熱暑のアブダビをクールにプレーしたデシャンボーが首位発進
「アブダビHSBCゴルフ選手権」は初日を終え、見事「64」をマークしたアマチュアのブライソン・デシャンボーが単独首位に躍り出る展開となった。とは言え、ルーキーの彼が金曜もその座を堅持するには、肉薄する後続の名だたるベテラン勢やエリート選手たちを上回るプレーを続けなければならない。
欧州ツアーへの出場は、昨年の「全米オープン」に続いてまだ2回目の「全米アマチュア選手権」王者のデシャンボーは初日を7バーディ1イーグル、1ボギーでラウンドし、2位に続くヘンリック・ステンソンに1打差をつけて堂々の首位に立った。
2013年の「レース・トゥ・ドバイ」王者であるステンソンは、欧州ツアー9勝を誇る歴戦の強者だ。ステンソンの1打差には現欧州王者のロリー・マキロイと欧州ツアー6勝のブランデン・グレースがつけている。
さらに5アンダーにはリチャード・ブランドとアンディ・サリバンが続いており、世界ナンバーワンのジョーダン・スピースは、トーマス・ビヨーン、ニコラス・ファス、マシュー・フィッツパトリック、デービッド・ハウエルらとともに首位から4打差の4アンダーグループにつけている。
これまで述べた後続の選手たちは、ツアー出場375回目のブランドを除き、誰もが少なくと欧州ツアーで1勝以上挙げている名手ぞろいだが、欧州ツアー史上アマチュアによる初日の最高スコアを叩き出したデシャンボーは、後続のお歴々にも物怖じした様子を見せていない。
「(周囲の)期待値ゼロで今日のラウンドに臨んだので、のびのびとプレーできましたし、ほとんどのホールでフェアウェイをとらえ、いくつかパットも決まりました」とデシャンボー。
「インターンのような感じで、アマチュアとしてプロの大会でプレーするのは良いものですね。どんどん慣れてきていますし、大会ごとに居心地が良くなってきています。こういう場所にいるのはとても楽しいですね」
デシャンボーは3番でボギーを叩いたが、続く2ホールで連続バーディを奪って盛り返すと、8番でイーグルを奪い、がぜん波に乗った。彼は折り返しをまたいで連続バーディを奪うと、15番、16番、18番とバーディを積み重ね、首位に躍り出たのである。
この22歳の若者は、しばしばアイアンのシャフトが全て同じ長さにそろえられていることについて言及されるが、デシャンボーは自身が少し変わっていることを嬉々として認めた。
「ある意味、僕はゴルフをする科学者なんです。そして僕は、ゴルフコースと自分のプレーの仕方をあらゆる見地から分析し、理解したいと思っています」とデシャンボー。「今日のプレーも分析し、明日はどうすればさらに良くなるか検討し、そこからどうなるかという感じです」。
膝の手術の影響をみじんも感じさせないラウンドを展開したステンソンは、初日を「65」でラウンドし、デシャンボーが見事なフィニッシュを飾るまでは首位で初日を終えるかに見えた。
スウェーデン出身の彼は、12月初旬の「ネッドバンクゴルフチャレンジ」を2位で終えた4日後に内視鏡手術を受け、わずか6週間の休養を経て、ここアブダビGCでティアップしたのである。
しかし、そうしたことを全く問題としなかった39歳のステンソンは「コマーシャルバンクカタールマスターズ」と「ドバイデザートクラシック」を1度ずつ制覇し、「DPワールドツアー選手権」は2度制覇と、見事な成績を残している湾岸諸国でその実力を遺憾なく発揮してみせた。
ステンソンはこの日、最終ホールの9番こそ唯一のボギーをたたいたが、8つのバーディを奪い、2006年と08年に記録したこの大会での自己最高成績である2位のさらに一つ高みに狙いを定めている。
「そうなれば最高だね」とステンソン。「ドバイはここ10年、我が家同然となっていて、この地域ではとてもくつろげるし、すばらしいプレーもしてきたから、そうなれば多くを意味することになるね」。
「ここでは優勝にあとわずかのところまで迫ったことがあるんだ。特に、2006年の第1回『アブダビゴルフ選手権』はそうだったね。確かあの時はクリス・ディマルコに1打差で敗れたんだ。ここで優勝して、この地域の大会を全制覇することができたら最高だね」
「今日はあと1、2打良くてもおかしくなかったけれど、最後はあと1打多くたたいていた可能性はあったね。運も必要だからね。あそこではティショットが良くなかったんだ」
「この初日にはとても満足している。ここ2年、アブダビでは良いプレーができていなかったから、ソリッドなスタートが切れて良かったよ」
「もろもろあってコースからは離れていたけれど、今日はコース上で万事問題なく運んだようだね」
「知っての通り、僕の脚にとってこれは挑戦だったんだけど、果たしてその通りだったね。歩くとき、膝というよりは、足に負担が生じるのだけど、最後まで歩き通すことができたね。18ホール歩き切ったよ」
この日の序盤はマキロイとスピースに全ての注目が集まるなか、10番スタートから2ホール連続でバーディを奪い、12番でもわずかのところでバーディを奪い損ねたマキロイの独り舞台となるかに見えた。
しかし、マキロイは前半のバックナインで3パットを2度してしまい、この日は8バーディ、2ボギーのラウンドとなった。
同組のスピースは同じく2ボギーに対し、6つのバーディを奪い「68」で初日を終えた。
午後スタートのベストスコアを出したグレースは、5つバーディを奪った前半を「31」でラウンドしたが、バックナインは1つスコアを伸ばすにとどまり「66」の初日となった。
初日「67」のブランドは17番で唯一のボギーをたたき、一方午後スタートだったサリバンは同スコアながらノーボギーのラウンドとなった。
この日最も波乱に富んだラウンドをプレーしたビヨーンは、13番でバーディを奪うと、続く14番ではトリプルボギーをたたき、迎えたパー3の15番では179ヤードを6番アイアンで直接ねじ込むホールインワンを披露した。
デンマーク出身のベテランは、その後、5番、7番、8番、そして9番とバーディを重ね、ポジティブな2016年シーズンのスタートを切った。
初日「68」のハウエルとファスは、ともに2つボギーをたたいたが、同スコアのフィッツパトリックは初日の18ホールをノーボギーでラウンドした。
大会3勝のマルティン・カイマーは17選手がひしめく3アンダーの集団につけており、「BMW PGA選手権」王者のアン・ビョンフンもこの位置につけている。
15番で前述のビヨーンに続くこの日2つ目のホールインワンを達成したグレゴリー・アブレは
イーブンパーで初日を終えた。なお、昨年は大会期間中に15番で3つのホールインワンが記録されている。