「プレジデンツカップ」メダイナCCについて知っておくべき9つのこと
9月24日(木)に開幕する隔年開催の第16回「プレジデンツカップ」。米国選抜のブラント・スネデカー主将と世界選抜のジェフ・オギルビー主将はともに、この4日間のマッチプレー形式の勝負は過去、米国が13勝1敗1分けと圧倒しているが、実際には接戦になると認識している。大会は、2人1組で交互にショットを打つオルターネート方式のフォアサムと、ベストボール方式のフォアボールに加え、最終日には1対1のシングルスが行われる。
名門メダイナ
会場のメダイナCCは、シカゴのダウンタウン中心部から西へ26マイル(約42キロ)に位置する、典型的な米国式パークランド型のコースである。1924年の設立で、かつて大草原だったなだらかな起伏の土地に6400エーカーもの敷地を擁し、1200人の会員が3つある18ホールのコースに加え、ゴルフ界屈指の壮麗なクラブハウスを利用している。クラブの目玉であるコースNo.3は今年の「プレジデンツカップ」開催だけでなく、「ウェスタンオープン」(1939年、62年、66年)、「全米オープン」(1949年、75年、90年)、「全米プロ」(1999年、2006年)、1988年「全米シニアオープン」、2012年「ライダーカップ」の舞台となった。19年「BMW選手権」も開催され、ジャスティン・トーマスがコースレコード「61」をマークし、通算25アンダーで優勝した。その後、コースは大規模な改修でその姿を大きく変えた。
完全に生まれ変わったコース
コースNo.3の大規模改修は2022年~23年に行われた。ニュージャージー州のバルタスロール(ロワーコース)、カリフォルニア州のオリンピッククラブ(オーシャン、クリフスの両コース)、ニューヨーク州のウィングドフットなど多くの名門が排水、灌漑、グリーン、バンカーの改修を行ってきたが、メダイナほど劇的な変貌を遂げたコースはほとんどなかった。同コースの設計の系譜はトム・ベンデローに始まり、ラリー・パッカードによる改修を経て、リース・ジョーンズの手で現代的なコースに進化した。ただその過程で、フェアウェイは背の高い木々にセパレートされて直線的かつ狭くなり、難易度が高い反面、単調で似通ったレイアウトに。全ホールでグリーンを狙うショットは高いボールが求められ、グリーン周りのリカバリーもサンドウェッジやロブウェッジ頼みで地面を転がして寄せる選択肢は皆無だった。また4つのパー3のうち3つはカディジャ湖の入り江を越える、似たようなショットを要求された。そのためコースの格付け評価が下落。その状況を打開すべく、クラブはコースの全面的刷新を決断した。
OCMの登場
大規模改修を担ったのはオーストラリアを拠点とし、ジェフ・オギルビー、マイク・コッキング、アシュリー・ミードの頭文字をとった「OCM」という設計チームだった。オギルビーは2006年「全米オープン」制覇を含むPGAツアー8勝を誇り、コッキングはプロを目指した後に工学を学んで設計の道に転身、ミードは優れたプレーヤーであると同時に、コースのメンテナンスや造成の現場で育った。
彼らのビジョンはオーストラリアのサンドベルトに見られる硬く締まった地面、自然との調和、ショットの多様性といった価値観をインスピレーションの源としていて説得力があり、現地視察前のZoomによるプレゼンのみで契約を勝ち取った。
名コースのルート変更
コースNo.3のルート変更は終盤にかけて劇的に景観が変化するアプローチが採られた。基本的に最初の12ホールの回廊を維持しつつ、重複していた2つのパー3(13番と17番)、ワンオン可能な短いパー4の15番を廃止し、全く新しい3ホールを導入した。ショットメーキング、芝の状態、地形という要素の体験が極めて独創的となった。フェアウェイ面積は29エーカーから58エーカーに倍増。7番以降は全ての順序が組み替えられた。
バンカーは70個から117個に増え、フェアウェイの拡張により、ラフの面積は以前の3分の1の48エーカーまで縮小。また、グリーンの平均サイズは40%以上拡大され、スケールが大きなコースに変貌を遂げた。
大会仕様のホール順序変更
「プレジデンツカップ」ではホール順序が変更される。普段の5番からスタートし、終盤にもつれ込んだマッチは通常の1番から4番で決着する。一貫性と分かりやすさを期すため、本稿ではここから「プレジデンツカップ」仕様のホール番号を使用する。
「プレジデンツカップ」を統括・運営するPGAツアーが、なぜそうしたのか。第一にマッチの約80%は16番までに決着するため、勝負のクライマックスをカディジャ湖周辺のウォーターハザードが絡むホールで迎えさせるため、水が絡む最もドラマチックな終盤2ホールを12番と13番に配置するようにした。
