ドラールの手荒い洗礼を受けるルーキーたち
「ブルーモンスター」と呼ばれるにはそれなりの理由がある。
昨年、トランプナショナルドラールは牙をむき、「WGCキャデラック選手権」に出場した68人のエリート選手の中で、アンダーパーで大会を終えたのはわずか3人にとどまった。
近年、著名なゴルフコース設計家、ジル・ハンスの手により大幅な改修の加えられたブルーモンスター。昨年、このコースをどうにか手なずけることができたのは、優勝したパトリック・リード、2位タイに入ったジェイミー・ドナルドソンとバッバ・ワトソンだけだった。
今季初頭には欧州ツアーのメンバーにもなった米国のリードの優勝は、大会初出場だったという驚くべき事実により、輝きを増した。
23歳のリードは1999年のタイガー・ウッズ以来となる大会初出場での勝利を飾った。1999年は本大会の初年度で、ウッズ以下、出場選手全てが大会初出場だったわけで、リードは本当の意味でのルーキーとして優勝を果たした初めての選手だったのである。
どちらにせよ、リードのパフォーマンスは、今週、エリートの集うマイアミで、彼の偉業の再現を狙う12人の欧州ツアー出身のルーキーたちにとっては、何よりの励みとなることだろう。以下が、その12人だ。ブルックス・ケプカ、アニルバン・ラヒリ、ベルント・ウィスベルガー、シェーン・ローリー、ダニー・ウィレット、ガリー・スタール、マーク・ウォーレン、アレクサンダー・レビ、ミッコ・イロネン、トミー・フリートウッド、デビッド・リプスキー、ダニー・ヴァントンダー。
この12人の中で、最も意気軒昂にフロリダへ向かうのは、恐らくラヒリであろう。何しろ、出場した直近の2大会で勝利の美酒を味わっているのである。
2014年のアジアンツアーの賞金ランキングで2位に入ったことにより「WGCキャデラック選手権」の出場権を手にしたインド出身のラヒリは、自身のナショナルオープンを制したことにより、先週は「レース・トゥ・ドバイ」のランキングを2位まで上げており、勢いそのままに初めてのトランプナショナルドラールに挑みかかることになる。
アジアンツアーでは、そのラヒリを退けて賞金王に輝いたリプスキーだったが、この賞金総額925万米ドルの大会に臨むにあたり、ラヒリほどの好調の波に乗っているわけではない。とはいえ、米国出身のリプスキーは昨年、一躍その名をとどろかせた「オメガヨーロピアンマスターズ」での勝利により、その実力を証明している。
アレクサンダー・レビにも同じことが言えるかもしれない。アブダビではトップ20入りを果たしているものの、欧州ツアー2勝を挙げた昨年のきらめきは取り戻していない。
しかし、フランス出身のレビは、ここ3週間オフを取って自身のゴルフに取り組んできているだけに、少なくともフレッシュな状態で、全長7481ヤードすべてが試練となる、この壮大なチャレンジに臨むことができるだろう。
同じくオフを取ったローリーも、故郷アイルランドの多雨な気候によりクラブは車庫にしまわれたままになることが多かったにもかかわらず、その間、忙しい時間を過ごした。
この物腰柔らかなアイルランド人選手は、クラブを握る代わりに、新しい筋力兼コンディショニングコーチとともに肉体改造に取り組んだのである。従って、我々は2015年の欧州ツアー初登場となるローリーの引き締まった肉体を目にすることができるだろう。
今季、米PGAツアーでプレーするローリーは、「ファーマーズインシュランスオープン」ではトップ10入りを果たした。「AT&Tペブルビーチナショナル・プロアマ」では21位に入っており、非常に前向きな心持ちでこの大会に臨むことになる。
先週の「ザ・ホンダクラシック」では友人のロリー・マキロイと同胞のダスティン・ジョンソンと同組でプレーしたケプカは、今季は「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で優勝しており、大西洋をまたいでさらなる飛躍を遂げることに成功した。
チャレンジツアー出身のケプカは、ここ12カ月で成層圏すら突き破らんばかりの急上昇を見せている。「トルコ航空オープン」のタイトルとサー・ヘンリー・コットン年間最優秀新人賞をつかみ取った傑出の2014年シーズンを経て、WGCデビュー戦での好パフォーマンスでさらにその名を広く世に知らしめたいところだ。
ケプカ同様、「アブダビHSBCゴルフ選手権」王者のスタール、そして南アフリカのヴァントンダーも世界ゴルフ選手権でのデビューを飾ることになる。