2022/11/13GDOEYE

軸足はシニアツアーにも 藤田寛之のモチベーションの源

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(12日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70) 正直なところ、52歳で迎えたシーズンはどうにも気分が乗らないでいた。「モチベーションは…高くなかったですね」。23年にわたって守ってきた賞金シードを喪失したのが昨年末のこと。今年は「生涯獲得賞金25位以内」の資格でレギュラーツアーに残りながら、成績が振るわず、明確な目標を描けないでいた。 季節は初夏。プロとして数百試合に出場してきた大ベテランの心境は1つの大会でガラリと変わった。6月16日は53歳の誕生日。翌日から行われた「スターツシニア」で5打差をつけて後続を圧倒し、国...
2021/12/05GDOEYE

「10年に1度のアクシデント」 名物18番を支えるグリーンキーパーのこだわり

◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70) シーズンを締めくくる18番(パー3)はこれまで、数々のドラマを生み出してきた。丸山茂樹が日本ツアー10年ぶりの勝利を挙げて男泣きした2009年、劇的なチップインを入れて初優勝を決めた宮里優作が腰を抜かして歓喜した2013年―。グリーンを取り囲むギャラリー席から沸く歓声、ため息とともに繰り広げられるドラマは今年もいよいよ佳境を迎える。 東京よみうりCCのグリーンキーパーを務める大橋敬之さんは、開幕2日前の火曜の夜から翌水曜の朝方まで降った大雨に「10年に1回ぐらいのアクシデント」と振り返った...
2021/05/17GDOEYE

奇跡から実力へ 大里桃子とパターイップス

国内女子◇ほけんの窓口レディース 最終日(16日)◇福岡カンツリー倶楽部和白コース(福岡県)◇6335yd(パー72) 始まりは2018年の最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」(11月)だった。会場の宮崎CCは国内ツアーで珍しい高麗芝のグリーン。30cmのショートパットを外し、大里桃子は「あれ?」と違和感を覚えた。 「悪いパットじゃないんだけど入らない。それがなんか気持ち悪いなって思ったままシーズンが終わっちゃって…」。同年オフに参加した企業のプロアマ大会では1mが決まってくれず同伴競技者に謝罪した。「19年シーズンが始まると試合でも短いパットが全然決まらなかったんです」。...
2021/05/26GDOEYE

距離測定器は使いたい? 女子選手らに聞いてみた

男子の海外メジャー「全米プロ」で距離測定器の使用が認められ、松山英樹が手に取る様子も見られた。スピードアップが一番の目的だが、現状では認められていない国内女子ツアーの選手らに、前週の「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」(愛知・中京GC石野コース)の会場で測定器について聞いてみた。 練習ラウンドでは使うことが多いという渡邉彩香は「フェアウェイとか普通のラフで使うかは分からないが、私は隣のホールから打つとか、結構トラブルが多いので、そういうときだったら使うかも。たとえば、刻んで出すのに目標とする木までどれぐらいとか。イレギュラーな場面で使ったらプレーも速くなるかな」と話した。 古江彩佳は「...
2022/11/21GDOEYE

フェニックスの“わくわくゲート” 入場口リニューアルへの着想と思い

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 最終日(20日)◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71) 装いの変わった入場ゲートの先には、48年の間、紡がれてきた瞬間が詰まっていた。クリスタル製の優勝トロフィ、歴代王者の名前が刻まれたボード。彼らがフェニックスCCに寄贈してきたクラブやボールはショーケースに整然と収まり、来場者はタイガー・ウッズ、松山英樹らチャンピオンの銅製の手形レリーフと自らの手を合わせることもできた。 暗がりの部屋に足を進め、目に映るのは過去のハイライトを織り交ぜた大会のプロモーション映像。来場者はこの入り組んだ20mほどの通路を歩き、1974年から続く歴史の...
2021/11/01GDOEYE

