ロッカー破壊で出入禁止から1年 クラークの全米オープン2勝目は“禊”となるか
◇メジャー第3戦◇全米オープン 最終日(21日)◇シネコックヒルズGC(ニューヨーク州)◇7440yd(パー70)
ペンシルベニア州オークモントCCで行われた2025年大会でウィンダム・クラークはカットラインに1打届かず予選落ちを喫した。当時は同年9月に行われた欧州選抜との対抗戦「ライダーカップ」の米国代表入りを目指す立場。トーナメントの戦績がポイントとなってメンバー入りを左右する状況で、ただの1試合と割り切ることは難しかった。
結果以上に痛恨だったのは、直後の自らの振る舞い。怒りに任せて大会歴代チャンピオンとして名前が刻まれたロッカーを破壊し、全米オープン最多10度の開催実績を誇る名門コースから出入禁止を言い渡された。
同年5月「全米プロゴルフ選手権」でもショットを曲げた後に感情を爆発させていたばかり。放り投げたドライバーがよりによって、自身もサポートしてもらっている米通信大手・Tモバイル社の大会スポンサー看板に穴をあけてしまったから大変だった。いずれも謝罪したが、繰り返された“狼藉”にはSNSを中心に批判も殺到した。「自分のキャリア、世界ランキング、評判…自分の全てがどんどん失われていくのを感じた。ボディブローを食らったような感じで、本当にひどい気分。どん底だった」
悪夢から1年後、ゴルファー世界一を決める大舞台で3年ぶり2度目の頂点に立った。最終組で2サム同組だった世界ランキング1位スコッティ・シェフラーのキャリアグランドスラム達成を願うファンが多かったこともあり、アウェーのような雰囲気の戦いに。6打あったリードがどんどん縮まろうと、何度もピンチをしのいで一度も並ばれることなく初日から首位を守る完全優勝を成し遂げた。
特にサンデーバックナインでは気持ちの強さを発揮、刻む選手が多い10番であえて1Wを握ってグリーンまで近づき、貴重なバーディにつなげた。16番(パー5)では8m近い距離をねじ込み、雄たけびを上げた。
「彼ら(ギャラリー)は間違いなく僕の優勝を望んでいなかったね。時には『アンダードッグ(かませ犬)』になるのも悪くない。ある意味、自分で招いた部分もある。きつかったけど、僕は踏ん張った」。ことさら“美談”にするつもりはなくても、思うところはあるという。「これでひと区切りがつくことを心から願っている。あれから1年が経ったこともあり、今回が最後になるだろうと心の中では考えていたんだ。おそらくこれからも批判は受けるだろうけど、PGAツアーにおける『ヒール(悪役)』にはなりたくないよ」と頭を下げた。(ニューヨーク州サウサンプトン/亀山泰宏)