2014年 全米プロゴルフ選手権

メジャー最終戦へ ミケルソンが取り戻した“らしさ”

2014/08/06 12:17

By Helen Ross, PGATOUR.COM

ライダー・カップ出場もかかるミケルソン。自信は取り戻せたか? (Photo by Andy Lyons/Getty Images)

フィル・ミケルソンが“らしさ”を取り戻しつつある。

「WGCブリヂストンインビテーショナル」3日目を終えたとき、ミケルソンは相当いらだち、「降ってわいたように良いプレーなんて出来ない」と不機嫌さをあらわにした。

それから24時間もたたない最終日、ファイヤーストーンに何かが“降ってわいた”。10バーディを記録し「62」でフィニッシュしたレフティーは、愛想が良い。前日から一気に29位も順位を上げ、15位タイで大会を終えた。

驚くような結果ではない。ミケルソンには、今回のようなケースが多々ある。世界ゴルフ殿堂入りを果たした男にとって、急に風向きが変わることはしょっちゅうだ。プラス思考を続ける精神的な強さも持っている。それに、現在置かれた状況を考えれば、上向きにならなければならない。

ミケルソンは「20年以上、いつだってこういう感じ。疑問に思ったり、答えを探したりするよりも、現状を受け入れて先に進む。今回のようなことが起きるから面白い」と肩をすぼめた。

「それが、ゴルフをプレーする上での考え方なんだ。自分はムラのある選手だし、良い流れに乗ると途端にホールが大きく見えるようになる。逆の場合もあるけれどね。そういうキャリアを送ってきたから」。

ミケルソンはメジャー通算6勝目をかけ、今週の「全米プロゴルフ選手権」に挑む。同時に、今シーズン初のトップ10入りという結果にもこだわりたい。オーガスタナショナルでは予選落ちし、「全米オープン」は28位タイ、昨年優勝した「全英オープン」でも23位と、不振が続いているからだ。

今シーズンのミケルソンは、一つ一つの大会期間中、そしてシーズンを通しても、勢いというもののかけらさえ手に出来ていない。先週ファイヤーストーンでは2日続けて60台のスコアを記録したが、これは今シーズンまだ2度目だ。今シーズンの計58ラウンド中、60台を出したのは16ラウンドにとどまっている。

それ故に、「WGCブリヂストンインビテーショナル」最終日の「62」は非常に大きな意味を持つ。

ミケルソンは言う。「ゴルフでは即座に流れが変わることもある。予選落ちした選手が次の大会で4日続けてすばらしいプレーをして優勝する例もある。よくあることさ」。

ミケルソンはファイヤーストーンでの1ラウンドを過度には重視していないが、必要だった自信を得られたことは否定しないだろう。土曜日には「ひどい」と自ら酷評したショートアイアンとパターの感触、リズムを取り戻したのだから。

「自分にとっても、1ラウンドで感覚を取り戻せるのは良いことだ」と、ミケルソンは言う。「2日前のプレーを考えるとゾッとするが、今日はすべてがハマり、ボールを上手く転がせたし、ウェッジも良くなって、ショートアイアンも良くなった。とても重要な日になったよ」と振り返った。

勢いを取り戻すこと。それは急を要する。

1994年から「プレジデンツカップ」、「ライダーカップ」に米国代表として連続出場してきたミケルソンだが、今回の「ライダーカップ」出場権争いでは出遅れ、トム・ワトソン率いるチームのメンバー入りが危ぶまれている。来月グレンイーグルスでヨーロッパ代表と対戦する権利を得るのは、「全米プロゴルフ選手権」終了後のライダーカップ・ポイントランキングの上位9選手。ミケルソンは現在10位だ。

ポイントは獲得賞金に準じて加算されるシステムで、9位のザック・ジョンソンとミケルソンの差は、182.556ポイントある。だが、ミケルソンは、ワトソンが持つキャプテン推薦の3枠に頼る必要はないと自信を見せる。

「先週末のプレーで自信を得たし、今週も良いプレーが出来ると思う。キャプテン推薦ではなく、自分の実力で出場権を獲得する自信がある。20年続けてきたことをやり続けたい」。

実力で「ライダーカップ」出場を果たし、プレーオフシリーズにも弾みをつけたいところだ。

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