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プレーヤーズラウンジ

ツアープレーヤーたちの被告人<竹本直哉>

2008/12/08 09:33

先週のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で、ついに今季の賞金ランキングが確定した。その前週のカシオワールドオープンでは、当初“圏外”の津曲泰弦が上位70人に与えられる来季のシード権のボーダーラインの73位に滑り混み、逆転の初シード入りを果たすなど、今年も悲喜こもごものドラマが繰り広げられた。その中で、“まないたの鯉”状態で結果を待ったのが、自身2年連続のシード権の確保を狙う竹本直哉だった。

大会が始まる前のランキングは71位。予選通過さえすれば間違いなく安泰、という状況も本人にしてみたら「大丈夫、大丈夫」と、何度言い聞かせても、「もしかして…」と、不安になってしまうのも仕方ないだろう。

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予選2日間のゴルフを一言で表現するなら「とにかく固かった」と、反省しきり。「絶対に予選を通らなければ」との切羽詰まった思いと元々の調子の悪さが加わって、5オーバーの78位で予選落ちした。不甲斐ない結果に自らのブログで「被告人」と名乗り、その心境を裁判の結果待ちにたとえ、「この先はもう他力本願です…」と、観念したものだ。

毎年、同大会では一人か二人、こうして“自宅待機組”が現れるがその心情たるや、計り知れないものがある。土曜日に和歌山の自宅に着いた竹本もまたしかりで、それこそインターネットのスコア速報に「かじりつきだった」という。

特に最終日は逆転シード入りを狙う津曲のほかに佐藤えいちが奮闘し、さらに7年連続8回目のシード権がかかった立山光広の動向にも目が離せない状況だった。3人に抜かれると圏外に弾き出されるだけに、「ヒヤヒヤしながら見ていました」と、振り返る。しかもその日は生放送ではなく、そのためスコア速報が後半からストップしたため、会場にいる契約先ミズノのスタッフと、連絡を取り合うしかなかった。

まんじりともしない2日間は、いよいよ何回目かの電話で晴れた。スタッフだと思って話しかけると、やにわに「竹本! 決まったぞ、良かったな!!」と同じミズノの手嶋多一の声が・・・。ちょうどスタッフの隣にいて電話を変わったようで、その言葉でようやく安堵。

さらにスタッフが「念のために」と、コンピューターの賞金ランキングの速報画面をわざわざ写メールに撮って転送してくれたそうで、「それで本当に安心して…。嬉しいというより、なんとかシード2年目に進級できたみたいで、本当にホっとした感じでした」と、胸をなで下ろした。

同大会では片山晋呉が2年ぶり5度目の賞金王を決め、石川遼が史上最年少の1億円プレーヤーに。また小田孔明がプロ9年目のツアー初優勝を飾るなど、お祝いムードに染まったが、その陰でこんなドラマが繰り広げられていたのだ。

石川はその最終日、やはり逆転の初シード入りを狙う河瀬賢史とのラウンドで、シード権確保の難しさを垣間見た。その心境を思いやり、こんなことを話していた。

「僕は今年、偶然というか、まぐれというか、すごく低い確率の中、優勝することができて、再来年のシード権も獲れたからこうしてドライバーでのびのびプレーできますけど、(シードが)ない状況では気持ちもゴルフも変わってしまうと思う。何年か先には僕も、シード権のためにゴルフをしなければいけない時が来るかもしれない。そのためにシード権のある今年は春先からスコアを考えず、どんな状況でも安定したショットが打てるように取り組んできたんです」。

約4500人以上はいるといわれるプロの中で、70人など一握りだ。さらに、その中で初優勝を経験できる選手などまさに氷山の一角にすぎない。ようやく初シード入りを果たしても、翌年にはあっけなく弾き出されることもあり、ほとんどの選手が1年、1年を薄氷を踏む思いで過ごしている。

「自分では何も出来ない週末は本当に辛かった」という竹本も、どうにかシード権を確保出来たと分った途端に「急にやる気が出てきた」と、やにわに腹筋や背筋の基礎トレーニングで自らにカツを入れたという。翌週のゴルフ日本シリーズJTカップは初日に「勉強のため」と、わざわざ会場にやってきて、プロ仲間や関係者に頭を下げて歩いていた。前週の顔面蒼白とは打って変わった晴れやかな笑顔で「来年もよろしくお願いします!」。来年こそツアー初優勝を狙う竹本にも引き続き、ご声援のほどを…!!



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