子供の頃は欲しいものを手に入れるために神様に手を合わせていたが、歳を重ねるにつれ自分の健康や周りの人たちの幸せをお願いすることが神様に向かう理由になってきた。大人になってから始めたゴルフも気まぐれな自然と対峙するがゆえ、祈る時間の多いスポーツだと思う。
ゴルフの祭典「マスターズ」が開催されるオーガスタナショナルゴルフクラブ。開幕の前週、そこで女子アマチュアの世界一を決める大会が行われている。世界中のゴルファーがマスターズを目指すように、世界中の少女たちがココを目指して毎日クラブを振っている。
このコースで最も有名なのは、11番ホールから始まる通称「アーメンコーナー」。世界のトッププロがティイングエリアで苦悩し、グリーン上で肩を落とす。日曜日の午後にたくさんのドラマが生まれてきた場所だ。緊張と安堵が繰り返されてきたこの場所で、アザレアの赤やピンクを背景に彼女たちの思い切りのいいスイングと爽やかな笑顔はとても新鮮に映った。
何人ものゴルファーたちが祈りを捧げてきたアーメンコーナー。祈りとはまだ無縁の幼い目に焼き付いたであろう景色は、もしかしたらグリーンジャケットを目指すために乗り越える試練の場所というだけではなく、女性ゴルファーたちがより輝ける場所なのかもしれない。そう思えるくらい彼女たちにココはよく似合っていた。（フォトグラファー・今井暖）
