「ありえない…」全英女子の予選落ちで立ち返った“原点” 山下美夢有は涙を糧に復帰戦で圧勝
◇米国女子◇CPKC女子オープン 最終日(23日)◇ロイヤルメイフェアGC(カナダ)◇6452yd(パー70)
後続に6打差をつけてのスタートでも、やはり緊張感があったという山下美夢有に序盤でビッグプレーが出た。2番(パー3)で右サイドのガードバンカーからチップインバーディ。ライが良く、15ydほどの距離や傾斜の状況も含めて十分に寄せられる自信はあったが、予想を上回る最高の結果になった。「久しぶりにバンカーショットでああいうのが決まってくれた。パーで終わるのか、バーディで終わるのかでは全然違う」と勢いをつけた。
ラフからの2打目をグリーン左奥に外した4番でボギーを喫した直後、5番(パー5)の組み立てに今週の勝因が詰まっている。ティイングエリアが前に出て、4日間で最も短い455ydのセッティング。まず4UTで刻んでフェアウェイに置き、2打目を9Iでつないで52度のウェッジショットで仕留めた。2オンを狙わず、3打目に得意な100yd以内の距離を残す手堅い攻め方を徹底してパー5は4日間8ホールで6バーディ。「パー5のスタッツも良くなったと思う」とうなずく。
3週前、ディフェンディングチャンピオンとして臨みながら涙の予選落ちを喫した「AIG女子オープン(全英女子)」で学んだことでもある。2日目の最終18番でポットバンカーにつかまってトラブルとなり、まさかのクアドラプルボギー(+4)をたたいた。「メチャクチャ悔しかったですね。最終ホールで、ホントにありえない感じで…」と言った悪夢のようなシーンを含め、2日間のプレーやそこに至るシーズンの戦いを日本で冷静に振り返ってきた。
「パー5も全部(グリーン近くまで飛ばして)攻める、みたいな。マネジメントもなくプレーして、ゴルフになってないなっていうか、ただ打って…みたいな。100yd以内のショットを武器にしているのに、そこが寄らない」
そうなった原因に思い当たる節がある。「飛距離、飛距離というか、もう力が入ってスイングになっていなかった。そういう(意識の)部分からスイングプレーンも変わってくる。もちろん飛距離も大事ですけど、最大限のパワーで振るんじゃなく、この(本来の)リズム感と力感で飛んでくれたらいいなと思うものなので。ずっとやっていて、そういう部分が薄れていた。ああいう予選落ちをして、気付けたこともあると思って、日本に帰ってからプラスに考えてやっていました」と明かす。
全英女子以来の復帰戦で初日から首位を走り続けた今週、日本にいるコーチの父・勝臣さんとのやり取りは連日、簡単なものだったという。「今回は迷いなく淡々と、プレースタイルもそうですし、練習から考えすぎることなくできていた。時間の使い方とかも変わってきました。あれ以上を求めるっていうのも、あんまり良くないと思いますし、上出来じゃないかなと思うので。細かい調整だったりとかは終わってから話し合って…みたいな感じです」。本来の良さを取り戻すことを大事にしつつ、新たに取り入れた部分があった。
最終18番も山下らしく48度のウェッジショットを絡めるバーディで締めくくり、通算23アンダーで後続に9打差をつける圧勝劇。「257」ストロークは2018年「ソーンベリークリークLPGAクラシック」のキム・セヨン(韓国)に並ぶ、72ホールのツアー史上最少ストロークとなった。涙を糧として原点に立ち返った25歳は、とてつもなく強かった。(カナダ・アルバータ州エドモントン/亀山泰宏)