6年ぶりの優勝を果たした川岸史果。様々な思いが涙となって頬を伝った

「99」ストローク。エンジョイゴルファーには馴染みのスコアで、川岸史果が6年ぶりの優勝を果たした。荒天、晴天、霧、晴天、雨天。27ホールに短縮された「リシャール・ミル ヨネックスレディス」は空、富士山との睨み合いが続いた短期決戦となった。

決勝ラウンドがわずか9ホールという異例のレギュレーションの中、果敢にピンを狙った選手に優勝のチャンスが生まれ、そして消えていった。プロゴルファーにとって試合での数ミリのズレは大袈裟ではなくその後のキャリアを左右してしまう。短期決戦なら、なおさら一打一打の重要度は増していく。そんなシビアな世界で戦う彼女たち。華々しさが先行してしまいがちだが、一方で何年も勝つために汗を流し続けているプロスポーツ選手であるという事実を彼女の涙が思い出させてくれた。

好きで始めたゴルフ。それを応援してくれる家族。結果を出せない自分。それでも支え続けてくれる家族。雨に濡れながら、必死で涙をこらえながら、自分のためだけではなく誰かのために流し続けた汗が、より自分を成長させてくれることに気づいた優勝だった。（フォトグラファー・今井暖）