2013年 ノーザントラストオープン

ノーザントラストオープン3日目 レビュー

2013/02/17 15:21

ビル・ハースにとって、リビエラCCは、特に思い入れの深い場所ではないそうだ。

土曜日のリビエラCCは暖かく、空気は澄んでいた。ハースは、もっとも簡単とされるサービスホールの1番(パー5)でバーディを取り損ねてしまった。しかし混戦模様を呈していた上位グループの中で、彼は安定したアイアンショットを武器に前半だけで3つのバーディを稼いだ。

ハースは9番で、およそ30フィートのロングパットを沈めバーディを奪った。続く10番(パー4)は、60フィートのチップショットを巧みにコントロールしてイーグル。さらに11番では、バンカーからのナイスリカバーで、ショットミスを好機に変えるバーディ。勢いに乗るハースは、この日7アンダーの「64」でホールアウト。2位以下に3打差をつけ、単独トップで最終日を迎える。

3日目に記録した「64」は難度の高いこのコースのベストスコアで、平均スコアより8打も少なかった。3日目終了時点での通算12アンダー「201」は、76年のトーナメント史上、過去8人しか成し遂げていない、大会連覇をくっきりと視界に捕えている。

最終日は、優勝することのみに集中するラウンドとなる。「明日はちょっと難しいラウンドになりそうだね」とハース。「ジャック・ニクラスタイガー・ウッズフィル・ミケルソンといったほんの一握りの選手しか(連覇で)勝っていないからね。明日は感情を高めるよりは、プレーする瞬間を噛み締めたいね」。

1年前の最終日、2打差を追いかけるハースは、プレーオフの末、ミケルソンとキーガン・ブラッドリーを破って優勝した。今年は少しばかり余裕がありそうだ。全米オープン覇者のウェブ・シンプソン、マスターズ覇者チャール・シュワルツェルが、3日目「68」で回り、3打差の2位につけている。

ジョン・メリックは18番のボギーが響いて「70」でホールアウト。シンプソン、シュワルツェルと並んで、9アンダーの「204」とした。ルーク・ドナルドは、序盤の散々なスコアからなんとか持ち直した。前半6ホールで3ボギーの乱調から、後半だけで4バーディを奪い「70」でホールアウト。首位から4打差でとどまり、この日「72」で回ったフレドリック・ヤコブソン「72」と共に逆転優勝を狙う。

多くのギャラリーはミケルソンに奇跡の大逆転を期待したが、残念ながら優勝争いからは脱落してしまった。前半だけで短めのパーパットを3つも外すなど、この日は「72」。トップに9打差をつけられてしまった。同組のアーニー・エルスも、この日はいまひとつで「73」だった。

3日目のラウンド前は、首位から5打差以内に20名もの選手がひしめいていた。しかし、ハースの素晴らしいプレーが状況を一転させ、最終日の5打圏内には、わずか8選手だけとなってしまった。

例えいつまでもリビエラの太陽が沈まなかったとしても、ハースに追いつくのは容易なことではない。フェアウェイは固く、50ヤード近くもランが出る上に、グリーンまわりも十分に締まっている。特にカップ周辺では2フィート余計に転がることもある。

「(今日は)3、4フィートのパーパットが多かったね」と、シンプソンは振り返った。わずか1ボギーでしのいだ「68」には満足だろう。しかしシンプソンは昼食の時、スマートフォンで首位争いを確認した折、ハースが「64」でトップだと知り「ハースは素晴らしいラウンドをしたようだね」と称えていた。

ここリビエラでのトーナメントで、ハースの何がすごいかといえば、初日の木曜日に4フィートのパットを外してボギーとしたのを最後に、以降3日間、40ホール連続でボギーがないことだ。さらにこの日は、バーディだけに飽き足らず、イーグルもひとつ奪った。「まぁ今日は“ゾーンに入った”ような感じだね。9番でいいパットを決めて、10番ではチップイン。おまけに11番は、のぼってくだる長いパットが決まった」。

9番のパットは、グリーン外からおよそ30フィートをカップめがけて放ったハース。それは見事なバーディだった。続く10番は、3番ウッドでランを稼ぎ、グリーン左手前、数十ヤードまでボールを運んだ。彼は第2打をうつ直前に、グレッグ・チャルマースがほぼ同じ位置から6フィートもショートしたアプローチを見ていた。カップ手前は、谷底へより強く切れるラインが読めた。

しかしながらこの日は、パット以上にショットが好調。10番の第2打を、カップ手前15フィートに落としたあとは、カップに向かってボールが吸い込まれるのを見届けるだけだった。11番(パー5)では第2打をグリーン近くのバンカーへ入れてしまうが、バンカーショットがあわやチップインのファインショット。その後のラウンドでも、17番(パー5)のバンカーショットはカップから1フィートへ近づけ、この日最後のバーディを決めた。

ハースがウェイク・フォレト大を卒業したのと入れ違いで入学したシンプソンは、ハースが大きなミスをしない限り、今週は勝ち目がないとさえ感じていた。「ビルの優位は間違いないよ。3打差をキープして、最終日もいいプレーをすれば、彼に追いつくことは難しいだろう。しかし、トリッキーな前半9ホールでスコアを伸ばす選手が現れたら、ひょっとすると最終日に、何かが起こるかもね」。

好調シュワルツェルは、参加選手中ただ一人、3日間すべてを60台でラウンドした。そんな彼は悔やまれる2つのミスを犯した。ひとつ目は10番のティショット。グリーンを越え、斜面に囲まれたバンカーの中へ入れてしまった。返しのショットもグリーンをとらえることができず、このホールをボギーとした。15番のバンカーショットもピンに寄せ切れず6フィートを残し、ボギーを叩いた。

「(変な話)ボギーなら簡単にとれる。このコースは全体的に少し固い上に、特に終盤のグループで回るとグリーンコンディションもデコボコ(凸凹)になる。だからバーディを取りに攻めると、ボギーの可能性が高まってしまうんだ」とシュワルツェルは教えてくれた。「とはいえ、明日は何も変えるつもりはないよ。自分のプレーを続けるだけだ。もし明日、(単独トップのハースに)何かが起こり、チャンスが芽生えれば、勝てる要素もあるだろうしね」と彼は締めくくった。

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