2着目のグリーンジャケットに照準を絞ったカブレラ
またもや目まぐるしい展開で幕を閉じたオーガスタナショナルでの3日目。最終ラウンドを前にトップを走るのは、アンヘル・カブレラ(アルゼンチン)とブラント・スネデカーの2人だ。
アルゼンチン出身で2009年マスターズ優勝者のカブレラは7アンダーで昨年のフェデックスカップ優勝のスネデカーと並んだ。一方、昨年の全英オープンで涙を飲んだアダム・スコット(オーストラリア)もメジャー大会初優勝に向け2人を追尾する。
スコットは3日目を3アンダー「69」でホールアウトし、わずか1打差で最終日を迎える。
同郷のジェイソン・デイ(オーストラリア)とマーク・リーシュマン(オーストラリア)も首位から2打差の4位にそれぞれつけており、オーストラリア人の初優勝に向けて大きく前進している。17年前には、6打差の首位で最終ラウンドを迎えたグレッグ・ノーマンがニック・ファルドに逆転優勝を許している。
「マスターズを優勝することはとんでも無い偉業だよ」と2011年にデイと共に2位タイで入賞したスコットは言う。「オーストラリアにとっては最高の出来事になるよ。下馬評では96年のあの日の出来事を除いて、不利だけどね。」
「何か特別な事をする必要はないと思う。もし私が明日、あの全英の時と同様の状況ならば、とてつもなく調子がいいということだし、あとはそのまま最終日の終わりまできっちりやりきることさ。」
「優勝するには気を抜けない。優秀な選手がたくさんいる。キャリア史上最高のラウンドをしなければならないと思うし、ある種の人間にはそういう事がこうしたビッグイベントで起こるんだ。こういうラウンドで勝ち抜くことでチャンピオンとなれるのさ」
一方、2008年大会では最終日を首位タイで迎えながらも77と崩れて3位に終わったスネデカーは、3日目をボギーなしの「69」でホールアウトした。12ホール目までを12個のパーで乗り切り、13番、15番、16番でそれぞれバーディを記録した。
2013年の米国ツアーでは脇の負傷を負うまでは3位、23位、2位、2位、優勝を記録した好調の32歳は「池の中のアヒルのようだよ。表面では落ち着いているけど水面下ではプレッシャーで心臓がバクバクさ」と述べた。
「これまでの3日間はそんな自分を落ち着かせてプレーできているので、この調子を明日にも繋げていきたいね」
カブレラは2009年のマスターズ制覇以降、メジャーツアーでの優勝はなく、世界ランクも269位にまで順位を落としている。しかし、今回大会は6番、8番、10番ホールでのバーディで先頭に立っている。
4年前にケニー・ペリーとチャド・キャンベルとのプレーオフを制した43歳は12番、グリーン横のバンカーで横に出さなければならず、続く13番ではスリーパットで連続ボギーを叩くも、16番、18番でバーディを奪って挽回した。
「最終日に向けて優勝を伺える、とても良いラウンドだった」と12月にアルゼンチンのナショナルオープンを制した彼は振り返る。「18番でのバーディが取れたことは自信を保つ上で重要だった」とカブレラは語った。
「全ては明日、どれだけ良くプレーできるかだと思う。過去に制したことはあまり関係ない。我慢することだね」
「今日はアンダーパーで回れたけど、明日も好調を維持しなければ優勝はできない」
「2009年は緊張もしたし周りが気になったけど、今はとても落ち着いているよ。自分が優勝するためにはどうすべきかは判っている」
デイは12ホール連続パーの後、13番でバーディを得た段階では首位に並んだが、最終2ホールでの連続ボギーで2打差に後退。
欧州勢ではリー・ウェストウッド(イングランド)とベルンハルト・ランガー(ドイツ)が5打差でつけており、まだ優勝の可能性を残している。
タイガー・ウッズも4打差でつけており、5着目のグリーンジャケットと15回目のメジャータイトル獲得を狙っている。37歳のウッズは第2ラウンドでの2打ペナルティーを振り払うべく、追い上げを目指す。
ウッズは2日目、15番ホールでドロップが不正と見なされペナルティーを課せられた。
これにより、首位を走っていたデイとは5打差で第3ラウンドを開始。2005年、前回マスターズ優勝時には彼は前半を終え6打差で後半を迎えたが、今回はいち早く1ホール目からバーディで差を縮めた。
世界ランキング1位のウッズは4番でボギー、7番でバーディのあと、8番の約1メートルのバーディパットがホール周りで弧を描き外れた。
ウッズは次のホールでも更に1打落とし、自ら傷口に塩を塗り、前半を36で折り返した。また11番では更にボギーを記録し15回目のメジャー大会優勝は遠退いたようにも見えた。
しかし、ウッズは12番でバーディを奪うと、13番ではグリーン横のバンカーにはまりながらも見事連続バーディを記録、15番でも6メートルのパットを沈め更にスコアを伸ばした。
16番でもバンカーにはまったが、トレードマークでもあるホールに入るまでボールを追って闊歩する仕草を見せながらピンチを抜け出し、パーセーブで乗り切った。17番も同様にバンカーにはまるも、同じ形で乗り切り最終ホールを迎えた。
最終ホールではドライバーを横に引っぱり、アプローチもグリーン手前に落ちたが、3打目のピッチングで残り3メートルにつけてパーとし、3日目を「70」でホールアウトした。