2026年 BMW選手権

PGAツアーを支える「ショットリンク」の進化と舞台裏

2026年 BMW選手権 最終日
ショットを放つ松山英樹。ボードには「2打目」「残り173yd」などの情報が表示

PGAツアーが誇る「ショットリンク」のシステムが登場してから、今年で25周年となる。選手のスコアやボールの位置情報をはじめ、豊富なスタッツも提供しており、現在も進化を続けている。ショットリンクは、ゴルフ取材をする関係者にとってなくてはならないシステムであり、熱心なゴルフファンにとっても観戦に欠かせない便利なツールだ。

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コースに設置されたカメラ

初期のショットリンクでは、フェアウェイ脇やグリーン奥の台上に設置されたデバイスからコース内のボールにレーザーを照射し、その位置を特定してデータを送信する方法が使われてきた。もちろん、その作業を担っていたのは各大会に携わるボランティアたちだ。

ところが近年では、このレーザーデバイスは姿を消し、その代わりに高さ約10mのポールの上にカメラを設置した装置が多く見られるようになった。モーションディテクターとしての機能を備えたこのカメラは、選手が打ったボールを追随し、位置情報を検出する。1ホールにつきフェアウェイ付近に2カ所、グリーン周りに3カ所、さらにティイングエリア後方にもカメラが設置され、ホール全体をカバーしている。

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コースはドローンなども使って測量し、2週間前には形状を確定する

ショットリンクの現場責任者、ショーン・ハウランド氏が説明する。

「ショットリンクを稼働させるためには、まずコースの形状をデータ化する必要があります。何度も試合を開催しているコースなら過去のデータが、ある程度利用できますが、『BMW選手権』のように新規のコースで開催する場合には、大会の4~6カ月前に大まかな形状をデータ化する作業を行います。実際にドローンを飛ばしたり、必要であればスタッフが歩いて測量したりするんです。しかし、半年前という時期はコースがまだ一般営業をしている時期です。フェアウェイ幅は試合のセッティングに合わせるため、大会前に狭めることがほとんどですので、約2週間前に精密測量を行い、コース形状を確定させます。そんな作業を3~4チームで手分けしながら行っているんです」

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グリーン上の久常。ホールまでの距離情報がボードに表示されている

もう一つ、大きな謎があった。グリーン付近に設置された電光掲示板には選手の情報が表示されるが、まさに今パットしようとしている選手の情報が、タイミングを合わせたかのように表示される。誰かが表示内容をコントロールしているように見えるのだが、一体誰が行っているのだろうか。

答えはこうだ。現在、各組にはスコア管理を担当するボランティアが一人ついて歩いている。そのボランティアはツアーから支給されたスコア管理デバイスを携行している。ポイントは、その役割が単にスコアを入力するだけではないということだ。

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選手に帯同するボランティアの仕事は単にデバイスに選手のスコアを打ち込むだけではない

ある選手がボールを打つ際、ボランティアはスコア管理デバイスの画面をタッチして選手を指定する。次に、選手がアドレスに入ると画面下部のボタンを押し続け、ショットすると指を離す。ここで「選手がショットを行った」という情報がシステムに送信される。その後、ボールの止まった場所を指定する(※パットの場合はカップインの成否)。この作業がシステムと連動しているため、グリーン横のスクリーンには、まさにこれからショットしようとしている選手の情報が表示されるのだ。

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スコア管理業務のフランク・ハヤカワさん

BMW選手権3日目に久常涼の組でスコア管理業務を担当したフランク・ハヤカワさんが説明してくれた。

「全米オープンでは、ボランティアの作業の正確性が評価されていたんです。入力ミスは修正してもらえますけど、中にはミスの多いボランティアもいますからね。あと、来年はショットリンクがさらに進化し、このスコア管理デバイスにもカメラが搭載されるという話を聞いています。さらに進化していくようですよ」

もしかしたら、現場で取材する必要すらなくなる日が来るのではないか。そんなことを考えながら取材していたことは、言うまでもない。(JJ田辺カメラマン)

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