2022/12/05日本シャフト特集

カリー・ウェブが語るクラブのこだわりと日本文化へのリスペクト

メジャー通算7勝、3度の米女子ツアー賞金女王など、カリー・ウェブは女子ゴルフ界のレジェンドと呼ぶにふさわしい実績を残してきた。現在は第一線を退いているものの、47歳で迎えた2022年シーズンは米女子ツアーで3試合に出場し、チーム戦の「ダウグレートレイクスベイ招待」(15位)を含めて2試合で予選通過。長くゴルフファンを魅了するプレーを支えてきたクラブへのこだわりには、日本への特別な思いが秘められている。 契約フリーを貫き続けたクラブ選び 今年7月、ウェブは久々に長年のライバルとのマッチレースを演じた。「全米女子プロシニア選手権」でアニカ・ソレンスタムを4打差で振り切り、シニアツアー初優勝を遂げた...
2022/12/16HONDA特集

ゴルフがもっと楽しくなる? 大手自動車メーカーの描く未来像

近年のクルマ作りにおいて、世界各国のメーカーはさまざまな種類のモデル開発を進めている。時代の流れとともに消費者ニーズは変わり、ライフスタイルや価値観の多様化によってクルマに求められることも変化してきた。それは、ゴルファーのクルマ選びも例外ではないだろう。 そのような状況下で、本田技研工業(ホンダ)が11月17日に発表した新型SUV(スポーツ用多目的車)には、“ゴルファーが自信を持って朝イチのティイングエリアに立てる”という期待が込められているという。それはどのようなモノなのか。同社開発戦略統括部の河口展之(かわぐち・のぶゆき、以下敬称略)チーフエンジニアに聞いた。 変化しつつあるクルマ作りのテ...
2022/12/05テーラーメイド特集

カーボンの可能性を求めて メタルウッド開拓メーカーの次なる挑戦

1979年創業のテーラーメイドはメタルウッドの元祖。ヘッド素材にステンレスを採用した「ピッツバーグパーシモン オリジナルワン」、「ツアープリファード」といった初期の名器たちが、長らく続いたパーシモンの時代に終止符を打った。主流はステンレスからチタンに変化したものの、広い意味では今もメタルウッドの時代が続いている。 そして、真っ先に脱チタンを掲げたのもまたテーラーメイドだった。2022年の最新モデルからドライバーのフェースにカーボンを採用した開発の経緯と、カーボンの可能性を深掘りする。 木製から金属製 そしてカーボンへ 木製のパーシモンから金属製のメタルへ。ドライバーの性能は、ここで大きな飛躍を...
2022/04/07フォーティーン特集

ゴルフ界を席巻した強烈スピン 「MT-28」ウェッジが与えた衝撃

ゴルフ界には名器と呼ばれるクラブがある。機能性と造形美、従来の常識を覆す革新性を持ち、それが次なる時代の常識へとつながっていく――。いま手にしているクラブにも隠された系譜があるはず。さかのぼることができたなら、いずれかの名器にたどり着くだろう。 日本からそんな名器を生み出してきたのが、1981年創業のクラブメーカー「フォーティーン」だ。社名の由来でもある「すべてのゴルファーにベストな14本を」という信念が、ゴルフ界の常識を打ち破り続けている。 過渡期にあった単品ウェッジへの挑戦 アイアンセットはPWまで、AWやSWは単品で別のモデルを組み込む。いまではアマチュアにも多く見られるセッティングだが...
2022/05/02日本シャフト特集

シャフト開発の極意は「固定概念を捨てる」こと プライベートでも貫く開発者の信念

<“こだわりの人”に聞くライフスタイル&仕事術> 技術、クラブ、ウェア……。ゴルフのこだわりは人それぞれ。そこに様々な楽しみ方が存在するからこそ、幅広い層に愛され続けているのだろう。日本シャフトは完全国内生産でスチール、カーボンの両方を扱うこだわりのシャフトメーカー。新たなシャフトを生み出す開発陣から、それを手にするエンドユーザーまで、同社の周りには“こだわりの人”にあふれている。 食生活を一変させた固定概念を持たない“こだわり” 「固定概念を持たない」――。仕事でも、プライベートでも、日本シャフトの生産本部開発課主査の藤原甲介(敬称略、以下同)のこだわりはこの言葉に集約される。昨年11月に始...
2022/05/05フォーティーン特集