渋野日向子の「面白いゴルファーを目指す」というプロ意識

◇国内女子◇樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日(30日)◇武蔵丘GC(埼玉)◇6550yd(パー72) 上限3000人ながら、有観客で開催された今大会。渋野日向子は「期待しないでほしいなと思いながら回っていたけど、きょうみたいに見ている側からしたらハラハラドキドキするような“面白いゴルフ”で勝てたのはうれしかった」と、3日間55ホールの激闘を満足そうに総括した。 ペ・ソンウ(韓国)が渋野を1打リードして迎えた終盤の17番。ぺがピン手前1.5mのバーディチャンスにつけたのに対し、渋野はセカンドショットをミスして右約18mに乗っただけ。「ソンウさんがバーディチャンスにつけていたの...
2021/11/15GDOEYE

間もなく43歳 “兄貴分”谷原秀人からのメッセージ

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日(14日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70) 谷原秀人が後輩から慕われる理由を垣間見たのは、2017年「全米プロ」だった。松山英樹がメジャー初優勝に迫ったクエイルホローの激闘。惜敗し、インタビュー中に悔し涙をこぼした松山が帰りの駐車場に向かうと、谷原が待っていた。最終日のスタートは谷原の方が5時間半ほど早かったが、快挙の可能性を信じてコースに残り、敗れた松山をねぎらっていた。 2週前の国内ツアー「ISPS HANDA ガツーンと飛ばせ」でも印象的な場面があった。最終日最終組で一緒に回った植竹勇太が5打のリードを守れず...
2022/12/13GDOEYE

考えたのは“ボールと打順” JGTOチームのV戦略

◇国内ツアー対抗戦◇Hitachi 3Tours Championship 最終日(11日)◇大栄カントリー倶楽部(千葉県)◇3625yd(JGTO)、3417yd(PGA)、3261yd(JLPGA)=9ホール(パー37) 国内3ツアーによるペア対抗戦は、国内男子(JGTO)チームが5年ぶりの優勝を遂げた。各自のボールをプレーして良い方のスコアを採用する午前中のベストボール方式(フォアボール)でリードを奪い、1つのボールを交互に打つ午後のオルタネート方式(フォアサム)で逃げ切った。 異なる2つのフォーマットのうち、選手たちの頭を特に悩ませるのがオルタネート方式だ。ゴルフは、使用するボールの種...
2022/10/31GDOEYE

「勝って見返す」 金田久美子が果たした心の誓い

◇国内女子◇樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日(30日)◇武蔵丘GC(埼玉)◇6550yd(パー72) 金田久美子のインスタグラムには15万人を超えるフォロワーがいる。試合結果や練習動画といったプロゴルファーのSNSでは一般的なものだけでなく、オフのプライベートな過ごし方を紹介したり、ネイルなどこだわりのファッションに絡んだ投稿も少なくない。コロナ禍によりトーナメント会場での対面の交流に規制がかかって久しいだけに、ファンにとっては身近に感じられる貴重なツールとなっているかもしれない。 しかし、SNSでの積極的な発信は良いことばかりとはいかないのが現状だった。「ちょっとしたご飯...
2021/09/27GDOEYE

「東京・金」の夢破れた畑岡奈紗 ツアー5勝目でリスタート

◇米国女子◇ウォルマート NW アーカンソー選手権 最終日(26日)◇ピナクルCC(アーカンソー州)◇6438yd(パー71) 「東京五輪で金メダル」。アマチュア時代に描いた夢は8月、はかなくも散った。「自分のプレーが最後までできなかった」。結果は9位。畑岡奈紗は直後のオープンウィークに4、5日、クラブを握ることができなかった。茨城の実家にいる愛犬、トイプードルの「アポロ」と「ステラ」を思い浮かべて言う。「2匹には、すごく助けられている部分があります」 霞ヶ関カンツリー倶楽部での戦いを終え、ツアーはすぐに再開。2週後のメジャー「AIG女子オープン」(全英女子)のあいだも、「悔しさが残っていた」...
2021/09/28GDOEYE

