2026年 FM選手権

「コースで幸せそうに見えないよ」 復活Vで涙腺崩壊の元世界1位が乗り越えた日々

2026年 FM選手権 最終日 イン・ルオニン
2年ぶりの優勝を果たしたイン・ルオニン(Alex Slitz/Getty Images)

◇米国女子◇FM選手権 最終日(30日)◇TPCボストン(マサチューセッツ州)◇6533yd(パー72)

最終18番(パー5)、残り204ydから5Iで放った完璧なセカンドがイン・ルオニン(中国)のウィニングショットになった。1打差で追いかけるキム・ヒョージュ(韓国)は3オンでチャンスメークを逃しており、イーグルトライをカップに寄せた直後から、もう涙が止まらない。「これまでで最も長く感じた18ホールでした」。2024年「メイバンク選手権」以来2年ぶりのツアー6勝目をつかむ道のりは、周囲が思うほど平たんではなかった。

2021年末に古江彩佳渋野日向子らとともに最終予選会(Qシリーズ ファイナルステージ)を突破して23年に初優勝。同年「KPMG全米女子プロ」でメジャー初制覇を飾った約3カ月後には世界ランキング1位にも輝いた。成功を収め、「自分はトップクラスの選手だ」と実感するほど自らに対する期待値が上がり、母国からの応援はモチベーションにもプレッシャーにもなった。

24年のアジアシリーズ出場3試合で2勝を挙げる大活躍を見せたが、昨季は未勝利。メジャー「シェブロン選手権」は5人によるプレーオフの末、西郷真央に敗れた。翌週「ブラックデザート選手権」でも2位。ことし3月、シンガポールでの「HSBC女子世界選手権」を終えて次戦中国へのチャーター便を待つ間に立ち寄った火鍋のレストランでキャディのデビッド・ジョーンズ氏に言われた。「君は自分に厳しすぎる。コースで幸せそうに見えないよ」

2人でじっくり話し合ったが、簡単には意識を変えられない。4月のシェブロン選手権で再び2位。次の出場となった「みずほアメリカズ・オープン」でもやっぱり2位…。「2位で終わるなんて最悪!」といら立ちを隠せない様子を、今度は友人に諭された。「2位ってことは、勝つ力があるってこと。壁を破る瞬間は目前なんだよ」――。そこでようやく自分を認めることができたという。

友人の言葉が正しかったことを証明した復活V。中国ゴルフ界をけん引する第一人者のひとりとして、次世代へのメッセージを問われて優しく微笑んだ。「他人の期待に縛られないでほしいですね。自分の道を歩み、自分らしく、そして幸せでいてほしいです」。先日読んだばかりの記事で学んだことが下敷きになっている。「『人生は40歳から始まる人もいれば、24歳から始まる人もいる』と書かれていました。本当に自分の人生が始まるのは、他人の意見や期待に縛られなくなった時だと思います」。いまの自分がまさにそうであると、胸を張って言える。(マサチューセッツ州ノートン/亀山泰宏)

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