50インチの試作品もあった長尺ブームの原点「ゲロンディー」

2022年1月からツアーレベルでは長尺ドライバーへの規制が始まり、全長46インチ以下に制限される。シャフトを長くすれば、ヘッドスピードが上がって飛距離が伸びる。安定性が落ちるというデメリットはあったが、スイングとクラブ、双方の進化によってメリットだけを享受できる環境が整ったからこそ、規制の必要が出てきたのだろう。 そんな長尺化の歴史を振り返ると、24年前に発売されたひとつの名器にたどり着く。そこには、常識にとらわれずに理想を追い求める、未知への挑戦があった。 長尺に求めた飛ばしのロマン 昨年5月の「全米プロゴルフ選手権」で、50歳のフィル・ミケルソンがメジャー史上最年長優勝を果たした。手にした...
2024/01/19キャロウェイ特集

パラダイム Ai スモーク ドライバーは、本当に芯を外して打っても飛ぶ?

キャロウェイゴルフから2024年の新シリーズ『パラダイム Ai スモーク』が発表された。AIによるフェース設計が大幅にバージョンアップし、たとえミスヒットしてもまっすぐ遠くへ飛ばせるクラブになっているという。果たして、それは本当なのか。ゴルフライターの鶴原弘高さんがクラブ性能を試打検証。アマチュア3人の試打では各ゴルファーの最適モデルを探った。 ■AIがリアルスイングデータを解析してつくられた新フェース キャロウェイがドライバーに初めてAIによるフェース設計を採用したのは、2019年発売の『エピック フラッシュ』。このときはボールスピードの最大化とフェースの堅牢性のみをAIに計算させていたが、...
2023/12/19ダンロップ特集

モノにも人にも歴史あり ゼクシオは“みやこんじょ”から世界へ

宮崎自動車道「都城」で下りてすぐ、霧島の山々を遠方に望める宮崎県都城市の玄関口ともいえる地に「ダンロップゴルフクラブ」はある。カーボンシャフトの製造、そして特注品を含むダンロップのゴルフクラブの組み立てを担う工場だ。最新のゼクシオやスリクソン、クリーブランドのクラブ、「宮崎」を冠したMiyazakiシャフトなどは、ここ「みやこんじょ」から世界のユーザーの手へと渡っている。 松山英樹や畑岡奈紗ら世界で活躍する選手らのパネルや展示クラブに迎えられる工場の1階。奥へと足を進めるとクラブの組み立てラインがある。整然とした空間に響く機械音。パステルカラーの制服やブルーのエプロン姿の女性従業員の多さも目立...
2024/01/12キャロウェイ特集

キャロウェイのAIフェースはやさしさのためにある

昨今話題のAI(人工知能)技術。その進化はとどまるところを知らない。ゴルフ界でAIをいち早く取り入れたのがキャロウェイゴルフだ。2019年にAIを採用したクラブを発売するなど、いまや業界では突出している。そして2024年、さらに進化したAI設計のクラブを発表した。同社のAIの系譜を追った。 ■AIを前面に 人間の棋士をしのぐレベルとされる将棋AIは有名だが、ゴルフにおいては、AIが人間を助けてくれる。キャロウェイゴルフが世に送り出してきたAI設計クラブのことだ。 2023年ツアー部門でもナンバーワン勝率をマークした『パラダイム』の後継として、2024年の年初に新発表した『パラダイム Aiスモー...
2023/11/29ゴルフプライド特集

肥野竜也のモデル人生はゴルフで出来上がった 目標は「日本ミッドアマ」出場

人気モデルの肥野竜也は「日本ミッドアマチュア選手権」(25歳以上)出場を目指す競技志向のアマチュアゴルファーでもある。ゴルフ関連のメディアやアパレルでモデルを務める姿をよく見かけるが、作り物ではない本気のゴルファーなのだ。ギアへのこだわりも当然持ち合わせているが、中でもこだわるのはグリップ。そのルーツはかつてプロとしてプレーしたテニスの経験にあるという。 ■高校卒業後はテニスで進学するはずが … スタートは遅いけど、どこかで追いつく。肥野のエピソードにはそんな内容の話が多い。テニスを始めたのは高校に入ってから。 「小学校、中学校ではバスケ部だったんですけど、高校では個人競技がやりたいなと思っ...
2023/09/07ゴルフプライド特集

