ツアーで実戦投入開始!タイトリスト913ドライバー
2010年秋の発売後、世界のツアートーナメントから一般ゴルファーにも大好評を博したタイトリストの「910シリーズ」。そして今年11月中旬、その進化版「913シリーズ」が市場にリリースされる。それに先んじて、ツアー現場ではトッププレーヤーの間で実戦投入を開始。日本でも今夏から同社契約選手からドライバーのテストがスタートしている。今回は同ブランドのツアーバンにお邪魔した。
前作同様、ヘッド体積460ccの「913 D2」、445ccとやや小ぶりの「913 D3」が用意されている新作ドライバー。選手をサポートするツアープロ担当の向井伸吾さんに、さっそくヘッドカバーを取ってカメラの前で披露していただいた。
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しかし、一見すると、デザインに劇的な変化がないのでは…というのが率直なところ。ソールのデザインに、赤いラインが入っただけ?と、少しばかり拍子抜けした印象もあった。向井さんも正直だ。「パッと見はそんなに変わっていないというのはあります。形状的にはD3はほぼ同じ、D2のほうが多少シャロー、後方に伸びた感じでしょうか」。そして「正直、うちの営業マンも“売りにくい”(アピールしにくい)かもしれませんね…」と苦笑いする。
しかし、その性能については「打ってもらえれば、確実に変化は分かるはずです」と絶大な自信がある。前作で話題を呼んだ抜群の飛距離性能のさらなる向上に取り組み、飛びの3要素である「スピン量」、「打ち出し角」、「ボール初速」を改めて見直した。重心位置を下げることで、スピン量を減らすことに成功。なにせ7月末の男子ツアー「サン・クロレラクラシック」の練習日から試打を開始した選手たちの声が好評だ。「パンと打った瞬間に『あ、これ初速が速くなったね』と全員が同じ反応をしてくれます。スイングの力をロス無く伝える効果があったと思います」
海外メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」では、ロリー・マキロイ(北アイルランド)が同シリーズのドライバー「913 D3」を手にして優勝。2位に8打差をつける圧勝でメジャー通算2勝目をマークした。「マキロイが、勝ったことはもちろんですが、すぐに“変えてくれた”ことは大きな要素です。プロゴルファーは、今使っているものよりも“明らかに良くなければ”ギアを変えません。同等の出来であれば、変える必要が無いからです。今回は909シリーズから910に変わった時より、各選手の移行はスムースになりそうです」
そして日本で新製品をいち早く握ってツアーを戦っているのが、ルーキーの川村昌弘だ。「練習ラウンドでコースの中で打っても、距離が伸びたのがすぐに分かりました」と今月の「関西オープンゴルフ選手権競技」からキャディバッグに入れた。「ヘッドの“顔”はこれまでの流れに沿っていて、すごく大きな変化があるわけではなかった。違和感の無い範囲」と910シリーズでも選択していたD2タイプをチョイス。もともと、川村の弾道はスピン量が多く、ドライバーのロフト角は7.5度に抑えているが「スピン量も減って、球がふけにくくなった印象」と好感触。「実際の計測では15ヤードくらいの伸びでしたが、20ヤードくらい伸びている感じがします」と早くも信頼を置いている。
ちなみに前作の910シリーズ採用された、弾道調整システム(シュアフィットツアー)は継続。ドライバーに関してはネック部分のソケットが同じ仕様になっており、910で使用していたシャフトを、そのまま差し替えることができる。一方、フェアウェイウッド、ユーティリティは、ホーゼル部分がリニューアル。こちらは、日本では9月にテストが開始される見込みだ。(福岡県糸島市/桂川洋一)