松山英樹の一人勝ちが史上初の記録を生む?
年間のトーナメント優勝者と賞金ランキング上位の30人が出場権を手にする「ゴルフ日本シリーズJTカップ」。東京よみうりカントリークラブで開幕した今年の最終戦は、年間4勝をマークした松山英樹が左母指手根中手関節炎のため欠場。29人の選手がタイトルを争ってティオフした。
4アンダー「66」をマークした宮里優作、近藤共弘、藤本佳則が首位でスタートを切った初日。選手たちは一様に、例年よりも格段に硬くなったグリーンに手を焼いた。芝は濃い緑色に染められながらも、ショットを易々と弾いていく。首位に1打差、3アンダーと好スタートを切った谷原秀人も「(例年とは)別のコースでの戦いだ」と苦笑い。「そんなには攻めずに。常に“安パイ”でやっている」と渋い表情で話した。
ところで、この日出場の29人のうち「日本ツアーの年間優勝者」の資格で出場しているのは18人(キラデク・アフィバーンラト、マイケル・ヘンドリー、ベ・サンムンの3人は、今季の海外ツアー競技で優勝した日本ツアーメンバーとしての資格で参戦。残りの8人が国内賞金ランク上位者)。しかしその18人全員が年間1勝にとどまっており、これもシーズンを振り返れば4勝をマークした松山の存在感を際立たせる要因だ。
1973年のツアー制施行後、シーズンで複数回優勝者が最も少なかったのは2011年シーズンの2人(ベ・サンムン3勝、高山忠洋2勝)。1人しかいなかった前例は無い。そして同年のサンムンも、高山も前週の「カシオワールドオープン」までに上述の勝利数を挙げており、複数回勝者が1人のまま、この最終戦を迎えること自体、初めてのことだ。
「寂しいね。もちろん試合数が増えてくれば(複数回勝者が)出てくるものだし、試合が少ない中で勝つのは難しくはなっているけれど」と谷原。先月「三井住友VISA太平洋マスターズ」で3年ぶりの勝利を飾った。今季2勝目には、いつもとは“違う価値”も少なからずありそうだ。(東京都稲城市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw