主将ワトソン スピース&リードを起用しない采配に批判も
By Mike McAllister, PGATOUR.COM
金曜の午前中に行われたフォアボールマッチプレー(2人がそれぞれのボールでプレーし、ホールごとに良い方のスコア採用)で、米国選抜の中で最高のパフォーマンスを披露した「ライダーカップ」初出場のジョーダン・スピースとパトリック・リードは、午後のフォアサムマッチプレー(2人が同じボールを交互に打つ)に出場するため、PGA センテナリーコースに戻りたいと強く希望した。その権利がある、その権利をプレーで勝ち取った、と感じたからだった。
それでも米国主将のトム・ワトソンは非情な決断を下す。若きスター2人は、午後のセッションに出場するメンバーから外れた。
「彼らは出場機会を与えなかった私に怒っていた」と会見で話したワトソンは、怒る2人に「君たちが腹を立てるのは分かっていた。ただ、明日は間違いなくプレーすることになる」と言い聞かせたという。
序盤戦でリードしながら午後に逆転された米国にとって、明日までの時間は長く感じるかもしれない。最大4ポイント記録できるうち、アメリカが午後に獲得したのはわずか0.5ポイント。土曜日の午前中のフォアボールを、5.0対3.0と2点のビハインドを背負って迎えることとなった。
ワトソンへの批判は最終ホールのパットが入る前から始まっていた。「欧州選抜のスターであるイアン・ポールターとスコットランドで人気の高いスティーブン・ギャラハーを破ったスピースとリードを午後も残すべきだったのではないか?」「初出場の2人を午後もプレーさせた場合、フォアボール後に1ポイントのリードがあった米国は、いったい誰を外したのだろうか?」
ワトソンは、ラウンド後の会見で質問よりも先に批判が集中することは分かっていた。
「ジョーダン・スピースとパトリック・リードを午後も出場させるべきではなかったか、と聞かれるのは分かっている」と口を開いたワトソンは、起用しなかった理由を述べた。
「彼らをプレーさせないことがベストな判断だと、そのときは思った。理由は複数あるが、明かすつもりはない。私と副キャプテンで決めたことだ。われわれは正しい決断をしたと感じていた」。
ワトソンの決断は、初日に12人全員を投入することだった。つまり、午後のセッションにジム・フューリック&マット・クーチャー、ザック・ジョンソン&ハンター・メイハンを送った。両ベテランコンビは敗れ、期待していた結果は得られなかった。
スピース&リードが、フィル・ミケルソン&キーガン・ブラッドリーかジミー・ウォーカー&リッキー・ファウラーの代わりに出場していたらどうなっていただろう?午前中に欧州のトップ選手であるロリー・マキロイ&セルヒオ・ガルシアに勝利したミケルソン&ブラッドリーに対し、ウォーカー&ファウラーはマーティン・カイマー&トーマス・ビヨーンと引き分け、0.5ポイントを取るのが精一杯だった。ワトソンは相当なジレンマに陥っていたはずだ。
ワトソンは自らの決断を振り返った際、100パーセント確信していたわけではなかったとほのめかした。
「彼らを起用しなかったのは難しい判断だった。疑問もあったが、直観でベストな判断だと感じた。いかなる決断を下すときも、人は確信など持てない。どういう結果になるかは誰にも分からないのだからね。結果は予測できない。手元にあった情報を考慮した結果、ベストな決断と感じた」
2人を午後もプレーさせていたら、ここまでの批判を浴びることはなかったかもしれない。
しかしながら、ウォーカー&ファウラーはマキロイ&ガルシアを追い詰めた。だが、欧州はパー5の2ホールを含むラスト3ホールをバーディで締め、米国は0.5ポイントの獲得に終わった。2012年の前回大会から4連勝していたミケルソン&ブラッドリーのゴールデンペアも、グレーム・マクドウェル&ビクトル・デュビッソンに3&2で敗れる波乱が起こった。
ワトソンは、「フィルとキーガンは午後苦しんだ。多くのパットを外していた」と、顔をしかめた。
その結果、ミケルソン&ブラッドリーは土曜の午前中に行われるフォアボールセッションから外されたばかりか、ワトソンはフォアサムで彼らのペアを解消させる可能性まで示唆した。
ミケルソンは「キャプテンは今夜難しい決断を下すことになる。誰が相手になろうと、我々は勝たないといけない。午前中に良いプレーをして、結果的に2ポイント離されたけれど、チームには良いプレーをしている選手が多い」と話す。
スピース&リードは、明日の午前中の第3戦でビヨーン&カイマーと激突する。金曜にワトソンが下した決断にポジティブな要因があるとすれば、スピース&リードは気持ちを奮い立たせて明日の試合に臨むだろう。
こんな一幕があった。ワトソンがリードに午後は不出場と伝えたときのことだ。キャプテンは若きスターに、この決定に異論はないか聞いたという。リードは当初、問題ないと答えたが、自分の感情を隠しきれなかったのだろう。すぐに「キャプテン、納得はしていません」と答え、それを聞いたワトソンは「そういう反応を示してほしいんだ」と返答したという。
この会話について聞かれたワトソンは「そのときはコミカルだと思ったが、今は決してそうではないね」と語った。
米国は土曜の2セッションが終わった時点での逆転を狙っているだろうが、ワトソンはそれだけでは満足しないようだ。主将はチームに「今まで以上に結果が欲しい」と伝えたという。好反応を得られたようで、ワトソンは「皆、賛成してくれた」と語った。
ミケルソンは金曜のフォアサムでのプレーについて「午後は良いプレーができなかった。明日の午前中は休んで、午後のフォアサムに備えてシャープなプレーを取り戻したい」と語った。
金曜の午後にプレーした合計69ホール中、米国がリードしたのは10ホールのみで、メイハン&ジョンソン、ミケルソン&ブラッドリーは1度もリードを奪えずに敗れた。
ワトソンは、「午後のパフォーマンスは悪かった。非常に残念な結果だ」と振り返った。