AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ初日 レビュー
ぺブルビーチの悪天候に備えて、ハンター・メイハンはあらゆる雨具を詰め込んだパンパンのゴルフバッグとともに、初日のラウンドを終えた。備えあれば憂いなし、といったところだろうか。そして彼は、自分がどれほどこの場所が好きなのかを思い出していた。
万全の準備が功を奏したのか、メイハンは最終18番ホール、3番ウッドで2オンに成功。2パットでバーディをもぎ取り、6アンダーの「66」でホールアウト。ラッセル・ノックスと並んで首位に立った。さらに良いことに、午後早々にでも降り出す予報だった雨は、結局降ってはこなかった。だから「この日の見せ場は?」と尋ねられたメイハンは、とても平穏な一日だったこと以外は思いつかなかった。それはもちろん、良い意味での話だ。
「一緒に回ったパートナーと良い日を過ごすことができたよ。いい調子でプレーできた。天候も良かったしね」とメイハン。「最も良かったのは、お昼には降り出すだろうと思われていた雨が、まったく降らなかったことだね。誰もが皆、降ってくるものだと思っていたからさ。(雨具の準備をしてパンパンに膨れた)ゴルフバッグは今、重さを量れば多分100ポンドくらいあるけどね(笑)」。
穏やかなペブルビーチを果敢に攻めたメイハンは、素晴らしい一日を過ごした。ティショットでグリーンを外したのは、わずか2ホール。そのうちのひとつだって、エッジには乗っていた。さらに20フィート以上の長いバーディチャンスも、一度だけだった。
この上ない素晴らしいスタートを切ったメイハン。今大会は全く異なる3つのコースが日替わりで使われる上に、天候は何の前ぶれもなく変化する。さらにコースの1つはパー数が違うので、3日目の土曜日を終える時、どの選手がどの位置にいるのかは、誰にもわからない。
北アイルランドで育ったノックスは、一族のルーツをカリフォルニアに持つ。そんな彼は、モントレーペニンシュラの海岸コースで6アンダーの「64」で初日を終えたにも関わらず、今年の米国ツアーでは厳しい状況に立たされている。去年新人だったノックスは、賞金王ランキングで125位以内に入ることができず、今年、彼が出場できる機会は限られているのだ。
「今回は自信を持って、ここにやって来ました。ここ最近、ずっと調子が良かったからね。ただプレーする機会がなかっただけなんです。良いスタートが切れて嬉しいです」。
そしてこの初日、最高のゴルフを見せたのは、おそらくスパイグラスヒルを回った韓国のノ・スンヨルだろう。一般的に、天候に恵まれた状態であれば3つのコースの中で最もタフなコースと言われていて、初日の木曜日はまさにそんな状態だった。
ペブルとモントレーペニンシュラコースの平均ストロークは、パーを0.5打ほど下回るものだが、スパイグラスコースの平均は、0.5打ほど上回っているのが事実だ。
ノは、残り2ホールまで7アンダーで回っていたが、最後に連続ボギーを叩いて5アンダーの「67」でホールアウトした。この日、唯一パッとしなかったのは、最後の2ホールだけ。もちろんスパイグラスコースでは一番のスコアだ。「まずまず良いスコアです。だから本当に嬉しいですよ」
驚くべきことに、先週ドバイでプレーしていた彼は、まだ時差ボケが治っていない。半分眠っているような状態で、このスコア。見事だ。
同じく5アンダーには、“ファーストティプログラム卒業生”初の米国ツアー参加選手のスコット・ラングレー(モントレーペニンシュラで「65」)と、ペブルコースの最終ホールをボギーとしたものの「67」で回ったマット・エブリーだ。
その他、この日はプロアマならではの光景が幾つも見られた。
かつて国務長官の経験もあるコンドリーザ・ライス氏は、オーガスタナショナルの最も新しい会員だが、6番ホールでギャラリーにボールを打ち込んでしまった。この大会で2度の優勝経験を誇るダスティン・ジョンソンは4パットが響いて、モントレーペニンシュラで3オーバーの「73」。ジョン・デーリーは7番ホールで3フィートの距離から3パット、さらに9番ホールでは18フィートの距離から4パット。最終的には「77」というスコアを叩いてしまった。
大会史上最多タイの5度の優勝経験があるフィル・ミケルソンは、先週「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で完全優勝した時のようなパットを、モントレーペニンシュラでは決めることができなかった。初日を「69」で終えている。「ここ数年、この大会で学んだ秘訣のひとつは、我慢強くプレーすることだ」と、ミケルソン。「3つのコースにはバーディを奪えるコースが多々ある。願わくば、明日は調子よくプレーして、上位争いに食い込んでいきたいと思っているよ」。
リー・ウェストウッドは、今大会初参戦となるラウンドを実父と一緒にプレーし「68」。父と気持ちよくプレーできたことと、この日の好スコアの因果関係には、あまり確信がないト言うが。ペブルコースを回ったウェストウッドは、決めるべき所で決められないこともあったが、結果的にはとても良いスタート。ペブルビーチコースの稼ぎ所は、最初の7ホール。しかし彼は12フィート以内のパットを3回も外すなど、出だしの7ホールで僅かに1アンダー。しかしその後は、難度の上がる残り10ホールで4つのバーディを奪ったのだ。
「とは言っても、父とプレーする中ですべてが上手く噛み合っていったし、何と言ってもフェアウェイを一緒に歩くことができましたからね。ぺブルビーチは、一度はプレーしてみたい夢のコースのひとつ。間違いなくそこに入っています。AT&Tの大会で父親と共にプレーし、かつ、リストに入っているコースを回ることができたなんて、本当にスペシャルなことです」。とウェストウッドは振り返った。
メイハンが気に入らないたったひとつのこと。それは過去の記憶で、特に2年前のことだろう。最終日、大荒れとなったバック9で、彼は2度も首位タイに並び、いよいよ勝負はパー5の18番ホールへ。2打目でグリーンを捉えたにも関わらず、彼は3パットでパーとしてしまい、D.A.ポインツに首位を譲り、最終的に2打差で2位となってしまった。
「2011年に2位で終わったのは、とても残念だったね。だから今年こそは、ここでしっかり勝ちたいんだ。ここは歴史のある大会だから、ここに参加する選手はみな、大会の重みを理解しているし、ここでの優勝がどれほど重要かという意味をわかっている。私が今、この位置にいることにとてもワクワクしているよ。だけどやらなければいけないことがたくさん、明確にある。私はここでのラウンドを毎年とにかく楽しみにしているし、自分のキャリアのなかで、いつか優勝したいと思っているんだ」。
おまけ:ヒース・スローカムが、昨年の米国ツアーで1602ホール中、奪ったイーグルはたったの4つ。そんな彼が木曜日、13ホール中で2度もイーグルを奪った。ペブルビーチでの6番ホールでは3番ウッドで7フィートの位置につけ、18番ホールでは同じく3番ウッドで7インチの位置につけた。「69」で好発進した。
デビット・デュバルは、今シーズン初出場となる今大会、スパイグラスで「79」の大叩きしたのだが、後に自身のツイッターで、膝の調子がおかしく、コースを歩くのさえつらかったとつぶやいている。ジェフ・オギルビーはスパイグラスで「73」。彼が、2度の優勝経験があるワールドゴルフチャンピオンシップ アクセンチュアマッチプレーチャンピオンシップに出場するためには、今大会は少なくとも5位前後には入る必要がある。