2026年 CPKC女子オープン

完璧だった9I以下の距離感 グリーンが“きれいに見える”パット 妥協のなさ/藤野オリエが見た山下美夢有

2026年 CPKC女子オープン 4日目 山下美夢有
山下美夢有は“縦距離”が抜群だった(Vaughn Ridley/Getty Images)

◇米国女子◇CPKC女子オープン 最終日(23日)◇ロイヤルメイフェアGC(カナダ)◇6452yd(パー70)

山下美夢有が通算23アンダーで米ツアー4勝目、今季2勝目を挙げた。初日「62」の首位発進からスコアを伸ばし続け、最終的に2位を9打差までぶっちぎる今季ツアー最大の圧勝劇。中継局U-NEXTで解説を務めた女子プロゴルファー藤野オリエに “強さの理由”を聞いた。

◇◇◇◇◇◇◇

山下さんはまず“セカンドショットの縦距離”が抜群でした。3日目まで同様、最終日も9番アイアンより下のクラブ、100yd前後以下が完璧。プロはよく「100yd以内の精度」をテーマに掲げますが、あそこまで精度が高いとは…。「これぐらいできないと海外のメジャーで勝てない。米ツアーで毎週のようにトップ10(今季17試合で9回)に入れないんだ」と痛感しました。逆に言うと、それができるからあまり飛距離が出なくても通用するんでしょうね。

だから、現地でラウンドリポーターをしてくださった片平光紀さんにいろいろ聞いちゃいました。スイングはもちろん、どんな練習をしてるんだろう、と思って。距離を合わせるのは日本よりアメリカ、カナダなどの方が難しいはずです。日本の北海道、軽井沢なら“半番手”くらい飛ぶとかだけど、海外では標高、気候、湿度などなどいろんな面できっと違いが大きい。それを朝のスタート前に体調も考慮した上で把握してしまう。

プロなら自分の中に“物差し”がある。精度を高めなきゃいけない。みんな、そう思ってます。でもわかっていても突き詰められないから苦労するんです。

山下さんは縦距離という絶対的な武器を生かすため、マネジメントを徹底していました。例えばパー5の5番でティショットにドライバーでなく、フェアウェイウッドどころか4番ユーティリティを使う。2打目で確実に刻んで、しかも3打目の得意距離を残す。普通、ちょっとでも前に行きたいんです。「グリーン近くまで行った方がバーディ取れるよね」と思うんです。それを絶対にやらない。やることを4日間ずっと変えずグッと我慢して。本当に「勇気」があると思いました。

2026年 CPKC女子オープン 最終日 山下美夢有
流れを生むパッティングの精度

パットは全部しっかり目に打ってくる。返しが少し残ってもショートパットに自信があるから打てるんでしょうが、ちゃんと打っているからカップ近くとかで微妙に切れそうなところも切れない。ベント芝が主流できれいな日本のグリーンと違い、海外のグリーンは荒れていて“コロコロ…コットン”だとうまくいかない。今週はベントとポアナ(日本名:スズメノカタビラ)が混じっていて、午後遅くなるとボールがピョコピョコ跳ねたりする。ところが、山下さんが打つとグリーンがきれいに見えるんです。重い球で2mぐらいは真ん中から入れる。そして、その結果が次のホールのティショットにつながる。チャンスも増える。そうやってすべてがいい方に回っていく。

そんな技術はもちろんのこと、気持ちが強い。最終日なんか後続とすごく差がある展開でした。すると「こんな感じでいいか」と残りホールとストローク差を考えたりしがちです。それが全くない。「いけるとこまでいこう」というスタイルを貫く。妥協が一切ない。きっとそんな姿勢を続けることで、周囲に“追いつけないな”という印象を与えるようになるんじゃないでしょうか。

今週は吉田優利さんも見事でした。最終日なんて何回やるのってぐらい1パットを決め続けて、12番(パー5)で20mのイーグルパットを決める。マンガの世界みたいでした。ついこの前は桑木志帆さんがメジャーの“全英女子”で勝って。米ツアーメンバーを中心に今の日本の女子プロは本当に強いです。今、日本を拠点に戦っているプロも力をつけて、どんどん海外にチャレンジしてほしいですね。(U-NEXT解説者/女子プロゴルファー)

藤野オリエ 静岡・葛城GC所属。山口県岩国市出身。1998年のプロテスト合格で、同期に米山みどりら。ツアー通算4勝。

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