シーム、モロッコで完全優勝 ランガーに感謝
マルセル・シームは、「ハッサンII ゴルフトロフィー」で3打差の大勝を遂げた。しかし、2週間後に行われる「マスターズ」デビューを果たせるかどうかについては、まだ気がかりな状態で待たなければいけない。
32歳のドイツ人はゆっくりとしたスタートを切った。3度目の欧州ツアー優勝に向けて、フィンランドのミッコ・イロネンの脅威にさらされていた。
シームは、オーガスタナショナルへの参加権を手にするためには、この日の夜に公式世界ゴルフランキング50位以内に入る必要がある。しかし、「シェル・ヒューストンオープン」でのヘンリック・ステンソン、ラッセル・ヘンリー、そしてチャールズ・ハウエルIIIの結果待ちの状態である。
「それが実現すれば信じられないと思うだろうね」とジョージア州行きのチケットを手に入れることが何を意味するかと問われたシームは答えた。
「子供の頃からの夢だったんだ。だからそれが実現するとなれば、本当に信じられないことだよ。マスターズでプレーすることは夢のようなことだからね」。
「ただその舞台に立ちたいだけなんだ。僕は泣かないけど、とても感動的なことだと思う。子供の頃に、ベルンハルト・ランガーが優勝したのを覚えているんだよ。グレッグ・ノーマンの大ファンでもあったし、そこで彼がアンラッキーな目にあったことも覚えている」。
「ただ驚嘆するのみだね。全てのショットで完璧が求められる究極のコースだよ。右から左へ曲げたり、左から右へ曲げたり、高いボールや低いボールを打ったりと、工夫を重ねないといけないけれど、それは僕には合っていると思う。マスターズの舞台に立つためにできることはやりきったと、純粋に思っているよ」。
「フランスオープン」の王者はこの日4打差でスタートしたが、最初のホールをボギーとし、その後2番ホールから3連続バーディを奪ったイロネンに追いつかれてしまった。シームはこれに対し、5番と7番でバーディを奪って応戦した。特に7番では3フィートにつける素晴らしいアプローチを見せた。しかし2007年に欧州ツアーで2勝を挙げているイロネンも7番ホールをバーディとし、僅差を保った。
イロネンが10番のロングホールでボギーとした際に、再び2打差となった。シームはグリーン周りでうまくいかなかったのだが、そのホールをパーで切り抜けた。そして11番でシームが10フィートのバーディパットを決め、イロネンが12番ホールのティショットをバンカーに入れたときに、勝負は決した。イロネンはその時、ラフへと出すことしかできず、その後のチップショットもカップを4フィート越してしまい、返しのパットも外してしまったのだ。
シームは15番で2パットのバーディを決めて、残り数ホールでいくつかミスをする余裕を生み出すと結局2アンダーの「70」で終えて、通算17アンダーという結果だった。
食中毒にかかっていたイロネンは、中盤のスランプから復活して終盤の2ホールを連続バーディ。2011年の優勝者であるイングランドのデビッド・ホージーと並んで14アンダーの2位タイとなった
「とてもとてもハッピーだよ。落ち着いてプレーすることができたことは誇りに思う」と最終ラウンドを前に伝説のドイツ人ゴルファーからアドバイスを受けたシームは語った。「プレッシャーが掛かっていたし、ミッコは出だし好調だったから、それらに打ち勝つ事ができて良かったよ」。
「こういう状況になったことが今まで一度もなかったから、昨晩ベルンハルト(・ランガー)に相談したんだ。4打差で首位に立っている状態で、どうやって対処したらよいのかアドバイスをもらおうと思ってね。ベルンハルトに感謝だね!」