モロッコでの快挙達成を目論むシーム
今週開催される「ハッサン2世トロフィー」では、好調を持続するイングランドのロス・フィッシャー、そして08年にハリー・バードン・トロフィーを獲得したロバート・カールソンなど、各国から集う強豪選手たちが、同大会での快挙達成を狙うディフェンディングチャンピオンのマルセル・シームの前に立ちはだかることになる。
賞金総額150万ユーロの「ハッサン2世トロフィー」が10年よりヨーロピアンツアーに組み込まれて以来、この大会を連覇した選手は一人もいない。しかし、シームが12ヶ月前にパレ・ロワイヤルで披露した素晴らしいパフォーマンスを再現することができれば、初の連覇達成のチャンスは十分にある。
昨年、ドイツ出身のシームは初日を「64」でラウンドして首位に立つと、それ以降は後ろを振り返ることなく4日間を通して首位に立ち続け、フィンランドのミッコ・イロネンと11年の大会王者であるデビッド・ホージーに3打差をつける完全優勝を飾った。
10年以来、毎年「ハッサン2世トロフィー」に出場しているシームは、昨年初優勝を飾る前からこの大会をお気に入りの一つと公言してきた。
彼は同大会についてこう語った。「王宮の壁に囲まれた中でプレーするのは特別な感興が湧くものだし、そうした事全てが合わさって、この大会は選手たちを惹き付けるんだよ。王様のコースでプレーする特権を味わえるんだ。通常、これだけ海に近いと、コースはもっとリンクスっぽくなるものだけれど、ここは海岸沿いにあるコースとしては世界でも稀な木立の深いコースなんだ。どのホールもやり甲斐があって、僕はここで戦略を組み立てるのが好きなんだよ」。
そんなシームとは対照的に、過去にヨーロピアンツアーに498回出場しているカールソンにとっては、今回がこの大会初出場となる。
今季最初の大会となったアブダビで8位タイに入ったスウェーデンのカールソンは、先週のPGAツアーの「プエルトリコオープン」では14位に入る好パフォーマンスを見せており、好調を保ったままアガディールに乗り込んで来た。
好調の波に乗る選手と言えばフィッシャーを忘れてはいけない。数週間前の「ヨハネスブルグオープン」でトップ10入りを果たした彼は2週間前の「ツワネオープン」でヨーロピアンツアー5勝目を飾っている。
先週開催された「WGCキャデラック選手権」への出場が叶わなかったフィッシャーは初出場となる「ハッサン2世トロフィー」での連続優勝を狙っている。
フィッシャーの同胞であるホージーも、「アフリカオープン」では3位タイ、「ヨハネスブルグオープン」では10位タイと最近出場した2大会で好成績を挙げており、鼻息も荒いままパレ・ロワイヤルへの再訪を果たす。
11年大会を制したホージーは最終日の2番ホールでホールインワンを達成しており、ヨーロピアンツアー史上四人目となる最終日でのホールインワンを記録した選手としてトロフィーを手にしている。また、驚くべきことに、ホージーは10年以来、合計16ラウンドの通算スコアを44アンダーとしている。
ホージーと同様に、ウェールズのリース・デイビースもまた、10年にこの大会を制覇しており、翌年はそのホージーにプレーオフの末に敗れるなど、この大会では好成績を収めており、自信を持って今大会へ臨むことになるだろう。
1971年より開催されている「ハッサン2世トロフィー」はモロッコにおいて最も長く続いているスポーツイベントである。この大会では過去に、オービル・ムーディ(1971年)、ビリー・キャスパー(1973、75年)、リー・トレビノ(1977年)、ビジェイ・シン(1991年)、ペイン・スチュワート(1992、93年)、ニック・プライス(1995年)、デビッド・トムズ(1999年)、パドレイグ・ハリントン(2007年)、そしてアーニー・エルス(2008年)といったメジャー王者たちがトロフィーを掲げており、ゴルフの歴史にその名を刻んでいる。