2021年 ウィンダム選手権

ファウラー、ローズが125位に入れない PGAツアーの過酷なサバイバル

2021/08/17 18:30
ケビン・キズナーが得意のパッティングでクセのあるグリーンを攻略した

ケビン・キズナーが「ウィンダム選手権」を制しました。

ノースカロライナ州グリーンズボロにあるセッジフィールドCCは7131yd(パー70)と距離が短く、タイガー・ウッズが初めて大会に出場して大いに盛り上がった2015年は51歳のデービス・ラブIIIが優勝したことでも話題になりました。ショットの正確性とアンジュレーションのきついグリーン攻略がキーとなります。

ドライビングディスタンス289.2ydはツアー169位のキズナーですが、パットのスコア貢献度を示す「ストロークゲインド・パッティング」では上位常連のパター巧者。同スタッツで2016年に最高3位を記録すると、その後も30位→12位→20位→15位→12位と高いレベルで安定しています。ツアー最多に並ぶ6人が残ったプレーオフでも、1ホール目にグリーンを外しながら最初にタップインの寄せでパーセーブ。強みのショートゲームで望みをつなぎ、2ホール目のスーパーショットで決着をつけました。

惜敗のアダム・スコット。危うい位置からプレーオフシリーズ“皆勤”は継続

1ホール目のセカンドを打った時点では1.3mのチャンスにつけていたアダム・スコット(オーストラリア)の優勝とばかり思っていましたが、やはり勝負は最後までわからないものです。

それ以上に驚いたのは、スコットが大会前の時点でフェデックスカップランキング121位とプレーオフシリーズ進出を逃しかねない位置にいたこと。2020年2月「ジェネシス招待」で優勝し、昨季コロナ禍でツアーが中断する前には世界ランキングでもトップ10に入っていました。一年半ほどの間でこれだけポジションが変わってしまうPGAツアーの厳しさを実感します。

スコットと同学年のジャスティン・ローズ(イングランド)はプレーオフシリーズに残ることができませんでした。125位のチェッソン・ハドリーとは、わずか1pt差の126位。最終18番のパーパットを決められず、結果的にこの1打が響いてシーズン終了となりました。

僕が松山英樹選手のキャディを務めていた2018年9月の「ツアー選手権」。5年ぶりの復活優勝を遂げたウッズの横で年間王者のタイトルを掲げたのがローズでした。当時は世界ランクでも初めて1位に上り詰め、まさに絶頂期でしたが、まだ41歳。個人的にも同い年で“かつての”といった枕詞をつけたくはありません。この悔しさをバネに来季のカムバックを期待したいですね。

予選同組だったリッキー・ファウラー(右)とジャスティン・ローズ。ともにシーズン終了となった

2007年に始まったプレーオフシリーズ。今回ローズ、チャールズ・ハウエルIIIライアン・ムーアが125人から漏れ、“皆勤賞”は6人(チャーリー・ホフマンフィル・ミケルソンバッバ・ワトソン、スコット、ブラント・スネデカーマット・クーチャー)となりました。

2010年から出場を続けていたリッキー・ファウラーも今大会で終戦。アイアンショットはとにかくグリーンを外さない選手でしたし、どこからでも寄せられるバンカー、チップインを連発するグリーン周り、そして“常に入っている”パッティングを目の前で見てきただけに、ショッキングなニュースです。

30歳を超え、プライベートでは結婚もして、11月には第一子も誕生予定と聞きます。コース内外でのさまざまな変化は、多少なりともモチベーションに影響を及ぼしたかもしれません。まだまだPGAツアーの中心で輝いてほしい選手。このまま終わるリッキーではないと信じています。(解説・進藤大典)

2021年 ウィンダム選手権