ラブIII、依然として米国ツアー勝利への才能、情熱、そして願望を失わない男
By Clifton Brown, PGATOUR.COM columnist
私がデービス・ラブIII に初めて会ったのは、1997年に彼がウィンゲッドフットで全米プロを制する3ヶ月前の事だった。
ラブは当時33歳で、ツアー有数の飛ばし屋であり、世界最高の選手の一人だった。私自身、米国ツアーについての取材を始めて間もない頃だったが、ラブとはすぐに意気投合した。私は、彼の楽々と飛ばす様を見て本当に驚き、彼は私のショットがどれ程コースを外れるかを見て楽しんでいた。
彼と電話をした先週の土曜日、どれだけ物事が変わってしまったかについて我々は談笑した。私が未だに打球をコースから外すということは変わっていないものの、子供達は大きくなり、そして2人とも年を取ったのだと。
来年の4月にはラブも50歳になる。今年の2月には大掛かりな首の手術を受けた。周囲は、彼にツアーでの優勝よりも、来年はチャンピオンズツアーでプレーするのではないかという事を訊きたがる。しかし、そこには1つの障害があるのだ。彼の米国ツアーへの気持ちは途切れていないのである。
彼は土曜日の会話で、「復帰して優勝を成し遂げたい」と語った。それは、グリーンブライアークラシックで9位タイという成績を残す前日の事だった。ただ予選通過をしただけではなかったのだ。
「この間の晩、(全米オープンを2度制した)リー・ジャンセンが尋ねてきたんだ。『このまま米国ツアーに残り、なんとか予選通過を果たし、もしかすると1度は優勝できるかも知れないのと、チャンピオンズツアーに参加し、年に5回優勝できるのとどちらが良いか』とね。僕は米国ツアーに残り、優勝を狙う事を選ぶよ」とラブは述べた。
「僕の一番の目標は優勝だ。そして、二番目の目標は、プレジデンツカップへの出場を果たし、ライダーカップのチームに選ばれることだね。メジャー優勝が果たせれば、それはおとぎ話だ。でも、トム・ワトソンや、フレッド・カプルス、それにグレッグ・ノーマンたちは、今の僕より上の年齢でもメジャーでしっかり勝負できていた。だから僕も自分のプレーに磨きをかけるんだ。肉体的にも精神的にもあと僅かばかり改善させることができれば、優勝を狙えるところには行けると思うんだ」と付け加えた。
ラブにとって、グリーンブライアーでのトップ10入りは良い兆しとだと言える。なぜなら、ラウンドを終えた後もトレーニングをし、ベストのゴルフを最終日に見せたのだ。彼は100%の状態になっているとは言えない。まだ1本の指に痺れが残っているのである。しかし長年苦しんだ痛みの治療を終えて、彼自身も今後3年から5年がトップレベルで競う事のできる期限だと悟っている。
「現実的に言って、今はベストの状態からすると85パーセント程度だね」とラブ。「ここ数年、僕のパフォーマンスは下降していた。徐々に悪化していくと、実際ほどには悪く感じないものなんだ。でも、手術を受ける前はひどいスイングをしていたし、狙ったところに打てていなかった。ドライバーの飛距離は20ヤード縮まっていたし、左腕の力は8割がた失われていた」。
「でも今は、随分と良くなった。ペイトン・マニング(NFLデンバー・ブロンコスのクォーターバック)だって首の手術から復帰して良いシーズンを送ったよね。主治医は僕も同じように改善すると考えている。彼は、僕が来年には、ここ5年から10年で間で一番の状態にまでなると考えているんだ。今の状態が残りの選手人生も続いてくれれば、本当に嬉しいね。ツアーで勝てるだけの力はあると思っているよ」。
勝つのは、そう簡単ではない。これまでツアー20勝を挙げているラブは、1987年に初優勝を果たしている。そして最後の優勝は2008年。私はラブに、1987年当時と比べると、今の方がツアーで勝利を挙げるのは難しいかと問うてみた。
「今の方が難しいよ。勝てるだけの実力を持った選手が随分とたくさんいるからね。ちょっとした誤りをするだけで、誰かが優勝をさらっていってしまうんだ」。
「現在の選手の方が、アスリートとして優れている。練習場に立っていて、モーガン・ホフマンやジョーダン・スピースが通って行くのを見るのだけれど、彼らは体型がものすごいんだ。ハンター・メイハンは岩のようにごつい。ルーク・ドナルドも同様だ。ダスティン・ジョンソンに至っては、トレーニングの必要さえないように見える。生まれながらのアスリートなんだね。僕のような49歳の男にとって、そういった状況は現状を更に厳しくするんだ」。
2011年に出場したある大会で雨による中断が決まった時、ラブは現在のゴルフ界の競争が激しくなっている事を思い知ったという。結局、翌日のラウンド再開が決まり、ラブは昼寝でもしようと送迎車へ向かって歩いていると、ジムへと向かうリッキー・ファウラーに追い抜かれたのだった。
「昼寝をしている場合じゃないと自分に言い聞かせたよ」とラブは語った。
ラブは、今週行われるジョンディアクラシックへの出場を決めており、残りの忙しい2013年のスケジュールをこなすのを楽しみにしている。スティーブ・ストリッカーのような、出場する大会を制限するやり方は、ラブにはそぐわないのだ。ベストの状態を維持する上で、定期的に競争にさらされることが欠かせないのである。それにより彼は集中し、競技に対する気持ちを研ぎ澄ますことができるのだ。
「僕がストリッカーのやり方をしたら上手く行かないだろうね」とラブは言う。「年間25試合はこなさないといけないんだ。(予選を通過して)日曜にティへ向かえると嬉しくて仕方ないんだよ」。
これから来年4月までの成績は、ラブが出場資格を得ることになるチャンピオンズツアーへの出場頻度を窺う上での手助けとなるだろう。しかし、今のところ、ラブは米国ツアーを去ることについては微塵も考えていない。勝つことのみを考えているのである。
「来年の4月、誕生日のときに訊いてみてよ。そうしたら、『もう駄目だよ、あいつらみんな凄すぎるよ』って言うかもしれないね」と述べ、「ただ、今現在は、そんなこと全く思ってもいないけどね」と付け加えた。