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【WORLD】クラブ紛失はプロにとって死活問題

2012/06/09 10:12

Golf World(2012年5月28日号) texted by E.Michael Johnson

B.スネデカーはボルボワールドマッチプレー選手権の初戦を急きょ調達したクラブで勝ち抜いた。(Ross Kinnaird/Getty Images)

ブランド・スネデカーのクラブは、欧州ツアー「ボルボワールドマッチプレー選手権」が開催されたスペインに予定通り到着せず、スネデカーは急遽、試合前に10本のクラブを用意した。遠征の多いプロには“プランB”が必要とされるのだろう。

スネデカーは、スペインに到着した飛行機から降りると、自分にとって重要な荷物が見当たらないことに気がついた。そう、プロゴルファーにとって欠かすことの出来ないクラブが紛失したのだ。初日にトーマス・ビヨーンと対戦した彼の姿は、試合当日なかなか確認されなかった。何故なら、その場しのぎとして10本のクラブを用意するのに奔走していたからだ。

「初日のティショットを迎えるのに、10本では心もとなかったんだ。彼(ビヨーン)はワールドクラスの選手だし、ワールドクラスのボールヒッターだからね」とスネデカー。「とにかくコースに出て、その時持っていたクラブで何とか勝てるように全力を尽くすだけだった」と、当時の心境を振り返っている。

ビヨーンと対戦した時にスネデカーが持っていたクラブは、ジョン・センデンがバックアップとしていたテーラーメイドのR11Sドライバー(ロフト10.5度、スネデカーのドライバーは9度)、ゴルフショップに走り100ドルで購入したテーラーメイドのゴーストマレットパター、そして自分が使っているモデルに似ているブリヂストンのJ40アイアンセットだった。しかもそのアイアンは、普段使っているものよりも3/4インチ短いものだった。

そしてグローブ、ボール、バイザーは同社のインターナショナルディストリビューションからもらったものだったという。スネデカーは自分のクラブがラウンド中に必ず届くという確信があったため、あえて7番アイアンをこの“即席セット”には加えなかった。すると4番ホールをプレー中にクラブが届き、3番ウッド、ハイブリッド、ロブウェッジ、そしてパターをバッグに加えることが出来た(14本を超えない限り、選手はラウンド中にクラブを追加することが認められている)。

そしてなんと、スネデカーは急造セットでプレーするという条件の下、5&4で勝利したのだった。

自分のクラブ以外のものでプレーするというのは簡単なことではない。しかし意外にもツアープロは、一般的に思われているよりもクラブを紛失している。2007年の「オーストラリアン・オープン」では、ロッド・パンプリングが開催地であるシドニーに到着した際、クラブを持っていなかった。出発前に絶対に見つけ出そうとしたパンプリングは、ロサンゼルスからのフライトを1日遅らせ必死に捜索を懇願。1日と4時間が経過し、クラブが向かっていることを知り、ようやく安堵した。

ティム・クラークも、2010年の「ジョンディア・クラシック」で似たような体験をしたプロのひとり。クラブ紛失が発覚した際、身長170cmの南アフリカ出身のクラークは、練習ラウンドでフィット感最悪のクラブ、そして普段はロングパターを使用しているにも関わらずシャフト長さが普通のパターを使うハメになった。しかし、幸運にもスタート前にクラブが見つかった。クラークは「もし見つかっていなかったら大変なことになっていたと思う」と当時を振り返り、その時はバックアップのクラブを持っていなかったことを改め、その大会終了後にバックアップを作ると話していた。

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