日本にいるコーチの父も大変!? 山下美夢有の1万キロ超「リモートレッスン」
◇米国女子◇ファウンダーズカップ 2日目(7日)◇ブラデントンCC(フロリダ州)◇6465yd(パー71)
予選ラウンドを終えて通算7アンダー、7位タイと好位置で週末を迎えることになった山下美夢有。練習日に目撃したとあるエピソードをお届けしたい。
試合が始まる前の火曜日、山下は他の日本人選手の誰よりも早く打撃レンジに現れ、朝早くから精力的に球を打っていた。GC4を打席前、トラックマンを後方にと2台の計測器を設置。iPadも並べて、データを見ながら練習を行っていた。さらにスタッフに動画を撮ってもらって、スイングをチェックした。
すると、山下はイヤホンをつけ始め、会話をしながら身振り手振りでiPadに向かってやり取りを始めた。明らかに画面越しの誰かと話をしていて、指示を受けながらシャドースイングをしている。まさに“リモートレッスン”状態。この光景は日本でも見たことがあるな。コーチである父・勝臣さんにテレビ電話をして、試合会場の練習場でスイングを修正する姿は日本でもおなじみだった。まさか米国に来てもやっているのか…、そのまさかだった。
山下は勝臣さんにスイングの状態を伝え、それに対してアドバイスをもらい、球を打ち、また修正。米国でもこのスタイルを踏襲するのだろうか。それにしても、1万1000キロ以上離れた日本はいま何時?フロリダの朝は日本でいったら夜中。夜遅くまで起きて、山下のために付き合ってくれているということだろう。
リモートレッスンの準備は用意周到。正面からはiPadで画面越しにチェックし、後方からはスタッフが携帯で撮影をし、2方向からスイングのライブ修正。トラックマンのデータなどはおそらくリアルタイムでデータが届く。これなら確かに遠隔レッスンはできそうだった。イヤホンで会話しながら山下はゆっくり球を打ったり、言われたことをトライしたり、慣れた様子でやっていた。
結局、3時間弱ぐらいたっぷり球を打った。練習後に話を聞くと、「LINEのビデオ通話で父と話していました。なかなか思うようなショットというか、スイングがまだ作れていない部分の不安もあって、その辺を話しながらやっています。父は普通に夜の1時とか2時とかでも起きて待っていてくれるので、ほんとめちゃくちゃありがたいです」と練習中の真剣な表情がほころんだ。
スイングの悩みは尽きないようで、「実は日々お願いしていて、(12月の)Qスクールのときもやっていたんですよ。父もなかなか寝られないと思います(笑)」と日課にもなっているようだった。
リモートレッスンが功を奏したか、開幕戦から優勝を狙える“圏内”で決勝ラウンドを迎えることになった。この調子なら勝臣さんの睡眠時間も少しは確保できるだろうか。(フロリダ州ブランデントン/服部謙二郎)