また、スタートホールとなる5番(パー4、505yd)は観客のメーンゲートに近く、選手や関係者の導線(ロッカールーム、練習エリア、クラブハウスへのアクセスなど)を敷地内(およびカディジャ湖)の片側に集約して観戦しやすくした。観客数は1日あたり3万5000人が見込まれ、今大会は「プレジデンツカップ」史上最多を記録する可能性がある。
広大なプレーエリアを持つゴルフコース
このコースはフェアウェイの着弾地点の多くが幅50~60ydもある。ただ落下地点には急勾配のフェアウェイバンカーが食い込み、場所によってはハザードもあってティショットには細心の注意が必要だ。
米国選抜主将のスネデカーの提案でフェアウェイ脇に幅5フィートで刈り高1.5インチの中間ラフ(セカンドカット)が設けられ、ラフの刈り高も4インチと深い。これは、米国選抜の方が世界選抜より正確なティショットを打てるというスネデカーの予測(あるいは期待)の表れとも言えるだろう。その答えは試合ですぐに明らかになるはずだ。というのも、最初の3ホールにはいずれも中間ラフのすぐ左側に、OBとの境界を示す高さ3フィートの木製柵が設置された。これほど、序盤のティショットで緊張感を高める要素はほかにないだろう。
フェアウェイバンカーは急勾配で手前のアゴも高く、脱出にはウェッジショットが求められる。グリーンサイドのバンカーはさらに急峻で、その周囲には起伏に富んだ芝の短く刈り込まれたエリアが点在。リカバリーにはあらゆるクラブを駆使し、創造的なショットが必要となる。
グリーンには画一的要素が一切なく、十分な広さと適度な起伏、巧みな防御を備え、ピンポジション次第で日ごとに多彩な表情を見せる。
注目のパー5:6番ホール(646ヤード)
メダイナCCにある2つのパー5の2つ目である6番は非常に長く、打ち上げ後に平坦となるレイアウトでありながら、一部の選手は2オンを狙える。まず西からの追い風が期待できること。またティショットとセカンドショットはブラインドショットになるが、着弾地点は飛ばし屋の飛距離アップが望める下り坂だからだ。
バンカーがないティショットの着弾エリアはコース内で最も狭く、理想的なショットを打つには、丘の頂上付近にそびえる2本のオークの木の間を縫うようにボールを通す必要がある。果敢なプレーヤーは第2打で、両サイドを急勾配のバンカーに守られたグリーンを狙うことになる。そのバンカーの間には、安全にグリーン面へとボールを運べる狭い「青信号」のルートが確保されている。木曜日の午後と土曜日の午前に行われるフォアボールのマッチでは、特に見応えのある楽しいホールとなるだろう。
注目のパー4: 12番ホール(402ヤード)
OCMが新たに設計したホールの一つ。カディジャ湖の入り江を斜めに横切る岬のような形状のレイアウトで、ティショットでどこまでリスクを冒してショートカットを狙うかという決断を試すようになっている。安全策ならロングアイアンでフェアウェイに運ぶのが定石で、ティイングエリアが後方に設定される場合や、金曜、土曜日のフォアサムではそんなプレーが多く見られるだろう。しかし、ティイングエリアが前方に移動すれば、高台にあるティから最短320ydまで短縮される。ワンオンが狙える一方、右サイドの池がより大きな脅威となる。
注目のパー3: 13番ホール(217ヤード)
OCMによる完全新設ホールの最後を飾るのは、かつての17番に代わるホールであり、プレー方向は以前とは正反対になっている。ごまかしは一切きかない。求められるのは湖の入り江を越え、バンカーで横長のグリーンを狙う力強く正確なショットのみである。ドローボールには転がりを増幅させる、右から左に傾斜したグリーンへ、ミドルやロングアイアンでボールをパラシュートのように落とすショットが求められる。
メダイナCC コースNo.3
| ホール | パー | ヤーデージ |
|---|---|---|
| 1 | 4 | 505 |
| 2 | 4 | 476 |
| 3 | 5 | 582 |
| 4 | 4 | 373 |
| 5 | 4 | 479 |
| 6 | 5 | 646 |
| 7 | 3 | 209 |
| 8 | 4 | 510 |
| 9 | 3 | 153 |
| 10 | 4 | 455 |
| 11 | 4 | 514 |
| 12 | 4 | 402 |
| 13 | 3 | 217 |
| 14 | 4 | 487 |
| 15 | 4 | 436 |
| 16 | 3 | 211 |
| 17 | 4 | 430 |
| 18 | 4 | 479 |