2023/11/15GDOEYE

ゴルフを“軽く”するために 石川遼が試みるキャディバッグ改革

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 事前情報(15日)◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71) プロゴルファーのキャディバッグは「ツアーモデル」と呼ばれる大型タイプが主流だ。メーカーのロゴがドーンと入った重量モデルが流通する一方、学生ゴルファーは自分で担ぎながらプレーするため軽量の「セルフスタンドモデル」を使う。カートに乗ってプレーする一般アマチュアの皆さんは“どっち派”だろう? 石川遼は今週、あえてセルフスタンドタイプを会場に持ち込み、試合で使用するつもりでいる。ツアーモデルはバッグ自体に5、6kgの重さがあり、セルフ用は軽いもので約半分。「キャディさんの体をいたわる...
2023/08/28GDOEYE

ゴルフ場で気球に乗れた KBCオーガスタの来場者数は再び“右肩上がり”

◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 最終日(27日)◇芥屋GC(福岡)◇7216yd(パー72)◇晴れ(観衆9449人) ゴルフではそよ風に近い風速3m/sは、気球の世界では“ギリギリ”らしい。地上につながったロープで固定して浮遊する地上20~30mまでの「係留飛行」も、風速4m/s以上になると大きく流されてしまう恐れから中断せざるを得ないそうだ。 9番(パー5)の左サイドの林の向こう。芥屋GCの一画では週末、イベントのひとつとして気球の飛行体験が行われた。来場者なら誰でも、先着順でパイロットが操縦する“空の旅”へ。時間にして3分ほど、高さおよそ20mからの景色は多くのホールを見渡せる...
2023/11/20GDOEYE

杉浦悠太は即プロ転向で副賞ゲット “日本一”の宮崎牛それぞれの行方

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71) 「歴史」のはじまりは大相撲だったそうだ。「ダンロップフェニックス」の優勝副賞である宮崎牛が、プロスポーツの場で贈呈されるようになったのは1986年の九州場所。宮崎県知事賞として当時の優勝力士だった横綱・千代の富士に贈られ、以後プロ野球の巨人軍や、日本代表・侍ジャパンがキャンプで来県した際などに絶好のPR機会として登場する。 ダンロップフェニックスで採用されたのは2007年からで、イアン・ポールター(イングランド)が最初の受賞者になった。クラブハウスで牛丼をおかわりしたタイガー・ウッズはその2年前...
2023/08/07GDOEYE

優勝前夜はお外で“ぼっち” 中島啓太「男子ゴルフは絶対おもしろい」

◇国内男子◇横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~ 最終日(6日)◇横浜CC(神奈川)◇パー71(7231yd)◇雨(観衆2299人) 3時間以上に及ぶ中断も、ものともしない。鮮やかな逆転劇で賞金ランキング1位に返り咲いた中島啓太は、堂々とフェアウェイをかっ歩するコースの外では“フツーの23歳”らしい。 遠征中は日体大時代の先輩である河本力と一緒に夕食をとるのがルーティン。「ほぼ焼肉」の毎日で、店の席につくなり河本がメニューを眺めて全員分の注文を完了させる。おいしいにはおいしいけれど、毎日続くと胃腸の状態がちょっぴり不安。ちなみに支払いはじゃんけんで決まる。 今...
2023/05/22GDOEYE

「機械みたい」 アマ優勝者が感じたプロゴルファーのすごさ

◇国内男子◇ゴルフパートナーPRO-AM トーナメント 最終日(21日)◇取手国際GC(茨城)◇東コース6804yd(パー70)◇曇り(観衆3400人) プロとアマチュアの差はどこにあるのだろうか―。「全て」と一言で片付けてしまうのは簡単だが、プロと同じフィールド、同組でプレーしたアマチュアにしか分からないことがあるかもしれない。 日本で唯一のプロアマ形式で行われる大会。前年に続き、36ホールストロークプレーで競うアマチュアのスクラッチ部門で連覇を果たしたのは、平野大樹(だいき)さんだ。 平野さんは優勝したジュビック・パグンサン(フィリピン)、2位に入った蝉川泰果と2日間同組でプレーした。 優...
2023/11/26GDOEYE

水没の惨劇から“夏”の高麗芝に仕上がるまで 女子最終戦コースの舞台裏

◇国内女子メジャー◇JLPGAツアー選手権リコーカップ 3日目(25日)◇宮崎CC(宮崎県)◇6497yd(パー72)◇晴れ(観衆3015人) 国内メジャー最終戦の会場となる宮崎CCは、昭和35年(1960年)開場と県内で最も古い歴史を持つゴルフ場だ。同コースでの開催は今年で21回目。不動裕理と宮里藍がし烈な賞金女王争いを演じた2004年、最終戦を2連覇した古閑美保が初めて女王の座を射止めた08年と、数々のドラマチックな展開の舞台となってきた。 例年に比べて世界的な暑さとなった今夏は、宮崎でも最低気温が28℃以上という日が続いた。30度以上の真夏日が観測されたのは年間85日に達し、最も多かった...
2023/05/28GDOEYE

