2012年 ライダーカップ

【WORLD】更に増した“一か八か”のリスク/ライダーカップ その舞台

2012/09/24 09:02

Golf Digest(2012年10月号) texted by Ron Witten

2012年のライダーカップ開催コースはイリノイ州のメディナカントリークラブ。(Stephen Szurlej/GD)

「ライダーカップ」では開催コースが結果に影響することは少ないというのがこれまでの共通認識だった。選手同士による争いが主たる大会であり、コースと対峙することが少なかったからだ。今年の開催コースであるメダイナCCのNo.3コースの設計を担当したリース・ジョーンズも、この意見に反対しているわけではない。しかし、彼が再設計したこのNo.3コースこそ、“13番目のチームメイト”になる可能性が高い。ラウンド終盤になるに連れ、どちらのチームがこのコースの恩恵を受けたかで展開が変わるはずだ。

欧州チームから見れば、ジョーンズがコース設計に携わったということは大きなアドバンテージになる可能性がある。アメリカのトッププレーヤーが、過去にジョーンズが設計したアトランティックアスレティッククラブ、コグヒルについて批判的になったことは言うまでもないほど有名だ(ジョーンズは批判に萎縮したのだろうか?最初こそ気落ちもしただろうが、そのことによって彼の設計哲学は成長した。設計者として、プレーヤー達が常に考えてしまうようなコースを作れなければ、それは自分の仕事をしたことにはならない)。

もしアメリカチームの中に、ジョーンズがメダイナのNo.3でした仕事について先入観を持っている選手がいるとしたら、それだけで欧州チームには1ストロークのアドバンテージが与えられるだろう。ジョーンズは欧州チームが勝利した2004年のライダーカップ(オークランドヒルズ)でもコース設計に携わり、2016年のライダーカップ(ヘーゼルタインナショナル)のコース設計にも携わる予定だ。

とは言うものの、(ホームチームとなる)アメリカ代表キャプテンを務めるデービス・ラブIIIがセットアップを決める権利を持っており、チームの多数派の意見に合う条件にすることが出来るのがライダーカップ。既にラブはメダイナで開催された大会史上、最も影響の少ないラフにするよう要求。ファーストカット部分が10ヤード幅もある上に、フェアウェイの芝と大差無い長さに刈られている。しかもホールの長さ、そしてピンポジションも、ラブに選択する権利が与えられているのだ。

ジョーンズの設計では、ラブ率いるアメリカチームに多くの恩恵が与えられる可能性が高い。たとえば4つあるパー5の2つは、600ヤードを超えるロングホールにもなるのだが、それぞれコース距離を短く出来るようにティを設置することも可能だ。ジョーンズの予想では、ラブは全4ホールを600ヤード未満に設定し、チーム全員が2オンできる距離に設定するとみている。「より短いコースになれば、選択肢の幅は広がる。最大で合計7668ヤードになるところを、彼は7200ヤードくらいに設定するだろうね」と、ジョーンズ。

ジョーズは他にも、パー3の距離にも幅を持たせた。例えば13番は245ヤードに設定し、パー3で唯一池の無いダウンヒルの8番は130ヤードとしてもプレーが可能という具合だ。

様々なパターンが考えられるだけに、プレーヤーにとってはティグラウンドに上がるまで不安が付きまとう。今年の全米オープン(オリンピッククラブ)最終日でも、ジム・フューリックが予想していたよりも短いパー5(516ヤード)で苦しんだのは記憶に新しい。そして、そうした不安はラウンド前の選手に大きな影響を与えるとジョーンズは言う。「毎日コースの距離が変わることで、プレーヤー達はどのように14本のクラブを選択するか迷い始める。どの選手のバッグを見ても、選択したクラブの幅は大きくなる」。

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