仁義なきパター戦争 テーラーメイドVSオデッセイ

女子ツアーのグリーン上で火花がバチバチと散っているようだ。前週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(宮城・利府GC)の会場。原英莉花は2週前の「住友生命 Vitality レディス 東海クラシック」から投入したテーラーメイド トラス TB1 トラスヒール パターを使用していた。 以前はオデッセイ(キャロウェイ)のパターを愛用していたが、「これまで使っているパターに不満があったわけではないですが、ミスヒットに強い。私はハンドダウンになりやすいが、それが出にくい。ちょっと気分転換もかねて」と理由を説明した。 原を筆頭にトラスパターを愛用するものが増加している。ミスヒット時にフェースのねじれを...
2021/11/22GDOEYE

本能任せからの脱皮 渋野日向子を導く「ゴルフを理解したいという気持ち」

◇国内女子◇大王製紙エリエールレディスオープン 最終日(21日)◇エリエールGC松山(愛媛県)◇6545yd(パー71) コロナ禍に見舞われた2020-21年シーズンは渋野日向子にとっても激動の期間だった。20年の開幕が大幅にずれ込み、ランキングで出場が確実視されていた「東京五輪」は延期。12月「全米女子オープン」での優勝争いも経て、21年はスイング改造を並行して戦ってきた。 「この1年半でゴルフの内容はガラッと変わったと思うし、気持ちの持ちようも変わった。2、3カ月のアメリカ遠征を2回もさせてもらって、自分の足りないものを見つけて、もっと変えたいと思ってスイング改造、勉強を始めた」。自分が信...
2021/12/08GDOEYE

松田鈴英らが涙 歴代プロテスト1位の明と暗/国内女子QT振り返り

プロ野球では「ドラフト1位」という枕詞で選手が紹介されることがある。個人的な考えだが、女子ゴルフ界にやや強引に当てはめると「プロテスト1位」がそれだろうか。プロ入り同期の中で最も注目度が高い選手でもある。 来季の出場資格をかけて96人が出場した12月初めのQTファイナルステージ(静岡・葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース)には多くのプロテスト1位が参加した。2017年に2度目の挑戦でトップ合格し、躍進中の「黄金世代」と同期で、優勝は時間の問題とみられていた松田鈴英もその一人だった。 6月ごろに行われるリランキング(賞金額に応じて出場優先順位を組み替える制度)までの試合に優先的に出場するには30位以内が...
2021/10/05GDOEYE

米ツアー参戦へ視界良好 勝みなみが追求してきた飛距離の優位性

◇国内女子メジャー◇日本女子オープンゴルフ選手権競技 最終日(4日)◇烏山城CC(栃木県)◇6550yd(パー71) メジャー初勝利を手にした勝みなみには優勝者の特権として3年間のシード権が付与された。獲得から10年以内であれば任意のシーズンに行使することができ、「本当に魅力的」と目を輝かせるのも米ツアーへの挑戦を視野に入れているから。勝は今夏に一度、米ツアー出場権をかけたQスクールへのエントリーについて調べていた。 日本開催ではない米ツアーにプロ転向後に初めて出場したのは2019年4月「ロッテ選手権」(17位)。その後は「全米女子オープン」に3回連続、「AIG女子オープン(全英女子)」に2回...
2021/10/11GDOEYE

「ああだこうだと言ってた人を見返したい」 渋野日向子の反骨と焦燥

◇国内女子◇スタンレーレディスゴルフトーナメント 最終日(10日)◇東名CC(静岡)◇6592yd(パー72) 「ん~、嫌でも耳に入ってきてしまうので。それでも新しいスイングで勝ったときに『ああだこうだ』と言っていた人を見返したいと…。そういう気持ちを片隅に置きながら、やっていました」 渋野日向子の本音が思わず漏れた。米ツアーを主戦場にするべく取り組んでいるスイング改造。ファンを含めて、批判的な声が届いていた。 「手をインに引き過ぎると、振り抜きが固くなってしまうので気をつけています。あとは向き。今までは遠くをターゲットにしていましたが、今週から1mくらい先の芝だったりに対して向くっていう、み...
2021/10/12GDOEYE

渋野日向子が体現した“苦労して勝つドラマ”

