2013年 ウェルズファーゴ選手権

ずぶ濡れの土曜日から、勝負の行方は日曜日へ (天候次第だが・・・)

2013/05/05 17:05

By Helen Ross, PGATOUR.COM

ナイキのブルーのキャップをかぶったその男は、雨風に打たれながらの大会3日目のラウンドを振り返った。「ウェルズファーゴ選手権」の53ホール目まで、2位に2打差のリードを保っていたニック・ワトニーは、なんと言ったのだろう。

ワトニーは、クエイルホローの17番で痛恨のダブルボギーを叩いた。ボールの元に辿り着いた時、彼はまだ78ヤードを残していた。そう、207ヤードのパー3のホールでだ。そして第3打を打ち終わった後も、彼のボールはグリーンを捉えていなかった。

自身のあまりのプレーに当惑したワトニーは、しばらくの後に現実を直視した。そして彼は、自分がまだ日曜日の最終日を戦える好位置につけていることを理解した。

「最後に(ツアーでダブルボギーを)叩いたのがいつだったか、正直覚えていないんだ。だから少し動揺したよ」と、ワトニーは明かした。「でもトーナメント全体を俯瞰してみれば、僕はまだ首位タイ(という好位置)につけているいる訳だし、初日に“3日目を終わってトップタイ”ってことを知っていたら、それは喜ばしいことだよね。残念ながら今日のラウンドはやり直しが効かないから、明日に期待するよ」。

3日目を終えて、ワトニーと首位をシェアしているフィル・ミケルソンもまた、今日のゴルフには満足していないだろう。特に上がり4ホールは散々のスコアだった。彼は15番ホールで3番ウッドのティショットを曲げてしまい、OBを打ってしまった。このホールをダブルボギーとすると、続く16番ではアプローチをギャラリーの頭部に当ててしまい、17番ホールのティショットは一番最後に打つ羽目になった。

しかしながら、後半のホールで散々なスコアに見舞われたミケルソンとワトニーの両者は、一時はスコアを2桁アンダーに伸ばすなど、この日も見せ場を作った。最終日のラウンドは、1ストローク差で追いかけるジョージ・マクニールと共に3サムで最終組を回る。今年の大会は、首位から4打差に17人もの選手がひしめく大混戦で、その中には過去に世界ランク1位となったロリー・マキロイリー・ウェストウッドの2人も含まれている。

「ささやかなバースデープレゼントを頂いた気分だよ」と、マキロイ。彼は土曜日に24歳の誕生日を迎えた。(首位の2人が崩れてくれたお陰で)トップと3打差で最終日でしょ。これ以上のことは望めないね」。

そのミケルソンは、上がり4ホールのゴルフが、彼とワトニーにいかに痛手を食らわせたかをしっかりと認識している。

「残り4ホールとなったから、あの場面は自分のリードを広げに行ったんだ。ところが結果はその反対で、貯金を全部吐き出してしまったね。でも幸いなことに、何とか首位タイで踏みとどまることができたよ」と、ミケルソンは語った。「万にひとつ、最終日が悪天候で中止なんてこともあり得る状況だから、(スコアを下げ首位タイに落ちたけど)良かったよ」

ミケルソンのみならず、雨風に悩まされた3日目を振り返ると、多くの選手たちが「もし」という表現を使いたがるようなラウンドだったことは事実だ。さらに悪いことに明日の日曜日の予報も良くない。月曜日までこの地域から雨雲が切れることはなさそうだ。

「もっと強い風が吹いてくれれば、雨雲はどこかへ抜けるかもしれないのにね」と語ったのはマクニールだ。「ブリティッシュオープン対ウェルズファーゴって感じかな。ともあれ明日の対策をしっかり練らないとね。」

大会のオフィシャルは、最終日に天候から受けるダメージを極力減らすために、日曜日のティータイムを大幅に繰り上げた。早朝から1番、10番に分かれてのスタートで、最終組のミケルソン、ワトニー、マクニールは、8時46分にスタートする。

心配事のひとつは、グリーン周りのコンディションだ。明日の最終日が、予想を上回る雨量に見舞われたりすると、ただでさえ季節外れの大雨や寒気でコンディションの悪いグリーンは、最悪の場合、競技不可能となってしまうかもしれない。

もちろん選手たちは、コースがどんなに悪いコンディションであろうとも、優勝はおろか、上位進出を狙って、少しでも良いスコアを出そうと躍起になってくる。

「明日(日曜日)も凄まじい量の雨が降るみたいだから、そんな大雨に降られてしまうと、いくつかのグリーンはそれほど芝も長くないから、間違いなく水没してしまうと思うんだ」と、ワトニー。「明日はどこまでトーナメントを続けられるか。むしろそっちに興味があるね。幸い僕はゴルファーだから、いつ中断するのか、その決断を迫られないだけでもラッキーだよ」。

降りしきる雨を見上げながら、ミケルソンは自身の2000年のベルサウスクラシックでの勝利を思い出さずにはいられなかっただろう。彼とゲリー・二クラスの2人は首位タイで最終日を迎えたが、TPCシュガーローフが嵐に襲われ、最終日の競技が中止となってしまったことがある。2人は急遽、16番ホール(パー3)でサドンデスの優勝決定プレーオフを戦うこととなり、最初にバーディを決めたミケルソンが優勝を決めたのだった。

そんな経験があったからこそ、ミケルソンは最終18番の7フィートのパーパットに全神経を集中させていたのだろう。彼は先にホールアウトしたワトニーのスコアが8アンダーということに気づいていた。ミケルソンはこれ以上、後退したくなかったはずだ。悪天候の中、彼は見事にミッションを達成した。今大会の彼の10フィート以内のパッティング成功率(49本中47本を1パットで決めた)が、ミケルソンの勝負強さを物語っている。

「オイル漏れしてる感じで、ミスを連発してしまったね」と、ミケルソン。「しかし日曜も月曜も、天候の見通しが良くないとなると、以前のようなワンホール・プレーオフに持ち込まれるかもしれないね。いかなる状況にも備えておかないとね」。

「もちろん(18番の)最後のパットは重要だったよ。パーをセーブできれば首位タイに並んだまま最終日を迎える訳だし、この天候なら何が起きてもおかしくないからね」。

ではもし、雨がやんだら?

その場合は、シャーロットの満員のギャラリーたちが、彼らのプレーを拍手で迎えてくれるだろう。

「明日のお楽しみだね」と、ミケルソン。「素晴らしい最終日となることを願ってやまないよ。なぜならトップ集団は大混戦だろ?誰が優勝するか、とてもスリリングなラウンドになるんじゃないかってね」。

それとも、母なる自然がゴルファーたちの行く手を阻むのだろうか。

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