義手のプロゴルファーを支える“一本筋”の通ったメンタルとグリップ

豪快なドローで240~250ヤードを飛ばし、正確なショットでグリーンをキャッチする。その男の右手は義手だ。身体的なハンディを乗り越えてプロゴルファーとなった小山田雅人のゴルフ人生は、不屈のマインドとともに「ゴルフプライド」のグリップを抜きには語れない。 ■努力すれば、できないこともできるようになる 現在は主に講演活動を行いながら、レッスンに試合にと忙しく飛び回る小山田。2歳のときに、実家の精肉店にあった肉を切る機械に右手を入れてしまい、右の手首から先を切断した。 「私が生まれ育った町(那須町伊王野)は山の中にあって人口が少ないので、周りに障がい者がいませんでした。なので、特別扱いはナシ。他の...
2023/11/06キャロウェイ特集

かつてない“スケルトン窓”付きフェース 性能の違いを楽しめるAIパターって!?

キャロウェイゴルフが展開するパターブランド「オデッセイ」の新作が注目されている。「Ai-ONE」の名が示す通り、2019年に「エピックフラッシュ」で導入して以来、AI(人工知能)で業界をリードし、ウッドからアイアンまで使われてきた技術が、ついにパターにまで採用された。透明の小窓が搭載された、かつてないパター。いったいどんなモノなのか。 ■ジョン・ラームがいち早く投入 キャロウェイと契約するメジャー覇者のジョン・ラーム(スペイン)が4位に入った9月のDPワールドツアー「BMW PGA選手権」で新たなパターを手にしていた。形状はこれまで使用してきたオデッセイのホワイトホットOG・ロッシーSとほぼ同...
2023/11/30キャロウェイ特集

ロングパットも怖くない! 話題の「AIフェース」で3パットを撲滅しよう<50人試打検証>

突然だが、皆さんの1ラウンドあたりのパット数はいくつぐらいだろうか?50人のゴルファーにアンケートをとってみると「1ホール2パットだから合計36パット」、「パットが苦手で40前後してしまう」という答えが多かった。パット数を30前後に抑えることができれば、大幅なスコアアップが望める。それにはロングパットをピタリと寄せて3パットを減らすことが大切だ。 ■プロとアマチュアの1ラウンドの平均パット数は? 11月某日、千葉県の上総モナークカントリークラブにお邪魔し、ラウンド前の練習グリーンでゴルファー50人にアンケートをとった。パット数が20台後半と回答したのは全体の1割弱、30~35は3割、35~4...
2023/11/01日本シャフト特集

日本シャフトで結ばれたカリー・ウェブと藤田さいきの今とこれから

第一線を退き、現役時代とは違ったスタンスでゴルフとかかわるカリー・ウェブ(48)と昨年の「AIG全英女子オープン」で自身初の海外メジャー出場を果たすなど、ベテランと呼ばれる年齢を迎えてさらなる進化を見せる藤田さいき(37)。 2人は今秋、契約先の「日本シャフト」のはからいで、サプライズ対面を果たした。ゴルフとの適度な距離感を楽しむレジェンドと現役としてさらに上を目指すベテランが、それぞれの今とこれからを語る。 ■2人の共通点 ラウンド対決や対談を通じて、藤田はいくつかの質問をウェブに投げかけた。例えば、トラックマンなどの計測機器の必要性について。 「最近の若い選手は少し計測機器に頼り過ぎか...
2023/10/11日本シャフト特集

カリー・ウェブと藤田さいきがサプライズ対面 演出したのは日本シャフト

昨季11年ぶりのツアー優勝を果たした藤田さいきに今秋、思いがけないサプライズが用意された。中学生のころからの憧れの存在であるカリー・ウェブ(オーストラリア)との対面。その機会を提供したのは両者と契約を結ぶ「日本シャフト」だった。同社のYouTube撮影とだけ聞かされ、何も知らずにやってきた藤田の反応はいかに。 ■「神様が降臨した」 上総モナークカントリークラブ(千葉)の室内練習場で撮影を前に軽くウオーミングアップをする藤田にゆっくりと近づく人影。それがウェブだと気づいた瞬間、藤田は悲鳴にも似た声を上げて泣き崩れた。メジャー通算7勝、米女子ツアー賞金女王3回のスーパースターが突然現れれば、驚く...
2024/01/25テーラーメイド特集

