「59」ショットはどれくらい困難なこと?
By Brian Wacker PGATOUR.COM
「59」と「60」を分けるもの。それは一体なんだろう?
「大きな境界線だね」とポール・ゴイドスは表現した。
ゴイドスは知っているはずだ。彼は過去に全米ツアーで(59を)達成した、たった5人のうちのひとりなのだ。フィル・ミケルソンは、「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」初日の最終ホールでカップにボールが蹴られ、惜しくも6人目になることができなかった。
ミケルソンのツアー41勝目については、様々な振り返りが可能である。しかし、あと少しで歴史に残ろうかという彼のラウンドについては、深い考察をしてみる価値がある。ゴイドスと長い間彼のキャディを務めるクリス・マッツィオッティの助けを借りて説明しよう。
そもそも、なぜ「59」達成者がもっと多く出ないのだろうか?
シンプルな回答は、それが難しいからだ。「60」というスコアはこれまで27度も記録されているが、「59」が5度しか記録されていないことからも明白だ。しかし、もう少し掘り下げて理由を考察すれば、難しいだけではない。その一打差を埋めるためには、沢山の運が必要なのだ。
2010年の「ジョンディアクラシック」の初日に「59」を達成したゴイドスの記憶に従って、もう少し詳細を振り返ってみよう。
TPCディアランの5番ホールで、ゴイドスはティショットを右のラフへ入れてしまった。しかし彼のボールは打ちやすい状態だった。そこから彼は、木を高く飛び越えてグリーンに乗せるショットを放ったが、それはフェースにV字の溝が入ったクラブ特有の鋭いスピンがかかったショットだった。新たな溝規制施行後のクラブでは、放つことが不可能なショットである。
ゴイドスが「59」達成の可能性を十分に意識していた17番ホール。クリフ・クレスゲの放ったアプローチショットは、ゴイドスのボールの4インチ後ろに落ちた。クレスゲがパットした時、ゴイドスは「思ったよりも切れるんだな」と考えたことを覚えている。
「もし彼が先に打っていなければ、自分のパットを決めることはできなかった」とゴイドスは言った。「これらの小さなことが、『61』を『59』にしてくれたんだ」。
マッツィオッティは、2週連続で予選落ちし5ラウンド連続で70台の成績だったにも関わらず、この日パットの調子が良かったゴイドスのことを指して反論した。「誰が最初にパターを打とうと、関係ないと思う。彼はそれを決めたんだから」。
ゴイドスや、「59」を達成した他の選手の価値を落とすわけではないが、1999年のデビッド・デュバルを除けば、沢山の勝利試合数や輝かしい記録を持つ一流選手達は、この記録からは縁遠い。
その理由は、ミケルソンのような選手達は、一般的に難しいゴルフコースで試合を重ねるからだ。
そうは言っても、整備の行きとどいた最近のゴルフコースを考えた時、「59」を記録する選手がもっと出てきても良いのでは?との問いに、ゴイドスは「イエス」と答えた。
しかし、マッツィオッティの意見は別のようだ。
「左右する要素が、沢山あるんだ」。
「沢山の事が好転する必要がある」と彼は言う。
そう。最後にクルっと回って弾かれた、ミケルソンの最後のパットのように。