プレーオフ直結のダブルボギーは「いい意味でのミス」 20歳の福田萌維が描く未来予想図
◇国内女子◇ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント 最終日(6日)◇ゴルフ5カントリーみずなみコース(岐阜)◇6531yd(パー72)◇曇り(観衆3486人)
強まる雨の中、福田萌維がプレーオフ3ホール目で勝負を決めた。フェアウェイから残り92yd、52度のウェッジの2打目はフィニッシュで右手を離したがピン右手前5mへ。ウィニングパットがカップに消えた瞬間は「あ…入った」とホッとした。
プロ2年目のツアー初優勝。「まさかです。“優勝できたらラッキー”と思っていたので、ビックリ。こんなに早く勝てるなんて」。勝利の美酒は、と問われると「まだ飲むのが怖いので、オフに。きょうはジュースにしておきます」。ひたすら笑顔で一日を振り返る様子に20歳らしいあどけなさと、らしからぬ冷静さが同居した。
後続を2打リードして迎えた最終日。前半から10番終了時で6バーディを奪って通算17アンダーへ。快調な雲行きは終盤に暗転する。15番(パー3)、16番(パー5)で2mのチャンスを外し、3日間通算で難度1位の17番でダブルボギーを喫して、プレーオフとなった。左下がりの右ラフからの2打目がレッドペナルティエリアへ。171yd、6Iのコントロールショットが決まらなかった。傍から見れば“痛恨のミス”だ。しかし、福田本人の受け止め方は違った。
「私はよく残り3ホールとかでやらかす。“いつ来るんだろう”と恐れていました。だから、あれは経験です。そういう経験をたくさん積んでいきたいので“いい意味でのミス”だったと思います」
今週は万全の準備をしていた。開幕前の2日間、いつもハーフずつの練習ラウンドを初めて18ホールずつ行った。「実戦でどんな球が出るか、ミスが出るか確認したかったので」。その2日間で実感した技術的なミスもすぐに解消できないと思い、ラウンド後はリカバリーのアプローチとパッティングに時間を割いた。ミスが出ても、すべては経験と受け止める“覚悟”があった。
自分の道を自分で決めて来た。和歌山で生まれ、小学校1年から兄の付き合いで始めた野球。しかし、和歌山ゴルフ連盟の会長でもあった監督に勧誘されてシフトチェンジ。中学1年で「プロになりたい」と決め、陸上部で体づくりに励み、高校は「自分で探して体験入学をして」宮崎の日章学園を選んだ。
2019年度のプロテストから始まった“現役高校3年生”の受験で、一発合格を果たしたプロは20人いる。その中にはメジャー覇者となった笹生優花、西郷真央、山下美夢有、24年の年間女王・竹田麗央らそうそうたる顔ぶれがそろう。福田は24年度・同期合格の加藤麗奈とともに11人目のツアー優勝者となった。
「私は海外に行きたい思いが強い。急いではいませんがなるべく早く。来年は予選会とかからメジャーに出てみたいですし、そこで自信がついたなら」。そんな冷静で慎重な前提を語った上で、米女子ツアー予選会に「来年にチャレンジするかもしれません」と言った。今はまだぼんやりした未来予想図を描く20歳が、日本女子ゴルフ界の主役の一人になってもおかしくはない。(岐阜県瑞浪市/加藤裕一)
<ツアー優勝した現役高校生でのプロテスト合格者>
2019年度/笹生優花、西郷真央、山下美夢有
2021年度/川崎春花、尾関彩美悠、櫻井心那、竹田麗央、佐藤心結
2023年度/菅楓華
2024年度/加藤麗奈、福田萌維
※2020年度プロテストはコロナ禍で21年6月に実施され、現役高校生合格はなし