◇国内女子◇スタンレーレディスゴルフトーナメント 最終日(10日)◇東名CC(静岡)◇6592yd(パー72) 「もう一回、メジャーで勝ちたい」-。日本中が松山英樹の「マスターズ」制覇に熱狂していた4月、米ツアー出場のためハワイにいた渋野日向子にも新たな思いが生まれていた。 2019年「全英女子オープン」を勝ち、究極の目標として掲げた「5大メジャー全制覇」。コロナ禍にあって懸命に米ツアーへのスポット参戦を重ねた2020年のうちに気持ちは揺らいだ。その20年に開催されれば出場確実だったはずの「東京五輪」も、1年の延期を経て代表レースが激しさを増していた。 そんな中で飛び込んできた超ビッグニュース...
2021/10/08GDOEYE

サッカー元日本代表も参戦中!「フットゴルフ」ジャパンツアーの楽しみ方

サッカーとゴルフが融合した「フットゴルフ」という競技をご存知だろうか? 2009年にオランダで誕生した新スポーツだが、すでに国際フットゴルフ連盟(FIFG)には33カ国が加盟(2021年現在)しており、これまで3度のワールドカップも開催されてきた。第4回大会は2021年に日本で初開催される予定だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、残念ながら中止となってしまった。 9月25日(土)、26日(日)の2日間、“幻の”ワールドカップ開催予定地だったセブンハンドレッドクラブ(栃木県さくら市)で、フットゴルフ・ジャパンツアー「さくらチャンピオンシップ」が開催された。ジャパンツアーはその名の通り...
2021/09/08GDOEYE

サニングデールGCで感じた頂点の微香 塚田好宣が歩む“我がゴルフ道”

鉛色の空から落ち始めた細かな雨も、まったく気にならなかった。2021年7月、英国ロンドン郊外にあるサニングデールGCで行われた「全英シニアオープン」最終日。8位から出た塚田好宣は15番ホールを終えて通算8アンダーとし、最終組で回る首位のスティーブン・ドッド(ウェールズ)に3打差まで迫っていた。 同組で回るのは、“ビッグイージー”ことアーニー・エルス(南アフリカ)。1組後ろにはベルンハルト・ランガー(ドイツ)がいて、その後方にはミゲル・アンヘル・ヒメネス(スペイン)とダレン・クラーク(北アイルランド)の名手2人が回っている。その後ろが最終組だ。 初挑戦の海外シニアメジャーも残り3ホールとなったそ...
2021/09/27GDOEYE

腰痛、骨折、虫垂炎…アマチュアVを遂げるまで中島啓太が「準備」してきたもの

◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 最終日(26日)◇城陽CC (京都)◇6967yd(パー72) 全ての競技が終了して場内の雰囲気がセレモニーへと移り変わるにつれて、一切の感情を見せずに優勝パットを決めた中島啓太の目は徐々に赤く染まり、涙がこぼれ落ちた。日本男子では20年ぶりの金メダルを手にした2018年「アジア競技大会」でうれし涙を流して以来、流したのは悔し涙ばかりだった。「やっと、うれし涙を流せてうれしいです」 高校1年生の2016年は173cm、65㎏だった中島は、翌17年に177㎝、70㎏に成長。18年1月「オーストラリアアマチュア選手権」を制してさらなるパワー...
2021/09/07GDOEYE

30歳からゴルフを始めた異色の賞金王 寺西明のルーツをたどる<前編>

あなたのゴルフ人生を教えてください 寺西明・前編 代表取締役の肩書を持つシニアツアー賞金王。寺西明ほど異色のキャリアを歩み、成功に至ったプロゴルファーはいないのではないだろうか。30歳から本格的にゴルフを始め、地元の兵庫県で起業。49歳でプロテストに合格し、54歳で賞金王に上り詰めた。「すべてがゴルフに通じていた」と言う、その半生を振り返る。 ゴルフに興味のない野球少年 ―子供の頃に打ち込んでいたスポーツは? 「小学校時代は野球に取り組み、空手も習いました。ゴルフには全く興味がなく、野球のバッティング練習の延長で、近所の打ちっ放し練習場に出向いていたくらいです」 ―当時からゴルフの才能は感...