番外編~2015年1月からの見どころ~<佐渡充高の選手名鑑 139>
■ 2014年開催の最終戦 注目は地元メキシコや南米出身の選手たち
今週メキシコで開催の「OHLクラシック・マヤコバ」は、2014-15年シーズン7戦、年内最後の試合となる。もっとも気合いが入っているのはカルロス・オルティス(23)だ。彼はPGAツアーでただ一人のメキシコ出身選手。昨季のウェブドットコムツアーで最優秀選手に選出された期待の新人だ。ノーステキサス大学に留学し活躍を見せると、すぐにプロ転向。出身地もホームコースも母国のスターだったロレーナ・オチョアと同じ、大きな期待を受けるメキシカンスターである。
今大会では同国から他に4人、計5人が母国のプライドをかけてプレーする。南米出身選手も多く参加し、アルゼンチンのアンヘル・カブレラ、コロンビアのカミロ・ビジェガス、ベネズエラのジョナサン・ベガスら優勝経験のあるベテランたちも顔を揃える。下部組織の南米ツアーも成長著しく、2016年リオデジャネイロ五輪も目前に迫る中、彼らのモチベーションはますます高まっている。
■ 2015年1月からの見どころは?
PGAツアーは今大会後、約1か月半のウィンターブレイクをはさみ、新年1月第2週から再開される。いくつかの見どころを紹介しよう。
ウッズ復帰は2月第2週の「ファーマーズインシュランスオープン」から
もっとも気になるのはタイガー・ウッズの復帰時期だ。現段階では腰痛のリハビリは順調で、回復傾向にある。慎重に時間をかけ、練習も無理せず、段階を経てフルスイングを開始。現在はラウンド練習を開始し、最終段階の模様だ。このままであれば予定通り今年12月、フロリダ州アイルワースで自身が主催する「ヒーロー・ワールドチャレンジ」から復帰できるはずだ。同大会は世界ランク対象試合ではあるがPGAツアーの公式試合ではないためポイントランクには関係がない。しかし今年は松山英樹ら多くのトッププロが参加する注目の試合であり、ウッズにとって新年からの本格復帰へ重要なテストとなる。この大会でのプレー内容を参考に最終調整を行う予定だ。
そして本格復帰は2月5日からカリフォルニア州サンディエゴ郊外で開催される「ファーマーズインシュランスオープン」が濃厚。同大会はウッズが4連覇を含む7勝、会場のトーレパインズGCは2008年「全米オープン」も開催され、ウッズが最後にメジャー優勝を飾った相性抜群のコースでもある。コーチやキャディを誰にするのか、“新・チームタイガー”の顔ぶれも注目される。
フィル・ミケルソンも同じ大会からスタート
フィル・ミケルソンもウッズと同じ大会から参加する予定だ。ミケルソンにとって会場のサンディエゴは生まれ育った故郷。現在も同地に住んでおり、絶対に外せないホームゲームだ。また同大会は、連覇を含む3勝と、実績も残している。特に2000年大会では、7連勝と怒涛の勢いで乗り込んだウッズの連覇を阻止して優勝を果たした。南、北両コースを使用するが北はミケルソンが昨年改修した肝いりのコース。昨季は「全米プロ」2位が唯一のトップ10という厳しいシーズンだったが、今季は巻き返しを狙い、地元でのロケットスタートが見られるか。
松山英樹はメジャーにフォーカス
松山英樹は今季初戦で3位と、健闘するなど順調なスタート切った。特に序盤では「トータルドライビング」のランク1位が光った。これは平均飛距離とフェアウェイキープ率の順位の合計で算出し、ドライバーの上手さを記す。つまり序盤の松山はPGAツアーでナンバーワンのドライバーショットを放つ選手だった。さらにもうひとつ、「ボールストライキング」というスタッツがある。これはトータルドライビングにパーオン率の順位を加えたもので、ショット全体の上手さを記すスタッツだ。彼はこの分野でも3位にランクされた。この2つのスタッツが示すのは、松山のショットは世界最高水準だということだ。
彼はこの2年間で初優勝やメジャーでの上位入賞を続けてきたが、それらの実績は100%実力によるものだ。それでも今季は「ショットの調子がイマイチ」と納得できない様子だったが、現状に満足せず向上を目指している証。ショットは世界トップレベル、あとはパットが冴えれば、メジャー優勝も夢ではない。松山は1月9日から開催の「ヒュンダイトーナメントofチャンピオンズ」(ハワイ開催)からリスタート。この大会は前年優勝者のみ参加できるプレミア試合。強豪らを相手に、年明けの奮闘に期待したい。