「時代にそぐわない」 意識のギャップが招いたプロアマ問題
日本ゴルフツアー機構(JGTO/青木功会長)は27日(水)、5月末の「日本ツアー選手権森ビル杯」のプロアマ戦でゲストに不愉快な思いをさせた片山晋呉に30万円の制裁金とともに、厳重注意処分を科した。
34社98人の報道陣が詰めかけた都内の会見場。約2時間に及ぶ会見は、大半の時間を調査委員会の代表である野村修也JGTO理事(弁護士)による経過説明に費やした。開幕前日の恒例となっているプロアマで、ひとりの同伴アマチュアの気分を害し、1ホールでプレーを断念させた片山の態度が問題になった。委員会が問題視したのは、プロアマ大会中に利己的に練習したという事実を超えた、「時代にそぐわない」片山の現状認識だった。
調査報告書では、問題が生じた背景と原因についても分析。近年、「プロアマ大会に参加したアマチュア等からは、ツアープレーヤーが本競技に向けた練習やコースチェックばかり行っている、あるいは同行する関係者とばかり会話している等といった不満が、当機構へ寄せられることが少なからずあった」と指摘した。JGTOは、プロとアマのティグラウンドを同じにするといった競技方法の変更などを通じ対策を講じてきた。
また、今年から選手会会長に就任した石川遼が、率先してプロアマでのゲストの満足度アップに取り組み、「一切の個人的な練習を行わなかったり、ラウンド後にも熱心にアマチュアに指導を行う等のホスピタリティ向上に努めるツアープレーヤーが増え始めている状況にあった」中で起きた問題だったと強調した。
一方で片山自身はプロに転向した1995年10月以降、通算5度の賞金王を戴冠し、常に第一線で活躍する過程で、プロアマに臨むスタイルに変化がなかったという。「20年間プロアマに関して教わることがなかった。初めて出た時から“見よう見まね”で来てしまったところはあったと思う」と反省。委員会は報告書で「片山プロからすれば、長年にわたるプロアマ大会の経験に基づき、かねてからのスタイルを貫いていただけなのかもしれないが、そうした態度は、必ずしも時代の趨勢(すうせい)と一致するものとはいえず、また周囲のプロの応対との間にも乖離(かいり)が生じていた」と指摘した。
今回は片山の行動が、現在の男子ゴルフ界を取り巻く環境、歩みだそうとする方向にそぐわなかったからこそ、問題になった。
1ストロークを縮めるために全力を注ぐプロゴルファー。昨今の日本男子ツアーではゲーム以外の場面で求められる負担は日々大きくなっているように映る。それを説明したのは石川だった。JGTO副会長、選手会会長、そしてひとりの選手という立場を兼ねる26歳は、昨年まで主戦場にしていたPGAツアーでの現状と比較しながら、苦悩の言葉を残した。「今の状況に対してのベストを選択しなければならない。選手の負担が増えてでも、やはり頑張っていかないといけないのが今の日本ツアーなのではないかなと。置かれている状況が日本とアメリカでは違う」。“今”が変わる時は来るだろうか。
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