2002年 WGC NECインビテーショナル

クレイグ・パリーがアメリカ初優勝を飾った!

2002/08/26 09:00
米国初制覇のパリー

大混戦が予想された最終日は、あっという間にクレイグ・パリーの独走体制になった。2番、3番、4番と3連続バーディでリードしたパリーは、昨日に引き続きノーボギーの安定したプレーぶりを終始維持。9番でもバーディを奪って前半を31で折り返すと、後半も14番でバーディ。この時点でトータルスコアを15アンダーまで伸ばし、2位以下を5打差で大きく引き離した。最終ホールはパー5。パリーの第2打はピンに向かって飛んでいき、グリーンをとらえた。12メートルのイーグルパットを60センチへ寄せ、ウイニングパットを沈めてバーディ。パリーは笑顔を浮かべながら右手を突き出し、ガッツポーズを取った。ウイニングスコアは今日6アンダー65、トータル16アンダー。2位に4打差をつけての圧勝だ。

「長かった。ずっと(アメリカでの)勝利へのドアをノックし続けて、10年、いや12年?アメリカツアーで勝つことは、私にとってすべてを意味していたんだ。6月の試合を最後に、ずっと賞金を稼げなかった。連続6回予選落ち。いいプレーをしているはずなのに予選が通れず、ボギーを叩くことにフラストレーションがたまっていたんだ。今日、18番ホールで(第2打が)グリーンをとらえたとき、僕は勝利を確信したよ」。

36歳になるパリーは、1985年にプロ転向して以来、オーストラレイジアンツアーで12勝、欧州ツアーで4勝、日本ツアーで2勝(89年ブリヂストン阿蘇、97年日本オープン)、アジアンツアーで1勝。世界各国でこれまで通算19勝を挙げてきたが、今回の優勝はアメリカにおける初優勝。そしてキャリア通算20勝目に当たる。米PGAツアーには92年から参戦。パリーは米ツアーにおける今年の11人目の初優勝者となった。

パリーとともに最終組でプレーしたのは、パリーと同じオーストラリア出身のロバート・アレンビーと先週の全米プロでも4位タイと好調だったフレッド・ファンク。2人は18番ホールのバーディパットを沈めたことで、3位タイから2位タイへ順位を上げてフィニッシュした。2日目にコースレコードを更新したものの、3日目はイーブンパーにとどまったアレンビーの最終ラウンドは、バーディとボギーが交互に出るという流れで始まった。しかし、12番でティショットを左に曲げ、3オン3パットでダブルボギー。優勝の望みは薄くなったが、次ホールではバーディ。15番からは4連続バーディで再びリーダーボードを駆け上り、タイガー・ウッズを1打上回る12アンダーで2位タイの座を確保した。ファンクは6バーディ、3ボギーで通算12アンダー。ファンクは飛距離があまり出ず、持ち前の正確なショットもやや乱れ気味だったが、それをカバーするに足る寄せとパットで2位タイの好位置を得た。

タイガーらしくない!?最終日の見せ場が少なかった。注目のエルスとのラウンドだったが、2人とも平凡な結果になってしまった

大会4連覇を狙うはずだったタイガー・ウッズだが、最終日の猛チャージは残念ながら見られなかった。4番ホール、5番ホールを連続バーディとしたタイガー。そのまま波に乗ってほしいところだったが、8番ホールではボギー。後半も2バーディにとどまり、今日3アンダー68、トータル11アンダーで単独4位に終わった。「今日はコースコンディションがこれまでの3日間とはまったく変わっていた。昨夜、水を撒いたんだね。フェアウエイはよく転がるし、グリーンは固く速くなっていた。パリーは信じられないほどの好プレーだった。ニュージーランド(今年1月のニュージーランドオープン)以来、彼は勝っていなかったけど、このコンディションの中でのボギーフリーラウンドは感動的だ」。

単独5位は22歳のジャスティン・ローズ。先週、全米プロで優勝したリッチ・ビームは初日に74を叩いたが、2日目、3日目、最終日はすべて67の好スコアをマークし、ジム・フューリックと並ぶ6位タイでフィニッシュした。

初日に伊沢利光が首位タイに立ち、日本勢には期待が集まっていたが、最終成績は平凡なものに終わった。伊沢は今日2バーディ、2ボギーのイーブンパー。トータル2アンダーで24位タイ。「ラインが全然読めなかった。でも、これぐらいの傾斜のグリーンでいいパッティングができるようになってきたし、全体的には(自分のゴルフが)いい方向に向いています」。

3日目に21位タイまで順位を上げた丸山茂樹の最終日は、2バーディを取ったもののボギーは5つと振るわず、今日3オーバー74、トータルイーブンパーで36位タイに終わった。「(パットが入らず)グリーン上でため息ばかり。次へ引きずるよね。2回に1回ぐらいでも(パットが)入ってくれれば、ショットもよくなるんだろうけど‥‥やっぱり、人間には一定期間に活躍できる量が決まっているんですかね」

佐藤信人は待望のアンダーパーラウンドを最後に実現した。今日は3バーディ、2ボギーで1アンダー70、トータル9オーバー65位タイ。「(自分の)力のなさ、気の弱さを感じました。海外に来ると、どうしてだか難しいと感じてしまう。やっぱり連戦して慣れることが必要なんだろうと思いましたね」と語った佐藤は、今秋の米ツアーQスクールに挑戦する予定だそうだ。

レポート&写真:BEYONDSHIP

世界中のツアーで19勝しているC.パリーだが、米国ツアーでは2位が4回、優勝は無し。今回の優勝は格別のようだ。
2日目にコースレコードをマークしたロバート・アレンビーの最終日は、出入りの激しいゴルフで、最終的には4連続バーディを奪い2位タイに入った
今シーズン欧州2勝、日本ツアー1勝の実力はホンモノ。次なるビッグゲームに期待大のジャスティン・ローズ
最終日のチャージも今回は見る事ができなかった
最終日にイーブンパーと日本のファンにはいいところを見せられなかった伊沢利光だが、本人はかなり手ごたえを感じている
「んー、こりゃどっちに曲がるんだい??」最終日の丸山は、パッティングに苦しむラウンドになってしまった

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