第3Rまでを数字で振り返る/HP バイロンネルソン選手権
「HP バイロンネルソン選手権」の3日目、17番ホールのキーガン・ブラッドリーは完璧だった。グリーン脇バンカーからのアプローチを見事に決め、パー3の同ホールでパーセーブに成功したが、ここは最大の難所だった。
バンカーに直面した時、ピンまで距離は87フィートあった。ブラッドリーは、バンカーに足を踏み入れると、繰り返し垂直方向にスイングの練習をした。ひざを曲げ、フルスピードでクラブヘッドを振り上げると、バンカーからボールが勢いよく飛び出した。ボールは、カップを越えた先10フィート辺りに着地。一瞬だけ止まったかと思うと、回転音をさせながらグリーンをターンしてカップに寄せた。まるで誰かが向こうから糸で引っ張り上げているかのような目を見張るショットだった。ボールがカップ下、3フィートで止まるまでの間、ギャラリーからの歓声が止むことはなかった。このスーパーショットでブラッドリーは見事パーセーブ。試合後、「あれがキーガン・ブラッドリーのショットだ。(フィル・)ミケルソンも僕から学んだほうがいい」とコメントした。
パッティングについて
ベ・サンムンが3日目に要したパット数は26打のみだが、5番ホールで31インチからのパットをミス。その後も同じようなミスをした。サンムンは、Strokes Gained Putting(パットのスコア貢献率)のランキング31位で、まあまあの成績といえる。とはいえ、期待はずれの数字もある。サンムンは、スリーパット回避率が161位。3フィートでのパットの成功率は146位だ。また、5フィートではツアー成績は177位。それにもかかわらずサンムンは、8フィートからだと82パーセントの成功率となっている。パットのスコア貢献率で上位にいる選手が、これほど不安定な数字を出しているのは、極めて稀なことだ。
パー5のホールについて
大会最終日は、2位以下に1打差をつけたブラッドリーが首位で迎えるが、この躍進の元となったのはパー5でのプレーだ。同大会パー5のホールは、2番と10番の2ホールのみ。この3日間で6度、パー5のホールを回ったブラッドリーは、ここだけで7アンダーを稼ぎ出した。ブラッドリーは、これらパー5のホールでバーディを奪い続けただけでなく、初日の7番ではイーグルもマークした。
パー3のホールについて
パー3のホールが3日目、難易度を増した。初日、2日目は、200ヤードを超えたのは、パー3の2番ホール1つだけで、ティからピンまでは215ヤードだった。しかし3日目、PGAツアー事務局がバックティの採用を発表。これにより、2番ホールは、223ヤードになり、5番ホールは168ヤード、13番は183ヤード、そして17番が203ヤードとなった。この日は強風が吹き荒れていたため、パー3の攻略は困難を極めた。
地道な選手がブレイク中
ジミー・ジョンソンは、主にスティーブ・ストリッカーのキャディを務めるが、ストリッカーのスケジュールは限られている。そのため、今季は時折ハリス・イングリッシュのキャディを務めているのだが、(その躍進に)感心しきりという。大会3日目、イングリッシュの3番ホールでのプレーを見たジョンソンは、イングリッシュのことを「コツコツ型の選手が火を噴く活躍をしている」とコメント。その評判が広まり、イングリッシュは大会中の“見逃せない選手”となった。ジョンソンは来週コロニアルCCで開催されるクラウンプラザインビテーショナルでも、イングリッシュのキャディを務める予定という。
パッティング
トム・ギリスは、パッティングでは平均的なレベルである選手だが、今大会では素晴らしいパッティングをみせている。今季のパットのスコア貢献率が101位であるにもかかわらず、それを遥かに上回る数字を出しているのだ。ギリスのこの3日間のパット数は、「28」「24」「23」で大会トップ。パットのスコア貢献率でも首位となっている。また、バンカーでのプレーも素晴らしく、楽しんでいるようだ。ここまで6度のバンカーを叩くも、すべてで脱出に成功。18番ホールでは、46フィートからのショットを決めて、バーディも奪っている。