インドオープンを制し母国の英雄となったラヒリ
「ヒーロー・インドオープン」は、僅か2週間前にヨーロピアンツアー初優勝を飾ったアニルバン・ラヒリが同胞のS.S.Pチャウラシアをプレーオフの末に退け、ツアー2勝目を感動的な地元での優勝で達成する結末となった。
2週間前の「マレーシアオープン」で優勝したラヒリは、首位から7打差で最終日をスタートするも、この日を「69」でラウンドし、前日まで首位に立っていたチャウラシアが「76」と大きく躓いたため、勝負をプレーオフへ持ち込むことに成功した。
地元のペアはプレーオフの舞台となったパー5の18番に戻った。ティショットをフックさせて林に打ち込んだチャウラシアがパーをセーブできなかったのに対し、ラヒリはこのホールをバーディとして勝負は決した。
スウェーデンのヨアキム・ラガーグレン、タイのプラヤド・マークセン、スリランカのミスン・ペレラ、そして豪州のマーカス・フレイザーはプレーオフに1打及ばない通算6アンダーの3位タイで大会を後にした。尚、このなかでパー5の18番でバーディを奪ったのはペレラだけだった。
マークセンは最終ホールで長い距離を3パットしてこのホールをパーとし、一方、12番を終えた時点では通算9アンダーの単独首位に立っていたフレイザーだったが、13番でダブルボギーを叩き、16番でもボギーを叩いて後退を余儀なくされた。
バングラデシュのシディクール・ラーマンは首位から2打差の通算10アンダーで最終日をスタートし、出だしの5ホールをパーとしたことにより、一時は首位に立つも、後半に「39」を叩いたことによりタイトルから遠ざかった。
「信じられないですね。今日、スタートするときは、まさか優勝するチャンスがあるとは思っていませんでした」とラヒリ。
「これは私がデリーGCでプレーしてきたなかで最も厳しい一日でしたが、優勝を達成できてとても嬉しいです。子供の頃からの夢でしたから」
「とにかく良いプレーをして、バックナインでチャンスを作り出すことができるかどうかでした。8人に優勝のチャンスがありましたから、すごくラッキーで、幸運に恵まれたと思いますし、とても嬉しいですね」
出場選手中、最も賞金ランキングの高い選手であるラヒリは、フェアウェイが狭く、木立の迫るコースに風が吹くコンディションのなか、1番で4mのバーディパットを沈め、2番では見事な2打目からタップインでバーディを奪う完璧なスターを切った。
5番でもバーディを奪って更にスコアを伸ばしたラヒリだったが、その後の10ホールは3ボギー、1バーディと、失速してしまった。
しかしながら、過去にこのコースで2勝を挙げている前日首位のチャウラシアが、3番と5番で林に打ち込み、それぞれのホールをボギーとダブルボギーとしたことにより、多くの選手に優勝の芽が出た。
ラヒリは16番で2打目をピン側1.5mにつけ、極めて重要なバーディを奪ったのだが、それ以上に重要だったのが17番でのパーセーブで、ラヒリは3打目をダフりながらも、続く4打目をチップインしてパーをセーブすると、ドライバーを林に打ち込んだ最終ホールでもパーセーブに成功した。
これにより、チャウラシアが優勝するには最終ホールでのバーディが必要となったのだが、ティショットを林に打ち込みつつもボールがファーストカットまで跳ね返ってくる幸運に恵まれながらも、チャウラシアはタイトルの懸かった6メートルのバーディパットを決め切ることができず、プレーオフで再び戻った18番ではまたしてもティショットを林に打ち込むが、このときは運を味方につけることは叶わなかった。
この勝利によりラヒリは「レース・トゥ・ドバイ」で2位に躍進し、公式世界ゴルフランキングでのトップ50の地位を確たるものとし、4月の「マスターズ」出場は確定的となった。
「どのように言ったら良いのか分かりません」とラヒリ。「たった6ヶ月前はスペインのQスクールでプレーしていたわけで、残り5ホールでこのままだとシード権が得られないという状況からシード権を手にして安堵していてわけです。それだけに、いくつかステップを飛ばしてここまでやって来たような気がします。勿論、素敵な心持ちがしますし、1年を通して良いプレーができればと思っています」