2014年の誓い 松山英樹の不動心
松山英樹 新春インタビュー
プロゴルファーに転身した2013年4月2日以降、松山英樹の名前は瞬く間に日本から世界へ発信されるようになった。ルーキーイヤーのシーズン2戦目「つるやオープン」を手始めに国内ツアーで優勝を重ねると、海外メジャー「全米オープン」で10位に食い込み、「全英オープン」では6位でフィニッシュ。PGATOURのシード権を確保する一方で、日本ツアー史上初の新人賞金王にも輝いた。激動の13年と、間もなくスタートする14年の戦い。その心境と、今後の展望を自らの口で語った――。
年が明け、2月末にようやく22歳になる松山。昨年は一年を通じて、スポーツ界の話題を牽引する存在になった。活躍の場は国内に留まらず、ゴルフ界を飛び出し、ひとりのプロアスリートとしての認知度もアップ。だが若き賞金王の内心は、充実感に満ちているかと思えば、そうではない。
「結果的には、4月にプロ転向してから初優勝も含めて、アメリカのシードも獲れて、賞金王も獲れて、本当にいいシーズンを送れたかなと思います。でも自分のゴルフの内容に対しては、きっと皆さんも感じられているように、1試合、1試合に不満なところはいっぱいあって、(ラウンド後の)コメントもいつもそういう感じになっちゃったと思うんですけど・・・(苦笑)。内容に関しては自分自身、納得していないです」
納得できない――そんな思いを助長するのは、まず昨シーズン終盤戦の相次ぐ棄権や欠場だ。
「最後に怪我をして、3試合(日本シリーズJTカップ、日立3ツアーズ、ザ・ロイヤルトロフィ)出られなかったのは悔しい。半年くらいしか体が持たなかった。もう一度トレーニングを始めて、どれくらい体が持つのか今後は調べていきたい」
数字との向き合い方にしても、周囲のそれとはギャップがある。日本ツアーでは平均ストロークの他、パーキープ率、バーディ率、サンドセーブ率で全体1位。各部門で上位にランクされ、オールラウンダーとしての評価が世界的にも高い。だが、当の本人はそのスタッツへの評価についても「うーん、よく分かんなくて…」と、口ごもる。
「足りないもの?たくさんありますね。体力的なものを含めて、飛距離、精度、ショートゲーム・・・ほんとすべてに足りないなと言う感じがしました」
「自分としては100ヤード以内の精度、ラフからのアプローチとか、フェアウェイからの距離感とかも足りない。数字的に見れば、アメリカツアーでのスタッツも悪くないと情報は入ってきているんですけど。でも・・・なんて言うんすかね。例えば『攻めないといけないピンポジションを攻めきれていない』とか、『打ちたくない場所に打ってしまった』とか、細かいところで、自分は思うように全然打てていないし、もっともっと練習しないとなあと思うんです。数字では分からないところですよね」
自らに対する厳しさは、人々の想像をはるかに超えるものがある。しかし、だからこそ「納得できるところまで突き詰められたら、メジャー優勝に近づくのかなと思います」と、自信を持って口にもできる。