タイ名門コースの支配人は日本人！

◇アジアパシフィック女子アマチュアゴルフ選手権 事前（2日）◇サイアムCC ウォーターサイドコース（タイ）◇6309yd（パー72）

雨季が明けた青空のもと、ラウンドに出ていく選手をうれしそうに見送る。「とにかく、コースの評判が聞きたいです」。筧由希夫（かけい・ゆきお）支配人は祈るようにつぶやいた。

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筧氏がサイアムCCで働き始めたのは2006年。地元の財閥が管理するゴルフ場が多い中、今年8月にタイでは珍しい日本人のコース支配人に就任した。もともと日本で旅行会社に勤めていたが、94年にタイの同業に転職。知人の紹介でサイアムCCに移り、当初は日本人の駐在員向けに会員権の企画・販売に従事した。

今でこそ冬にタイで合宿を行うプロも多いが、当時はサイアムCCを訪れる日本選手はそれほど多くなかったという。「そのころはオーストラリアやハワイが主流。13年に笠りつ子プロ、飯島茜プロが合宿に来てくださって、それからほかの皆さんも来てくれるようになりました」。旅行会社での経験を活かし、宿泊施設や送迎の手配もカバー。コースのレストランには日本人シェフも2人いるため、本格的な日本料理も用意できる。木戸愛や脇元華らオフシーズンの合宿先としてサイアムCCを選ぶプロも増えた。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかった時期はプロの合宿もストップ。2020年4月には1カ月間コースをクローズした。昨年から徐々に集客を取り戻して20、21年は米女子ツアー「ホンダLPGAタイランド」も無事に開催。売り上げも19年の8割ほどまで回復し、今年の冬は再び日本からプロが集まることを心待ちにしている。

10月までの雨季が明け、タイではゴルフのハイシーズンを迎えるタイミングで「アジア女子アマ」が開幕する。「雨季の真っただ中の準備だったので、コースメンテナンスが大変でした」と苦笑しつつ、アジア各国から集まったアマチュア選手がコースを回る姿を見つめる様子に充実感がにじむ。

「各国の選手が、このコースをどう思うのかが知りたいです。やっぱり日本人選手が最終日最終組で回ってくれたらうれしいですね」と話した。（タイ・チョンブリ／谷口愛純）