2012年 ライダーカップ

【WORLD】更に増した“一か八か”のリスク/ライダーカップ その舞台

2012/09/24 09:02

Golf Digest(2012年10月号) texted by Ron Witten

勝負を分けそうなキーホール。新たに改造された15番での戦いに注目だ。(Stephen Szurlej/GD)

両チームにとって特に試練となるのは、ジョーンズが新たに改造した15番ホール(391ヤード)だ。ドライバーで攻略が可能な要素を持つパー4は、まさにライダーカップの為に作ったコースとも言えるもの。1980年代後半のカップ戦で、セベ・バレステロスが、池越えが必須のベルフライの10番(パー4)で、ドライバーでグリーンに乗せたことを想起して作られた。ジョーンズも「彼(バレステロス)はベルフライの10番を、ライダーカップ史上初とも言える“生きるか、死ぬか”のホールにしてみせた。これからのライダーカップでは、同じようなホールが必ず1つはみられるだろう」と語っている。

では、メダイナでジョーンズは何をしたかと言えば、これまで特徴の無かった15番のフェアウェイを左側に寄せ、右サイドに池を配置。そしてその池の縁にグリーンを作り、グリーン左脇にはギャラリー用のスロープを作った。なぜなら、ジョーンズはこのコースこそ観客が注目すると考えたからだ。

391ヤードの15番は、優勝を決める可能性のあるホールになるかもしれないが。ティボックス位置の決め方で展開が変わる可能性もある。通常であれば350ヤードレンジなのだが、ジョーンズは280ヤードにまで変えられるティも設置。当然ながら、ラブは現時点でチームのプランをどうするか明かしていない。「まだどうするかは決めていない」と、8月の「全米プロゴルフ選手権」の前に語ったラブは、「まだチームの最終メンバーも決まっていない段階だし、現時点で言うことは全て推測になってしまうから、チームメンバーが固まるまで、それにアシスタントが決まるまでは控えたい」と続けた。

ジョーンズの読みでは、ラブは大会中最低でも1日は15番ホールを1オンが可能なパー4としてプレーすると予想。ただ、大会期間中毎日ということもあり得る。

「(15番ホールは)各マッチで勝敗を決めるのに絶好のタイミングで迎えることだろう。既に勝敗がついていたとしても遅過ぎず、早過ぎることもない。この15番こそ、マッチプレーを戦うのに最高のポイントになるだろう」。(余談だが、1979年以降、実に91%の確率で15番ホールまでマッチは続いている)

15番のグリーンの奥には、タイトに刈られた芝のくぼみがあり、ジョーンズはこうした地帯をコレクションエリアと呼ぶ。同様のくぼみは1番、12番、18番ホールのグリーン付近にも設置され、プレーヤーはパット、チップ、ロブのいずれかを選択することになる。「プロは、これら3つの中から選択しないといけない状況を好まない」とするジョーンズによれば、そうした状況になってもフラストレーションを溜めないチームにアドバンテージがあるという。

そして、最もドラマが起こるとされるコレクションエリアは、476ヤードの12番、パー4だろう。池から見るとグリーンが勾配のついた斜面上にあり、ライダーカップ用のセッティングでは、長さのあるブルーグラスから、刈り込まれたベントグラスへとボールがスロープを転がるようになっているため、仮にキャプテンのラブが池のふち、ラフにある小さなベルト状の地帯を除外するようなことがあれば、ボールは簡単に池に転がり落ちる。

また、ライダーカップはパッティングの腕の見せ所となる要素も含んでいる。特にメダイナNo.3のグリーンはプレーヤーにとって難敵となり得る。全18ホールはジョーンズによって再設計された(2006年の全米プロゴルフ選手権前までに7ホール、その他11ホールは2年前)。メダイナはこれまで、プレーヤーの想像力に訴えかけるようなホールロケーションに欠くコースとされていたが、ジョーンズは全ホールのグリーンに、小さなカーペットほどの広さではあるものの、やや平らなピンポジションを設置。しかし、その周辺は落としどころを間違えれば途端にホールから離れた位置にまで転がるような傾斜が広がり、酷ければグリーンから出てしまうこともある。4番のグリーンは、一見シンプルに見えて実は厄介な場所。6番のグリーン左側にはボールが逃げていくゾーン、8番のグリーン右コーナーには、ラフに真っ逆さまに落ちるような傾斜があるなど、全ホールのグリーンには、絶対にボールを置きたくないポジションが施されている。

どちらのチームに有利に働くかという問いかけに対し、ジョーンズは「どちらにも」と答えるだろう。彼曰く、グリーンは全員にとって素晴らしく等しくあるものなのだから。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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