【WORLD】タイガーはもはや“その他大勢”?
Golf World (2012年5月21日号) texted by John Huggan
タイガー・ウッズの「ザ・プレーヤーズ選手権」40位タイという結果は、目の前にある考えを助長させることとなった。ウッズは今後どこかの大会で優勝はするだろうが、ゴルフ界を支配することは、もうないだろう。
ゴルフの長い歴史を見渡すと、最高のゴルファーたちはそれぞれの時代で、少なくとも何かひとつは、抜群に秀でたアドバンテージを持っていた。ボビー・ジョーンズは清らかな心と、入れるべきパットを決める比類なき能力によって、グランドスラムを達成した。ベン・ホーガンは、すべてのホールにおいて、左サイドを避ける技術に最も長けたスイングをしていたことで有名だった。
ジャック・ニクラスは、同世代の誰よりもボールを飛ばし、誰よりもパットがうまく、さらにそれらのコンビネーションも素晴らしかった。セベ・バレステロス以上に様々なスタイルでショットを打つ選手を、人々に思い起こさせるものはいないだろう。
そして、思い通りにショットを操ることができるという才能に恵まれたウッズは、一人の人間が成し遂げたことでいえば、誰も見たことのないレベルにまで達した。
しかし、それもここまでの話だ。
悲しい話だが、タイガーのショットのキレ味はほとんど失われてしまった。仮に復調するにしても、TPCソーグラスでの4日間で平凡な成績を見る限り、そう思わざるを得ない。彼がそれに異論を唱えたとしてもだ。
最終日、ウッズは「悪いショットは本当にひとつもなかった」とコメント。「今日はいいプレーができた」というのが、第3ラウンドについての言葉だった。「こんな日もあるよ」と、初日「74」を叩いた後では、まるで悟りを開いたような言葉も残したりした。
しかし、ウッズのそんな主張も次の事実が重くのしかかる。ウッズは、現在、 “75~100ヤードのアプローチショット”で117位タイというひどい状態。この部門はどんなコースにおいてもスコアメイクのために大切な部門のひとつである。さらにティショットの精度についてものデータでも76位タイにランクされているのだ。
別な言い方をすれば、ここ「ザ・プレーヤーズ選手権」までの3試合の40位タイ、予選落ち、40位タイというショッキングな結果を出したタイガーのドライバーショットについては、アーノルド・パーマー招待で大会7勝目を挙げたとはいえ、決して本物ではなかったということでもある(このドライバーショットこそがブッチ・ハーモン、ハンク・ヘイニー、さらに今ではショーン・フォーリーというスイングコーチたちとともに抱えていた一番の問題でもあるのだが)。
そして、ツアーが群雄割拠となったことは数字で証明されている。2011年シーズンは、PGAツアーで3勝以上した選手が1人もいなかった。そして今年も、「ザ・プレーヤーズ選手権」までの21試合で20人の選手が優勝している(GDO編集部注:シーズン2勝を挙げているのはハンター・メイハン。また、翌週のHPバイロンネルソン選手権ではジェイソン・ダフナーが2勝目を挙げた)。ウッズはいまや、単にこれらの優勝者の1人であり、メジャー14勝の男も今は彼らと同じように次の優勝を狙おうとしているツアーメンバーの1人に過ぎないということだ。