タイガー・ルール トラブル撲滅への手段
US Golf Digest 2014年1月号 texted by Divid Fay
タイガー・ウッズを取り巻くルールに関する話題は終わったかに思えた。しかし、ルールの識者からすれば、この論争が巻き起こった状況は歓迎すべきものだったのではないだろうか。なにせ今では、彼のおかげで以前より多くのゴルファーが、次のルールを理解するようになったからだ。
1.ローカルルールでは、埋まってしまったボールは、フェアウェイ近くの砂地で埋もれたボールとはみなされない(アブダビHSBC選手権より)。
2.辛うじて可能なことは、インチ単位の計測であり、ヤード単位ではない(マスターズより)。
3.ハザードの境界を超えたかどうかの判断は、大きな違いを生み出してしまう(プレーヤーズ選手権より)。
4.アイザック・ニュートンの力学は、ボールがルース・インペディメントに触れた時、もしくは、そこから動いた時に適用される(BMW選手権より)。
最も混乱を招いたのは、タイガー自身の誤った判断である。
ペナルティを科された以上の4大会において、彼は問題が起こった時点で競技委員を呼んでいれば良かった。ウッズのプレーは、その高い注目度のあまり、細部にまで渡り注視される。彼自身も、コース上の競技委員が、ルール解釈のサポートをしてくれると理解していた。およそ40,000字の、600頁にも及ぶルール、そして解釈付きのマニュアルが存在するということも。つまりタイガーは、ドロップする適切な場所を、委員が責任を持って指示してくれることを理解していた。それにより選手が間違いを犯すリスクから解放されるということも。
もしアブダビでタイガーが競技委員を呼んでいたら、どうなっていただろうか?委員は残念そうなタイガーの表情を見て、「ボールは砂地にある」と言い、本人が埋まったボールの状態を確認し、プレー続行不可能と宣言していただろうか?そうすれば2打のペナルティは科されなかったのだろうか。
タイガーは、競技委員がペナルティから守ってくれることも知っていた。1999年にTPCスコッツデールで開催されたフェニックス・オープン最終日、巨大な岩が障害物かどうかの判定を要請。そしてギャラリーに協力してもらい、その石を動かせるかどうかを委員に確認している。
BMW選手権の話に戻るが、ボールが動いたと認めず、リプレー映像を見られたらどうだったか。可能性として考えられるのは、映像の確認を拒否しただろうということ。これは、スコアリングトレーラーに乗っていたある人物の話。Foxスポーツのロバート・ルーズティッチ氏が伝えたところによれば、こうだ。
「ウッズは競技委員のスラッガー・ホワイトに対し、2打のペナルティを科され、不満を爆発させた。ホワイトはウッズに問題のシーンを録画した映像を見せようとしたが、ウッズはこれを拒否。もし映像を見る気分だったのなら、自分が間違っていたと知っただろう。だが、ウッズは自分の誤りを時に認めない傾向がある為、怒りを爆発させた」。
1年を通して、正確性が求められる場面でタイガーは苦しんだ。大目に見てもらえる問題ではない。多くのギャラリー、そして全米中継用のカメラに囲まれ、タイガーの動きは事細かに注視される。時には過度に。だがルールを忘れ、誤った知識を持ってしまっていたことが、重大な問題を生んだのだ。
今後、タイガーが同じ過ちを繰り返すとは思えない。そして、今後、どんなに些細なこと、または目に見えて明らかなことであっても、判定の為に他のゴルファーが委員を呼ぶ可能性を考えるべきだ。彼らはそれだけ、リスクを負う可能性が高くなってしまったのだから。今やプロゴルフはビッグビジネス。失態を予防出来るルールがあることで、賞金を失うことなく、優勝の可能性を失うことなく、そしてまた、自分の評価を損ねる心配もなくなる。
タイガーの状況は、ブランデル・シャンブリーの記事によって悪化した。シャンブリーは記事の中で、タイガーがルールについて少々傲慢になっているとし、小学4年生が行うカンニングの類と比較した。そして、今も私が同じように論じているというわけだ。