「自分でも不思議」な涙目V “ゴルフの師”祖父に見せた桂川有人の劇的フィナーレ
◇国内男子◇バンテリン東海クラシック 最終日(1日)◇三好CC西コース(愛知)◇7300yd(パー71)◇曇り(観衆4192人)
最初は「全く読めなかった」というライン。「3パットもあるし(距離を)合わせて…」という怖さと「入れるしかない」という強い思い。最終18番、桂川有人のバーディトライはカップ3個分のスライスを経て、最後の最後に左に切れるダブルブレークで10m先のカップに消えた。
韓国開催のDPワールドツアー(欧州ツアー)「ジェネシス選手権」で欧州2勝目を手にした翌週。地元愛知で、ゴルフを教えてくれた82歳の祖父・征男(いくお)さんの前で初めて手にしたタイトルだ。
勝って初めて泣きそうになった。涙目になっていたことを記者会見で振られると「地元、家族の前とかいろいろあって。自分でもちょっと不思議です」と笑顔で首を傾げた。ただ、祖父に勇姿を見せたい思いは強かった。「おじいちゃんは(自分の将来に)プロ志向じゃなかったけど、僕が石川遼さんに憧れて、プロになりたいという覚悟を決めて(中学卒業後に)フィリピン留学を認めてくれて。感謝しかないです」と喜びをかみしめた。
悪夢を乗り越える強さもあった。ホール別難度1位の16番(パー3)。4年前の大会3日目にティショットのボールをロストしてダブルボギーをたたき、最終日の4打差逆転負けの遠因となった。この日はティショットが右に飛び、グリーン右手前、つま先上がりの急斜面でボールが止まった。ガードバンカー越しのアプローチは下をくぐって空振り。「そうなるか!」と完全な想定外に頭は真っ白…。今回もダブルボギーとなり田中裕基に並ばれたが、最後の最後に勝ち切った。
日本3勝、欧州2勝の通算5勝目はこれまでと違う。「緊張の中で力を発揮できている。以前なら緊張が悪い方に行きがちだったのに、この2週間はいい方になっていて。不思議ですね。“こういう風になれるんだ”と思います」。一夜明けた2日、欧州ツアーのプレーオフ2連戦の初戦「アブダビ選手権」出場のため、UAEに飛ぶ。桂川が力強い成長を見せつけ、2026年シーズンのフィナーレに突入する。(愛知県みよし市/加藤裕一)