メジャーにも下部ツアーにも出る理由 藤田寛之が楽しむ山下り

◇シニアメジャー第2戦◇キッチンエイド全米シニアプロ選手権 3日目(27日)◇フィールズランチイースト(テキサス州)◇7193yd(パー72) 最終日を首位で迎えるパドレイグ・ハリントン(アイルランド)は前週、「全米プロ」の4日間を50位で終えて今大会にやって来た。プロゴルフ界広しと言えども、藤田寛之のようなケースも数少ない。前週は日本でレギュラーツアーに出場。その直前は26年ぶりに下部ABEMAツアーの地を踏んだ。 舞台の“ギャップ”が激しく、2012年に賞金王になった経歴からすれば、珍しくも思える今年のスケジュールだが、本人にしてみれば「ごく自然なこと」だという。「自分のそういうキャリアが...
2023/05/29GDOEYE

コースを出たら「ちゃんと関西人」 平田憲聖とゴルフのなれ初め

◇国内男子◇~全英への道~ミズノオープン 最終日(27日)◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山)◇7461yd(パー72)◇曇り(観衆2275人) プレーオフ3ホール目で1mのウィニングパットを決めると、平田憲聖は今週初めてこぶしを握った。「あのガッツポーズ、試合じゃあんまり見たことなかったです」と桑島大紀キャディは笑った。 今週タッグを組んだ2人は、大阪学院大ゴルフ部の同級生。プレー中は喜びも悔しさも表現しない平田のスタイルは、学生時代から変わらないという。「ゴルフになると表情に出さないけど、普段はしゃべるキャラだし、ちゃんと関西人やってます」と桑島キャディ。ツアー2年目で初優勝をつかんだ大阪...
2023/11/16GDOEYE

歴史変えた日本人 中嶋常幸が「ダンロップフェニックス」に望むこと

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 初日(16日)◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71) スタート前の練習場に足を踏み入れる直前、松山英樹がつぶやいた。「中嶋さん、めっちゃ振れてる…!」。あさイチのドライビングレンジで球を打ち込んでいたのは69歳の中嶋常幸。青木功とのオナラリースタート(名誉スタート)に備えて、まるでいつもの試合に備えるかのようにウェッジから、あらゆるクラブの感触を確かめていた。 1974年の初開催から50回目の記念大会。日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木・現会長と、日本人選手として初めて本大会で優勝した中嶋によるティオフ前の始球式。晴れ渡った午前...
2023/12/04GDOEYE

男子ツアーで切り撮った渾身の一枚は? フォトグラファー阿部未悠の撮影記/後編

◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 31日(初日)◇東京よみうりCC(東京)◇7023yd(パー70) 女子プロゴルファーの阿部未悠が男子ツアーの最終戦に乗り込み、トーナメントカメラマンデビューを果たしたのは既報の通り。前編ではアウトコースで撮影した写真を中心に掲載し、一日の撮影の流れやトーナメントを撮ることの難しさを伝えてきた。後編では彼女が切り撮った写真を元に、その狙いや撮影技術の細かい話を本人が語る。東京よみうりCC名物の18番ホールを、フォトグラファー阿部はどのように切り撮ったのか? 人間は難しい。動かないほうが楽? 練習グリーンから富士山がくっきり見えるほど、この日(初日)...
2023/06/12GDOEYE

「ハチャメチャな選手」から探る正解 コーチと渋野日向子が試した一週間

◇国内女子◇宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント◇六甲国際GC(兵庫県)◇6513yd(パー72) 3日目(10日)の最終組がスタートする午前11時ごろ、ドライビングレンジのはしっこで予選落ちした渋野日向子が練習していた。右手には剣道のコテのような練習器具を装着し、青木翔コーチとスイングを確認しながらボールを打ち続けていた。 器具はスイングの際に手首の角度をキープするためのもので、青木コーチが米国からインターネットで取り寄せたという。「手首を返さないよう、手の甲を器具に当てたままダウン(スイングを)しようとやってみた」と、前日の金曜日に届いたばかりの器具を使ったショット練習は3...
2023/05/20GDOEYE

スイングに悩むイ・ボミ 悪天候の18ホールを早朝から見守るファンの思い

◇国内女子◇ブリヂストンレディスオープン 2日目(19日)◇中京GC 石野コース (愛知)◇6573yd(パー71)◇雨(観衆2543人) 今シーズンで日本ツアーを離れるイ・ボミ(韓国)は、思い通りに打てないスイングに頭を抱えている。「重心が整った状態で動き出したいんだけど、なかなかそれが出来ない。体を止めると手が動かない。手を動かそうとすると体が動いちゃう。それが、もうずっと。終わる前には分かるかな…」 今季初の予選通過を目指した3試合目は初日に「80」をたたき、2日目も2バーディ、6ボギーの「75」とスコアを落とした。通算13オーバーはカットラインに遠く及ばない。限られた出場機会で1日でも...
2023/05/27GDOEYE

132位で姿を消した19年チャンピオン 池田勇太の今

◇国内男子◇~全英への道~ミズノオープン 2日目(26日)◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山)◇7461yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆1175人) 第2ラウンドを終えると、池田勇太にうれしいニュースが届いた。オフに合宿を一緒にするなど目をかけてきた東北福祉大の後輩で5歳下の32歳・富村真治が、同週開催の下部ABEMAツアーで10年ぶりの優勝を挙げた。「すごくうれしいですし、お祝いしてあげたい」と喜びつつ、「若い世代が活躍してくれたら、うれしい」とどこか距離を置いた言葉が寂しく聞こえた。 池田は2019年に優勝したこの大会以来、勝利から見放されている。永久シードの通算25勝へのカウントダ...