プレー中に「敗戦」速報 トランプ大統領とゴルフ界の4年間を振り返る
4年に1度の米国大統領選挙で、民主党のジョー・バイデン氏が共和党の現職ドナルド・トランプ氏を破って当選を確実にし、バイデン氏は7日夜、勝利を宣言した。一方、再選を逃したトランプ氏は「敗戦」が一斉に報じられた際、首都ワシントン近郊にある自身のゴルフ場でプレー中だった。4年間の任期中も保った、ゴルフとの深いかかわりを象徴する瞬間だったとも言える。
大統領就任前後もトッププロとラウンド
不動産王としても有名だったトランプ大統領は現在も、国内外に19のゴルフ場を持つ大オーナーだ。国家元首に就く前からゴルフを通じて親しくなったツアープロが多数おり、2016年12月の就任直前にはフロリダ州パームビーチの所有コースでタイガー・ウッズとプレー。ちなみに「大統領は80くらいで回った。70歳(当時)にしてはうまいね」とは17年2月に一緒に回ったロリー・マキロイ(北アイルランド)の評。
安倍晋三前首相とのゴルフ外交
トランプ政権誕生が決まった2016年11月、ニューヨークを訪れた安倍晋三前首相の手土産は本間ゴルフ製の1Wだった。就任後の17年2月、両首脳はフロリダの2コースでアーニー・エルス(南アフリカ)を同伴し1日27ホールをプレー。同年11月の大統領来日時は、松山英樹を交えて埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部を回った。19年4月には米国でブライソン・デシャンボー、同年5月には日本で青木功が指南役を務めた。
大統領としてツアーを訪問
2017年7月、ニュージャージー州のトランプナショナルGCベドミンスターで行われた「全米女子オープン」を現職の大統領として初めて現地で視察。表彰式には、次男で一族の事業を仕切るエリック・トランプ氏が出席した。同年9月には現職大統領として初めて「プレジデンツカップ」の表彰式に登場。当時は国歌斉唱時に起立しなかったNFLの選手らとの溝が深まっていたが、警備が増強された程度で大きな混乱はなかった。
ウッズとの関係
人種差別的な発言がたびたび批判されたトランプ大統領について、ウッズがこれまで強い嫌悪感を公にしたことはない。2019年2月にジャック・ニクラスとの3サムでプライベートラウンドを楽しむと、同4月に「マスターズ」を制覇し、米国の文民に贈られる最高位の勲章、大統領自由勲章を授与された。ウッズについてトランプ氏は「境界をひろげ、限界に挑戦し、常に偉大さを追求するアメリカンスピリットを体現している」と絶賛した。
コロナ禍でもゴルフに好意的
新型コロナウイルス感染症の拡大で2020年3月13日、大統領は国家非常事態を宣言した。経済対策を念頭に置き、4月にはプロスポーツ団体と電話会議を実施。「8月以降の再開を望む」と話した。「ファンたちはゴルフコースに出かけて、きれいな空気を吸いたいと思っている」という言葉の後押しがあったかは定かではないが、PGAツアーは先んじて6月に再開。一方で、マキロイが世界一の死者数を出している政府のコロナ対策を批判してもいる。
帝王最後の一押しも…
選挙戦直前、ニクラスは大統領支持を表明し「彼は私が知る限りのどの大統領よりも多様性に富み、あらゆる階層の人々の生活向上に貢献しようとしてきた」と有権者に投票を呼びかけた。かねてトランプ氏所有コースの設計、帝王の名を冠した児童診療システムの金銭的支援という関係性があり、「彼らはビジネスパートナー」と指摘するメディアも。激戦区として注目されたオハイオ州はニクラスの出身地、フロリダ州は居住地。トランプ氏はいずれの州も制したが…。