E.エルス マスターズへの道を切り開けるか
開幕まで1ヶ月を切った今季の海外メジャー初戦「マスターズ」。早くもオーガスタナショナルGCを訪れ、練習ラウンドを開始するトッププレーヤーがちらほら現れる中、アーニー・エルス(南アフリカ)が、“危機”に瀕している。
エルスは初出場した1994年から昨年まで18年連続でマスターズに出場。グリーンジャケットこそ逃しているが、2度の2位を含め6度のトップ10入りを果たしてきた。しかし、米ツアーでは昨年優勝が無く、FedEx Cupランキングでも118位とギリギリでプレーオフに進出。昨年末の世界ランクでの50位以内の確保を逃し、現在68位となっている。
先月末の「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」では、フィル・ミケルソンが家族との時間を過ごすために欠場したことで、出場のチャンスが巡ってきた。そして1回戦で第1シードのルーク・ドナルドを5アンド4の大差で撃破。しかし続く2回戦でピーター・ハンソン(スウェーデン)に破れ、世界ランキングポイントの大幅な増加はならなかった。
昨年のマスターズ王者チャール・シュワルツェルや、一昨年の全英覇者ルイ・ウーストハイゼンほか、欧州ツアーでジョージ・クッツェー、ブランデン・グレース、トーマス・エイケンといった南ア勢の若手が続々と台頭中。彼らの子供の頃のルーツを辿ると、エルスが母国に設立したアカデミーとの縁が切り離せない(ちなみに、イングランド出身の新鋭トム・ルイスも小さい頃からの憧れはエルスと、レティーフ・グーセンだったそうだ)。
シュワルツェルは2週前の「ザ・ホンダクラシック」でエルスと練習をともにした。そこにマスターズについての会話は無かったというが、前週のWGCなどに姿が無いことには違和感があるそう。「彼がどれだけ厳しく練習に励んでいるか、気づいている人はそうそういない。ちょっと自信が戻れば、やはりどれだけ素晴らしい選手か分かるはず」。
特別招待での出場の可能性も残されているが、今週以降もオーガスタへの道を探りトーナメントを戦う。15日(木)に開幕した「トランジションズ選手権」初日は「70」で49位タイと静かなスタート。“ビッグイージー”の土壇場からの猛チャージに期待が集まっている。(フロリダ州タンパ/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw