若き新女王、上田桃子に彩られたシーズン/2007年国内女子レビュー
不動裕理の6年間にも渡る長期政権が終わりを告げ、2006年以降は誰が優勝しても不思議ではない戦国時代に突入。今シーズンも、第5戦までは米山みどりや木村敏美の復活優勝、上田桃子や現役大学生の佐伯三貴らが初優勝を飾るなど、先のまったく読めない幕開けとなった。
しかし、この直後に最初の大波が打ち寄せる。昨年の賞金ランキングで2位に入り、今季の賞金女王候補に目されていた全美貞が、国内女子ツアーでは前人未到の3週連続優勝を達成。序盤戦を優位に進め、早くも賞金女王は当確か!? との憶測も流れた。が、その後は周囲が寄せる期待が重圧となり、失速。逆に全との差を詰め始めたのが、今季大ブレイクを果たした中国出身の張娜(チャンナ)、賞金女王を目標に掲げる横峯さくら、そして上田の3人だ。
中でも、上田の急成長は目を見張るものがあった。7月の「スタンレーレディス」で、今季の目標であった3勝目を早くも達成。さらに11月に開催された、全米女子プロゴルフ協会の公式戦「ミズノクラシック」。最終日の7番パー5でアルバトロスを記録するなど、神がかり的なスーパープレーを次々と披露し、海外の強豪プレーヤーを抑えての勝利。賞金女王をほぼ確定させるとともに、来季の米国女子ツアーシード権まで手中に収めた。最終的には年間5勝を挙げ、昨年、大山志保が打ち立てた最多獲得賞金額に18万円差に迫る1億6611万2232円を獲得。国内女子ツアーの最年少賞金女王の記録と共に21歳の若き新女王が誕生し、ファンの記憶に強く残るであろう歴史的なシーズンとなった。
上田に触発されてか、今季は例年以上に若手の台頭を感じた。飯島茜、諸見里しのぶ、古閑美保の3人が、それぞれ公式戦で初勝利を分け合った。佐伯、有村智恵、三塚優子、原江里菜ら新鋭が賞金ランク上位に名を連ね、初シードを獲得した。ツアー全体の世代交代が確実に進んでいることは、賞金ランクトップ10の平均年齢24.8歳という数字が示している。急速な新世代の台頭は、同時に“上田時代”の幕開けも告げているかのようだ。