デイリーラップアップ:ウィンダム選手権最終日
勝負を決するストロークの戦いで、崖っぷちの状態に追い込まれかけたパトリック・リードが、嬉しいPGAツアー初勝利を挙げた。
ウィンダム選手権の最終日、プレーオフにもつれこんだ接戦を勝利したリードは、初のタイトルを獲得した。ジョーダン・スピースとのプレーオフ2ホール目で、あっと驚くバーディを決めたのだ。
10番ホールのティショットで、リードはあわやOBという一打を放った。テレビケーブル近くの松の葉に当たって、彼のボールは辛うじて止まった。そこから彼は7番アイアンで、野球選手のようなスイングで登り坂からのアプローチを放った。木々の下をくぐりぬけたアプローチは、ピンから7フィート付近にナイスオンした。
「間違いなくあれは、生涯のベストショットだね」と、リードは振り返る。
「自分が目撃した中のベストショットのひとつだった」と表現したライバルのスピースも、負けじと2オンに成功した。しかし、彼の10フィートのバーディパットはカップに届かなかった。
そしてリードが「40フィートくらいあるんじゃないか」と感じたバーディパットを沈め、勝負は決着を迎えた。
「初勝利を手に入れたってことが、私のすべてです」と、リードは感想を漏らした。
3大会連続でトップ10フィニッシュを決めたリードは、これで500フェデックスカップポイントを加算し、順位を22位まで引き上げ、いよいよプレーオフに向かう。
来週より、フェデックスカップのプレーオフはランキング上位125位以内の選手によってバークレイズで開幕する。5週間で4つのプレーオフ大会が予定されており、フェデックスカップのチャンピオンは、9月のツアーチャンピオンシップbyコカコーラに出場する。
リードとスピースの両者は、4日間トータルを14アンダーの「266」で回った。最終日のリードは4アンダーの「66」、スピースは「65」を記録した。
先月のジョンディアクラシックでは見事にプレーオフを制した若干20歳のスピースは、近代ゴルフ史上初となる、最年少PGAツアー年間2勝の大記録を逃した。
ジョン・ハーとブライアン・ハーマンは2打差の3位タイに終わった。最終日のスコアはハーマンが「66」、ハーが「68」だった。マット・ジョーンズは最終日の大会タイ記録となる「62」をマークし、通算11アンダーでフィニッシュ。マット・エブリー(最終日「67」)、ザック・ジョンソン(同「68」)と並んだ。
最終日のバックナインに入った時点で、3打差のリードを許していたリードは、実はプレーオフ最初の18番(パー4)で優勝のチャンスを逃していた。
ティショットをミスしたスピースが、25フィートのロングパットを沈めてパーセーブした時、リードは7フィートのバーディパットが残っていた。しかしこの勝機を決め切れず、プレーオフは第二ホールへと続いた。
「18番であんなに悪いゴルフをしたのに、どうして自分が(プレーオフの第二ホールを)まだ戦っていられるのか、正直分からなかったよ」と、スピースは振り返った。
最終日の18ホールの戦いで、スピースとハーの両者は14アンダーまでスコアを伸ばしてリードに追いついた。
ほとんど同時刻、リードは16番(パー3)でボギーを叩いた。するとスピースは17番でバーディを決め、最終ホールをパーで締めくくった。一方のハーは終盤の連続ボギーが響き、優勝争いから脱落してしまった。
大会2日目、3日目を首位もしくは首位タイで折り返し、今大会を牽引してきたリードは、最終18番ホールのアプローチをグリーン中央に乗せ、優勝を決めるバーディチャンスを作っていた。しかし20フィートのウィニングパットはショートしてしまい、優勝の行方はプレーオフへと持ちこされた。
長い一日を終えてみると、リーダーズボードはスタート時とたいして変化がなかった。混戦を極めた戦いは、8選手が2ストローク以内にひしめきあう展開でスタートした。
昨年、18ホールで競われる月曜日の予選会で結果を残し、本戦への出場を6度も手にしたリードは、接戦を競い合う経験が豊富だ。リードは昨年のマンデークォリファイヤーだった頃の自分と、今の自分を比較していた。
2日続けて悪天候でのラウンドとなった最終日、運営サイドはティタイムを前倒しし、1番ホールと10番ホールからスリーサムを組んでの運営に臨んだ。どんよりした空は、一日中不気味な雲で覆われていた。しかし幸いなことに、コースや選手が雨に打たれることはなかった。
そして大会3日目のように、アンダーパーで回った選手がわずか13人しかいないようなこともなかった。今日のセッジフィールドはロースコアを連発し、見応えある18ホールを演出した。
今季のベストラウンドを記録したジョーンズなどは、5連続バーディを含む7ホールで6バーディを記録したほどだ。
「今日のコンディションなら誰でも(好スコアを)出せるよ」と、ジョーンズ。
ジョーンズと共に、2011年大会の覇者シンプソンは、最終日のベストスコアとなる「63」を記録した。最終日にパー「70」を下回った52名の選手の中で最高のスコアとなった。
「グリーンが重いか速いか、本当に見分けがつかなかった」と語ったのは、シンプソンだ。「今日は、今までで一番速いくらいだったよ」。
ラウンド序盤、リード、エブリー、ハーマン、ハー、ジョンソンの5選手が、一時10アンダーで首位に並んだことがあった。後続には2打差以内に6選手がつける大混戦となった。
一方、フェデックスカッププレーオフ前の最後のツアーは、逆転でランクインを狙った125位圏外の選手にとっては“おいしい大会”とは言えない結果となった。
大会前に125位圏外だった選手は、誰ひとりとして125位以内に入ることは出来なかった。126位から132位の選手は全員予選落ちをしてしまい、133位のロバート・ストレブは予選を通過し、本戦でも3アンダーと健闘したものの、最終順位はあと一歩及ばず126位に終わった。
「自らにプレッシャーをかけ、出来る限りを尽くしたのですが……」と、ストレブ。「(最終的に残念な結果に終わったことを)気に留めない訳にはいきませんが、ベストは尽くしましたから」。