デイリーラップアップ:マックグラッドリークラシック初日
深い霧による中断の間、ロッカールームで仮眠をとったブライアン・ゲイに、上海からシーアイランドまで及んだ世界半周の長旅の疲れは見られなかった。
「マックグラッドリークラシック」初日、午前スタートのゲイは、8バーディを奪い7アンダー「63」でホールアウト。ブライニー・ベアードとともに首位タイで終えるほどに回復していた。初日の競技は霧のため2時間近い中断に見舞われ、サスペンデットとなった。
霧が晴れ、太陽が照り始めると、シーサイドコースはほぼ無風となった。5連続バーディを決めたジョージ・マクニールは、日没のため2ホールを残しているが8アンダーを記録した。ウィル・マッケンジーは16ホールを終えて7アンダーとしていたが、残り2ホールで3ストローク落として「66」でホールアウトした。
海岸特有の朝霧は、ゲイにとっては最高の贈り物だった。
「とっても疲れていたんだ」と、ゲイ。
選手たちは、霧が消えると同時にラウンドが再開される旨を伝えられていた。その間ゲイは、練習場で時間を潰すのではなく、リラックスしたいと考えていた。そこで彼は、シーアイランドのロッカールームに向かい、革製の椅子でうたた寝したあと、ウォーミングアップを再開した。
「ティオフの時は良い感覚だったよ。エネルギーが戻ってきた感じだったね」。
4週間で4カ国を訪れる、稀に見るハードスケジュールの真っ只中にいるゲイにとって、今大会は3大会目に当たる。2週間前、マレーシアの「CIMBクラシック」でスタートした彼は、8時間のフライトを経て上海での「WGC HSBCチャンピオンズ」に出場した。今週は彼の自宅のフロリダ州オーランドからわずか3時間という場所でなければ、おそらく出場していなかっただろう。彼はこのコースとの相性も良い。この大会が終われば、来週はメキシコに飛び「OHLクラシックatマヤコバ」に出場し、各国をラウンドする秋のPGAツアーは完結する。
スコット・ピアシーとブー・ウィークリーの2人も、同じく先週の「WGC HSBCチャンピオンズ」に出場したが、初日は揃って「67」でホールアウトした。
両肩の手術から復帰したばかりのベアードほど、ドキドキしながらスタートした選手はいなかった。彼がPGAツアーに出場するのは、左肩に違和感を覚え、ほどなく右肩も痛み始めた2012年5月以来のことだ。手術が必要だと気付くまで、彼は痛み止めのコーチゾン注射やリハビリを試みていた。彼は1ヶ月の間を置いて2度の手術を行った。そして彼はウェブドットコムツアーへの復帰を急いだ。
ついに、彼はクラブを振れるまでに回復し、肩を頭の上まで持ち上げることもできるようになった。彼は
優勝トロフィーだって問題なく掲げられると思いたいだろう。たとえそれが、かつて経験したことがないことだとしても。この試合がPGAツアー365試合になるが、彼はまだ一度も優勝したことがない。
この事実は彼を悩ませるだろうが、人々が思うほどではない。
「僕は多分、一勝したけど一番稼ぎが少なかった選手ではなく、一勝もできなかったけど一番稼いだ選手でいたいんだ」とベアード。「そんなキャッチフレーズを聞いたら、少し混乱するだろうけどね。だって、僕たちはみんな優勝するためにプレーする。でも、それは事実とは違うから、少し身がすくむ思いがするんだ。もしそうでなければ、僕たちはお金を全部チャリティに寄付して、あばら屋に住んでいるだろう。だから、優勝がすべてというわけではないんだ」。
ある意味では、彼の言っていることは正しい。今の彼にはPGAツアーの出場権を確保するための賞金が必要なのだ。彼は現在、公傷制度を利用してツアーに出場しているため、残りシーズンも出場し続けるためには、463,399ドル(およそ4,500万円)以上の賞金を獲得する必要がある。
先月の「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」で今シーズン初勝利を飾ったウェブ・シンプソンは、ケビン・キスナー、ケビン・チャッペル、ノ・スンヨルと同様に「65」でホールアウトした。
ゲイは「WGC HSBCチャンピオンズ」終了後、夕方6時の便で帰途についた。まず14時間かけシカゴに飛び、わずかな時間のトランジットを経て、さらに2時間かけオーランドへ飛んだ。月曜はリラックスしようと務めたものの、夜も明けきれぬうちに目が覚めてしまった彼は、時差ぼけを解消するにはあと数日しかないことに気がついた。
いくつかのロングパットに助けられた彼のプレーに、悪い部分は見当たらなかった。
ゲイはしばしば、キャディにパッティングの読みを任せる。しかし最初のホールで2.5メートルのパットを外してからは、キャディに頼ることはせず、ゲイ自らが判断するようになった。その結果、9メートルほどのロングパットを3本も決めた。
「朝の段階では、あまりすっきりした気分ではなかったんだ。ここ数日、きちんと眠ることが出来ずに本当に疲れていたからね。しかし今日は良い日だった。ゲーム運びも良く、ロングパットもいくつか決まった。とにかく良い日だったね」と、ゲイは初日を振り返った。
5連続バーディを決めた時点で、8ホールを残して6アンダーだったマクニールには、「60」を切って「59」の大記録も期待された。しかし2番で2.5メートルのバーディパットを失敗した彼は、パーセーブにもタフな状況に直面した。そこで彼は、「60」を切る切らないを考えるより、目の前の一打に集中すべきと気持ちを切り替えた。2日目の金曜日、彼は初日をホールアウトできなかった他の49選手と共に初日のラウンドを終わらせることになる。