「最後までちゃんと下り切る」申ジエが永久シード目前で意識するゴルフ人生の“終活”
◇国内女子メジャー◇ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ 最終日(11日)◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース◇6675yd(パー72)◇晴れ(観衆9752人)
申ジエ(韓国)は、よくゴルフ人生を山登りに例える。頂上に登って終わりではなく、無事に下山して初めて完結するもの。登っている間に小さな下り坂を歩くこともあれば、下りながらわずかな上り傾斜に出くわすこともあるだろう。
2008、12年と「AIG女子オープン(全英女子)」でメジャー制覇を遂げ、米ツアーの賞金女王や世界ランキング1位といった頂上にも立った。栄光に彩られた選手生活の残り時間を意識するようになって久しい。「(引退して)次の人生の計画のために、いまのゴルフ人生を最後までちゃんと下り切ることが大事だと思っています」
昨年は8月「パリ五輪」の韓国代表入りを目指し、米ツアーへのスポット参戦を繰り返した。日本ツアーの出場16試合は本格参戦した2014年以降で最も少なく、未勝利も22年以来2度目のことだった(日本での最終戦翌週にはしっかりオーストラリア女子オープンで優勝していたが…)。
4月28日に37歳の誕生日を迎えた翌週、7年ぶりの国内メジャー通算5勝目。通算30勝の永久シードに王手をかけた。「この優勝も『下り』の中での優勝だと思っています」。日本で未勝利の昨年もセントアンドリュース オールドコース開催だった全英女子では2位に入っている。シーズンで必ずあるような浮き沈みは、幕引きに向かう大きな歩みの中でのこととの姿勢を崩さない。
停滞でも後退でもない、キャリアを美しく締めくくるための山下り。「私が初めて日本に来た時より、(全体的に)プレースタイルがアグレッシブになって、自分の強みを認識している選手も増えた。私は経験がある分、ルーキーの子たちよりは周りが見える。その周りが頑張っていれば、私も頑張れる。一人じゃ成長はできないと思いますし、これからもみんなと一緒に成長したいですね」と変わらぬモチベーションを強調した。
永久シードはもちろん、日本での年間女王、「日本女子オープン」を残すのみとなっている4大タイトル全制覇…。下り切る前に成し遂げたいことが、まだまだある。(茨城県つくばみらい市/亀山泰宏)