高慣性モーメントが“ぶっ飛び”をもたらすメカニズム

「慣性モーメント」という言葉がゴルフ界でこれまで以上に脚光を浴びている。単位は「g・cm2」。数字が大きくなればなるほど、物体が回転しづらくなることを表す。ゴルフクラブに当てはめれば、インパクト時のヘッドがブレにくいことの指標であり、つまり「寛容性=やさしさ」の基準となっている。 テーラーメイド「Qi10 MAX ドライバー」は「飛距離を犠牲にせず 究極のやさしさ」を目指した最新モデル。フェースの上下方向、左右方向の慣性モーメントが合算値で10,000g・cm2を突破したことで、ゴルファーは今、「飛距離を犠牲にせず 究極のやさしさ」を手に入れる新たな扉の前に立っている。 過去最高の寛容性を持つ...
2023/12/15トゥルーテンパー特集

米国と日本の2大ブランドが手を組んだ理由

アメリカ発のシャフトメーカーであるトゥルーテンパー社の「ダイナミックゴールド」と、20年以上の歴史を誇る住友ゴム工業(ダンロップ)の「ゼクシオ」は、どちらもゴルファーの誰もが知る超有名ブランドだ。 そんな両者が2023年12月発売の「ゼクシオ エックス アイアン」で初タッグを組んだ。プロツアー使用率が高く、中・上級者向けで“難しい”というイメージがあるダイナミックゴールドと、アベレージ層のアマチュアにも人気が高いゼクシオの融合。相反するイメージが中和され、新モデルで実現した理由とその狙いに迫る。 軽量モデルの投入で積極的にアプローチ 「ゼクシオの純正シャフトとして採用が決まった時にはアメリカ本...
2023/07/10日本シャフト特集

だからこそ標準シャフトに選び、選ばれた【国内クラブメーカー編】

国内唯一の総合ゴルフシャフトメーカー「日本シャフト(NIPPON SHAFT)」。信頼と実績は、国内外のクラブメーカーにも純正として採用されていることでも明らかだ。先のコロナ禍では品薄状態でもメーカーへの誠実な対応でエンドユーザーの手へ。その精神はまさに日本が誇る“おもてなし”。クラブメーカー、住友ゴム工業(ダンロップ)の場合、日本シャフトからどんな恩恵を受け、どんなメリットを享受しているのか。 ■「ゼクシオ」誕生の裏側 1988年から約10年間、ダンロップがキャロウェイ製品を販売していたのをご存じだろうか。ダンロップとキャロウェイが代理店契約を結んでいた当時の代表モデルといえば、「キャロウ...
2023/06/26ゴルフプライド特集

「全米オープン」で経験値アップ 永野竜太郎のグリップのこだわりには超ベテランの助言も

今年6月、海外メジャーの中で最も過酷といわれる「全米オープン」に初出場し、日本勢最高の20位で締めくくった永野竜太郎。試合の結果よりも現場から何を感じ取り、国内ツアーでどう生かすかが勝負だと語っていたが、今後の戦いぶりを見ればその成果がわかるだろう。 その永野が昨年からグリップを太めのタイプに替えたことをご存じだろうか。握ったときに指が余らず、よりクラブとの密着度が上がったという。「ゴルフプライド」を長年愛用する永野だが、グリップに対してどのようなこだわりを持っているのか。 ■身体とクラブの唯一の接点 昨年の「ゴルフパートナーPRO‐AMAトーナメント」でのことだ。練習日に同組でラウンドしてい...
2023/08/03ニコン特集

“ピン”ポイントでロックオン! ゴルフ用究極レーザー距離計のザ・ヒストリー

「ニコン」という社名を聞けば、おのずとカメラを思い浮かべる人が多いだろう。創業から100年を超える歴史を誇り、店頭にはプロユースから一般ユーザー向けまで多くのカメラ製品が並ぶ。しかし、その原点は“双眼鏡”だ。 1917年に光学機器の国産化を目指し「日本光学工業株式会社」として創業すると、1921年には初めて開発、設計、製造などをすべて自社で行った双眼鏡を世に送り出した。 そして、カメラと双眼鏡、双方の技術を結集する形で作られているのがゴルフ用のレーザー距離計「COOLSHOT」シリーズだ。2016年には世界初の手ブレ補正機能を搭載したモデルを発売し、多くのユーザーに愛用されている。これまでの開...