今日のタイガー/2日目まで圧倒的な強さを見せたタイガーが、首位をキープするも足踏み!
全英オープン3日目
午後3時5分スタート、最終組はタイガー・ウッズとコリン・モンゴメリー(スコットランド)というペアリング。気温は18度から21度前後。西南西からの風が秒速5メートルから6メートほどあった。
スコア:3日目のラウンドは1アンダーの「71」、4つのバーディ(5番、7番、12番、18番)に対し3つのボギー(2番、6番、16番)。通算12アンダー、66-67-71、204ストローク、2位のホセ・マリア・オラサバル(スペイン)に2打差をつけて最終日を迎える。
午後3時過ぎのスタートとなったタイガーの3日目、これまでの2日とは違い難しいラウンドとなった。 タイガーが調子を落としたというよりは、コンディションの難度が高くなったからである。理由は2つあり、まずひとつは、風は西南西の方向から吹いてきたが、午後4時ぐらいから強さが増し、ボールが流されやすいリンクス特有の【重みのある風】となった。そしてもうひとつ難しくした要因はグリーン。表面は乾き、グリーン(緑)というよりはブラウン(茶色)に近い薄い色になってしまった。グリーンの表面はとても速く見えるが、実際のスピードはスティンプメーターで10前後というメジャートーナメント設定では少し遅いスピードだった。速く見えるが、最後の転がりがなく止まってしまう状況が、タイガーの距離感を狂わせた。
まず、2番ホールでグリーンエッジから3パットのボギー(-10)。続く5番のパー5では、アイアンで2オンに成功し、2パットのバーディを獲る(-11)。タイガーにとって嫌いな左からのアゲンスト風が7番まで続く中、トラブルは6番で起きた。6番は前方が見にくいブラインドのティショット、左サイドには2つ【コフィン】バンカーが気になる。タイガーがドライバーで放った球は、大きく右に流れて ブッシュにつかまってしまう。アンプレアブル宣言をして1ペナということでボギー(-10)。スコアーを落としたというよりも右へプッシュアウトするという悪い癖が出てしまい、少し焦りが感じられた。
次の7番ではすぐにバーディを獲り、スコアーを11アンダーに戻す。右からのフォロー風となった9番のパー4は1オンが可能なチャンスホール。ここでスプーンのティショットは右からの強い、重い風に乗り、左のブッシュまで転がり入ってしまい、今日2度目のアンプレアブル宣言。ピンが左手前ということもあり、ここはアプローチパットで寄せて3オン、1パットのパーで切り抜ける。12番の短いパー4ではティショットをグリーン手前の部分まで運び、2パットのバーディ(-12)。14番のパー5では2打でグリーンの奥につけチャンスを迎えるがバーディを逃してパー。3つ目のボギーは16番のパー4だった。グリーンをオーバーして逆目のラフに捕まる。そこからロブウェッジでアプローチを試みるが、これは大きくオーバーして、どうにかボギーパットをねじ込む苦しいホールとなった(-11)。
苦しい状況は全体の平均ストローク4.60を越える難しい【ロード】ホールの17番でも続いた。右からのフォローの風を感じながら、ホテル越えのブラインドショットに対し、構えが決まらない。仕切り直して試みたロングアイアンのティショットは大きくダフって左の深いラフへ。200ヤード弱あったセカンドショットはグリーン手前に刻み、根性のパーパットをねじ込んでタイガーらしいガッツポーズを見せた。上がり18番では左手前から、距離の長いアプローチパットを寄せてバーディフィニッシュ(-12)。
3日目は、地元スコットランドの英雄 モンゴメリーということでタイガーにとって【アウェー】の雰囲気の中、プレーとなった。 タイガーのミスに喜んだりする声援も少しあった。 タイガーはプレー後のインタビューでギャラリーの声援はモンティーに応援するのは当然だろうし、予想してたということだった。 また一見ピンに寄らない、ナイスショットに見えないようなショットでも実はそのショット良さが分かってくれる“Gracious”(慈悲深い)声援を送ってくれたいいギャラリーだったとも語っていた。
明日の最終日、最終組は3日目よりも約1時間早い午後2時のティオフとなる。これはR&Aが4ホールのプレーオフも想定してということだが、この1時間がどのような天候の変化をもたらすのであろうか。3日目チャージをかけてきたレティーフ・グーセンは、タイガーよりも2時間50分早い時間でティオフし、8つのバーディを奪った。
明日の最終日、前の組には3打差でモンティーとグーセン。最終組のオラサバルを含め、この3人の選手は実力者というのはもちろんだが、欧州ツアーメンバーということもあり毎年秋にダンヒル国別対抗戦やダンヒルリンクス選手権でコースを回っているのでこのセントアンドリュースは熟知している。
最終組でのペアリングとなるオラサバルは初日、2日目、タイガーと同じ組でプレーしている。オラサバルは全英前の国際予選で落選しており、一度は出場をあきらめていた。同じスペイン出身のセベ・バレステロスの欠場で大会前に補欠入りとなっている。 いつも試合中は笑顔どころか歯を見せる事もないオラサバルがリラックスしてプレーしているのはこの事も関係しているだろう。オラサバルのスウィングコーチはタイガーの前コーチのブッチ・ハーモンということもあり、明日は面白い戦いになるだろう。
タイガーのこれまでの9回のメジャー制覇はいずれも3日目のリードを守ってきただけに、有利な事は間違いないだろう。 2000年大会は6打のリードを8打に広げて圧勝をしたタイガーだが、5年振りのクラレットジャグ、ダブルグランドスラムをかけての明日は混戦の中でタイガーらしい集中力、底力を見せてくるだろう。
最終日のピンはさらに難度を増すようで優勝争いに絡んでくる午後スタートの選手はスコアーは伸ばしにくいと私は予想する。とくに右からのフォローとなる上がりの12番から16番は寄せにくい右サイドにピンが切られるホールが続くだろう。優勝ラインは、おそらく13アンダー、12アンダーあたり。明日はショットよりもロングパットの寄せが鍵となり、攻めのゴルフというよりは、守りのゴルフが勝負の分かれ道となる。我々も最終日を観戦する中で、リンクスランドの風を感じながら、ピンに寄らないショットでも、状況を考えるといいショットであることを認識して、残り18ホールに注目しよう。
★3日目、タイガー・ウッズのデータ
フェアウェイキープ率:50%(16ホール中8回)
パーオン率:61%(18ホール中11回)
パット数:29パット
パーオンしたホールでの平均パット数:1.72
1パットホール:7回
2パットホール:11回
3パットホール:0回
パーオンをしなかったホールでのパーセーブ:57%(7ホール中4回)
解説/アンディー和田