A.スコット、昨年から見る連覇への鍵はバーディ数よりも・・・
2013年4月、オーストラリア出身の選手として初の「マスターズ」制覇を果たしたアダム・スコット。メジャー競技参戦48試合目(マスターズは12回目)で、初めて念願のメジャーチャンピオンに輝いた。
母国ではすぐの凱旋帰国を望んでいたようだったが、スコットはオーストラリアに戻らず、残り3つのメジャーとフェデックスカッププレーオフ4戦、そして10月の「プレジデンツカップ」まで戦い抜いた。11月に、ようやく母国に戻り4試合に出場。「オーストラリアPGA選手権」と「豪州タリスカーマスターズ」で優勝したあと、「ワールドカップ」で個人戦3位、団体優勝を果たす。「エミレーツ豪州オープン」ではロリー・マキロイに逆転優勝をさらわれたが、2位フィニッシュと期待に応えた4試合だった。
年が明けて2014年のPGAツアーは、3週間前の「アーノルド・パーマーインビテーショナル」初日に10アンダー「62」を記録してリードするものの、最終日には3打差のリードを守れず3位フィニッシュ。まだ優勝はないものの、ここまで5試合でトップ10が3試合、もちろん予選落ちはなく、調整はうまく進んでいる様子。
昨年大会の最終日、最終18番のバーディで通算9アンダーとしたスコットは、プレーオフ2ホール目でアンヘル・カブレラを下して優勝したが、4日間のバーディ数は15個(全体で16位)と、決して抜き出た数字ではない。意外にも パーより良いスコアが一番多かったのは、21個のバーディと1個イーグル(計23アンダー)とした6位タイのトービヨン・オールセン(デンマーク)だった。今年もスコットの狙いとしては、ボギーの数を最低限に抑えることだろう。
アメリカの大学(UNLV/ネバダ大学ラスベガス校)に留学した経験もあるスコットは、2000年にプロ転向してからは欧州ツアーを主戦場として3年間プレー。その後はアメリカPGAツアーの出場権を獲得し、「ザ・プレーヤーズ選手権」(2004年)や「ザ・ツアー選手権」(2006年)など優勝を果たし、2008年には世界ランク3位まで登り詰めた。しかし、以降はパッティングの不調なども影響し2009年10月には世界ランク76位まで落ち込んでしまう。
同時期、スイングコーチをブッチ・ハーモン氏からオーストラリア出身のブラッド・マローン氏に変更し、転機を迎えたのは2011年。長尺パターを使いだしたこと、そして過去にタイガー・ウッズを13回メジャーチャンピオンに導いた名キャディ、スティーブ・ウイリアムスとパートナーシップを組み、良い結果に繋がるようになった。
また、多くの試合に出場するのではなく メジャー大会にピークを持って行くことができるように、カリブ海バハマにベースを構え練習の時間を増やした。過去2年間(104週間)でスコットが出た世界ランク対象試合は僅か42試合のみ。ちなみにヘンリック・ステンソンは59試合、フィル・ミケルソンは48試合、多くの競技に出場する石川遼に至ってはなんと78試合という数字になる。
クラブセッティングに関しては、昨年の「マスターズ」から2度アイアンを変えた。今週も入れている「タイトリスト680フォージド」は、2003年に限定生産で市販されたマッスルバックアイアン。スコットの他には、2012年「全米オープン」を制したウェブ・シンプソンなども好んで使っているシャープな軟鉄鍛造ミラー仕上げのアイアンだ。
<マスターズ優勝以降の変更クラブ>
■ 2013年「マスターズ」優勝時
ドライバー/タイトリスト 913D3(9.5度) グラファイトデザインTour AD DI-8
FW/タイトリスト 910Fd (3番15度) フジクラ ランバックスPro 95 95
アイアン/タイトリスト 712U (2番)、タイトリスト 710MB( 3番-9番) KBS Tour
ウエッジ/タイトリスト ボーケイウエッジ SM4 48度(48-08)、54度(54-10)、60度 TVD Kグラインド・バンス角 10度
パター/スコッティーキャメロン FUTURA X プロトタイプ 長尺
■ 2013年「オーストラリアPGA選手権」優勝時
アイアン/タイトリスト 714MB( 3番-9番)
■ 2014年「WGCキャディラック選手権」
アイアン/タイトリスト 680フォージド(3番-9番)
ウエッジ/SM5 48度モデル(49度刻印48-08)、54度(54-10)
(ゴルフチャンネル解説/ アナリスト アンディ和田 *解説はライブフロムでご覧頂けます)